福岡市では、認知症の人とのコミュニケーション・ケア技法として「ユマニチュード」の普及促進に取り組んでいます。認知症になっても住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまちを築くための取り組みを紹介します。
福岡市が普及促進する認知症コミュニケーション・ケア技法「ユマニチュードⓇ」とは?
「ユマニチュード」とは、1970年代にフランスで生まれたケアに関する技法で「人間らしくある」ことを意味する造語です。「あなたのことを大切に思っています」ということを相手が理解できるように伝えるための技術と、その技術を使うときに考えておくべき考え方とでできています。
福岡市では、超高齢社会を背景に、認知症の人とのコミュニケーション技法として「ユマニチュード」の普及促進に取り組んでいます。その目的は「あなたのことを大切に思っている」ことを軸にコミュニケーションをおこなうことで、認知症の人が尊厳・自分らしさを保ちながら、安心して生活できる環境を提供することにあります。さらに、認知症の人だけでなく、家族や介護者にも大きな支えとなることを目指しています。
また、福岡市ではそのようなまちづくりに向けて「児童生徒向け」「地域向け」など属性に合わせたユマニチュード講座の開催などを通し、情報発信と普及促進に取り組んでいます。
ユマニチュード 相手に大切な思いを伝えるための4つの柱
ユマニチュードにおいて、認知症の人と接する際に「あなたのことを大切に思っています」と伝えることは、相手に安心感を与え、より良いコミュニケーションを築くために重要です。ここでは、その思いを伝えるための4つの基本的な柱を紹介します。
1. 「見る」
見ることで相手に伝わるメッセージがあります。正面から水平に、近く長く見ることで、親密さや安心感を相手に感じてもらうことができます。
2. 「話す」
日常的な会話を通して「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを、言葉にして伝えることも大切です。ゆっくりとした穏やかな話し方で、前向きな言葉をかけることで、相手との信頼関係がより深まります。
3. 「触れる」
体に触れることは、直接的に安心感や愛情を伝える手段です。相手の手を下から支える、広い面積で包み込むように触れることで、相手は自分が大切にされていると感じます。ただし、相手の許可や反応を確認しながら進めることが重要です。
4. 「立つ」
立ち上がることをサポートし、体を起こすことも、その人らしさを保つために大切です。1日合計20分程度の立位を目標に、立つことを支援することで、寝たきりにならずに立つ力を保てます。
ユマニチュードの普及促進が実現する福岡市の未来
今後、福岡市が取り組む講座や情報発信を通してユマニチュードの普及が進むことで、地域全体が認知症に優しい環境になることが期待されています。ユマニチュードは、介護の質を向上させるという側面だけではなく、認知症になっても住み慣れた地域で安心して自分らしく暮らせるまちを築くための重要な取り組みとなるでしょう。
提供:福岡市福祉局ユマニチュード推進課