長男が小学2年生、次男が年長になった時のこと。私の実家は電車を乗り継げば子どもの足でも1時間程で行ける場所なのですが、長男が「社会勉強のため1人でおばあちゃんの家に行く!」と言い出したのです。その時私は気付いていませんでした。この体験があんな結末になるとは…。
1人で帰省すると言い出した長男
ある日のこと。突然長男が
「もう小学2年生なんだし、1人でおばあちゃんの家に行って来る!」と言い出したのです。当然
「ママが連れて行くよ」と返す私。それに対し何としてでも1人で行くと言い張る長男…。
議論の末、「電車で祖父母の家に帰るルートは以前にも教えていたし、もう小学2年生なら誰かに道を尋ねられるだろう」と考えた私は渋々許可を出すことにしました。もちろん途中まで尾行し、実母に最寄駅まで迎えに来てもらおうと考えてました。
ところが、隣でこのやり取りを聞いていた年長の次男が
「俺も絶対行く!」と言い出したのです。
キラキラと輝き、どこか夢を見るような遠い目をしている次男を見て、「これはきっと諦めないな」と察した私は、仕方なく綿密な計画を立てて兄弟を送り出すことにしたのでした。
「途中で弟がトイレに行きたくなった時は?」と聞く兄。
「駅員さんにトイレはどこですかと聞きなさい」と私。
「弟が迷子になったら?」と聞く兄に
「常に手を繋いで」と教える私。
「次男に知られなければ余計な心配はせずに済んだのに… 」と正直その時は、少しだけ後悔をしていました。
ドキドキの帰省当日
こうして10月のある平日、長男は
「任せて!」とドヤ顔で家を出発しました。もちろん弟は軽い足取りで出発です。そして少し遅れて私も出発です!
まずは最寄駅から電車に乗ります。ここはICカードで難なく通過。続いて乗換地点の駅に到着しました。そっと後ろから尾行する私に、2人は全く気付いていません。そして事前に私と打ち合わせた通り、各駅停車に乗り込みます。
昼間の各駅停車はいつもより空いていました。そのためか、少し離れた席に座っていても彼らの会話がよく聞こえてきます。
「おばあちゃん家、楽しみだね!」と次男。
すると長男は
「俺ら2人で行けるようになれば、これからはママは一緒に来なくても大丈夫だよな。忙しいママを、少しでも楽させてあげたいと俺は思っているんだ。お前はどう思ってる?」と弟に問いかけたのです。
私はこの言葉を聞いて内心はっとさせられました。長男が、どうしてあれほど1人にこだわったのか。きっと密かに母である私に負担をかけまいと、彼なりに考えていたのだと気付いたのです。
次男はその問いに対し
「俺はおばあちゃんの家で皿洗いとかお手伝いを出来るようになって、お兄ちゃんと一緒にママを助けたい!」と答えたのです。長男は
「俺は行き方と帰り方を得意分野にするから、お前はお手伝いを得意分野にして2人でママを助けような!」と笑顔で返していました。
こっそり尾行していた私は、涙が止まりませんでした。涙が滲む目で彼らを見ると、しっかりと手を繋ぎながら実家の最寄駅で降りて行きました。当初の後悔とは裏腹に、私を想う気持ちと兄弟の絆に気づかされ、深い感動を覚えた日となったのです。
帰省後の兄弟は、より絆が固くなったように感じます。
「ここはこうしたらいいよ!」とお互いアドバイスしながら、私の家事を手伝ってくれるようにもなりました。
母親思いの彼らに感謝し、これからの日々を過ごしていきたいと思った出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター / リコ☆LuLu&Lana)