昨季、モンテディオ山形からアビスパ福岡に完全移籍で加入したストライカー、山岸祐也選手。今季のアビスパ総選挙では3位にランクインするなど、早くもチームを代表する人気選手となった山岸選手をリモート取材しました。取材/川添道子
いろいろ住んできたけど、今、福岡がめちゃくちゃ好きです
―昨年はシーズン途中の加入でした。福岡生活には慣れた?
はい、もうすっかり! 僕、本当に福岡めちゃくちゃ好きですよ。これまでいろいろなところで生活をしましたが、福岡が一番好きかもしれないです。
―特にどういうところが好きですか。
海が近いところもいいですよね。今まで僕が所属した群馬や岐阜、山形は海まで遠かったので、福岡はちょっと車を走らせると海に行けるのがいいなと思います。僕、犬を飼っているんですけど、福岡は犬と一緒に行けるテラス付きのカフェも多くてうれしいです。犬もお出かけを喜んでいて、いつも出かける前に「外行く?」って声をかけるんですけど、尻尾をめっちゃ振って車があるドアの方へ走っていくんですよ。
―お気に入りの食べ物は?
福岡は本当に食べ物がおいしいですよね。もつ鍋や水炊きも好きですが、海鮮類が好きなので魚料理をよく食べます。実は最初は、九州の甘いしょうゆが苦手だったんですよ。初めて刺し身を食べた時、「なんだこれ?」って…(笑)。でも、だんだんハマってきて、今では刺し身は九州のしょうゆで食べるのが好きです。
―群馬、山形でも一緒にプレーをしていた中村駿選手が新加入しました。“福岡の先輩”として何かアドバイスなどはしていますか。
たくさんしていますよ。まず最初に、駿(中村)がアビスパに移籍が決まった時には「福岡、めっちゃいいところだよ」って伝えました。住む場所の相談にものりました。駿、心配性なんで、「ここはどう? ここは?」って、物件情報をいっぱい送ってくるんですよ(笑)。
それと最近はおすすめスポットとして、糸島市を教えました。そしたら家族で行ったようで、駿の子どもが糸島の海で海デビューをしたのはいいけれど、大号泣で大変だったらしいです(笑)。
―中村選手と久しぶりに一緒にプレーをした感想を。
8月9日のサンフレッチェ広島戦で、初めてアビスパで一緒にプレーしましたが、いい縦パスのボールを出してくれて、「分かってくれてるなあ」と思いました。これからもっと連携がよくなってくると思うし、駿には「いいパスちょうだい」っていつも言ってるんで、2人のラインに期待してください! でも正直、最初に駿のアビスパのユニフォーム姿を見た時は見慣れないせいか、なんだか違和感あってめっちゃ笑っちゃいました(笑)。
―夏の中断期間前にSNSで「通用するところもあったし、もっとこうしたらよくなると思う所もたくさんあった!」と書かれていましたが、具体的にはどういうところですか。
いろいろありすぎて、この話はめっちゃ長くなるんですけど…。例えば、今まで通り足元にボールを収めることはできているけれど、次にどうするかという判断スピードを上げたらもっと良くなるとか、そういうところですかね。サッカー選手としてもっともっと成長しなければダメだって、開幕戦(名古屋グランパス戦)で痛感したんです。
―成長のために具体的に取り組んでいることはありますか。
サッカーノートを再び書き始めました。小さい頃にコーチに書き方を教わり、試合や練習の感想などを大学生になるまでずっと書いていたんです。でも、大学を卒業する頃に書かなくなってしまい、プロに入ってからもやめたままになっていました。それを今年の開幕戦の敗戦を機に、また書き始めました。
―なぜサッカーノートだったのですか。
開幕戦を振り返ったとき、試合中に感じていたことと、試合後しばらくして考えたことが少し違っているような気がしたんです。その感覚の誤差を埋める必要があるなと感じて、サッカーノートを再開することにしました。試合中に感じたことを忘れないうちにノート書き出して、ノートを見ながらうまくいかなかったところはどうしたらよかったのかを考えるようになってから、いろいろな(プレーの)アイデアが浮かんでくるようになりました。これまではボールを受ける時は1つ先のプレーを考えていたのが、今では2、3個先のプレーまで考えるようになりました。
他にも、サッカーノートを書く目的の一つに、調子がいい時の感覚を忘れないためというのがあります。ノートを見れば、いいプレーができている時はどういう気持ちで、どのような動きをしていたのか自分自身で思い出すことができるので。本当に僕、試合中に思ったことをなんでも書いているんですよ。対戦相手の宇佐美選手(ガンバ大阪)のボールの持ち方とか、柿谷選手(名古屋グランパス)のボールの置き場所とか、相手選手でいいなと思ったところもバンバン書いています。
―山岸選手はもう少し感覚派なプレーヤーかと思っていました。
いやいや、全然です。僕はこれまで日本代表などに選ばれたことがないし、高校選抜でも海外遠征時には落とされていますし、大学卒業時に声をかけてくれたチームは群馬だけでしたから。才能がある上手な選手より、頑張らないといけないんです。ここまで雑草魂でやってきた感じですね。
―注目してほしい自身のプレーとは。
FWなので、何よりもゴールですね。でも、攻撃も守備も全力でやっているので、いろいろ見てほしいかな。ゴールやアシストは華やかなので印象に残りやすく、その前のプレーはあまり目立たないというか見逃されてしまうところがあるんですよ。でも、パスを受ける前の動きやボールの収め方、時間を作って出すスルーパスなど、シュートまでの1つ2つ前のプレーにもこだわっているので、そこにも注目してもらえたらうれしいですね。
―注目のプレーといえば、山岸選手の代名詞になっている「胸トラ(胸トラップ)」について。
それが、胸トラに注目されるようになったのは福岡に来てからなんですよ。特に意識してやっているわけではなく、自然と出ている感じですね。アビスパ総選挙のキャッチコピーに“胸トラの虎”とか書いてあって、「そんなに!?」って、正直驚いています。でも、こんなに褒めてもらえるなら、今後は胸トラキャラを推していこうかな(笑)。
―今季も残り11試合。終盤に向けて意気込みを。
今季の目標として、リーグ戦のゴールとアシスト合わせて10を掲げていましたが、実際には5(3ゴール2アシスト ※8月31日時点)と全く足りていないので、残りの試合はもっと数字という結果にこだわってプレーしたいです。僕の数字が増えると、必然的にチームの成績も良くなるはずなので、チームのためにも頑張りたいと思います。
―最後に、ファン・読者の方へのメッセージを。
スタジアムに応援に来てくださっている方はもちろんですが、来ることができない方の応援もしっかりと届いていて、僕たちの力になっています。チームとして掲げていたリーグ戦10位以内を達成するためには、ここからの1試合1試合がさらに重要になってくるので、最後までチーム一丸で戦っていきたいと思っています。応援よろしくお願いします!
やまぎし ゆうや
1993年8月29日。千葉県出身。183cm・80kg。尚志高→流通経済大→ザスパクサツ群馬→FC岐阜→モンテディオ山形