兄弟姉妹は、家族でありながら、親の愛情を巡るライバル関係でもあるようです。 わが家には、4才の娘と、2才になる息子がいますが、毎日、ママの膝を独占して抱っこしてもらおうと、二人で押し合いへし合い、よじ登ってきます。親の気を引くのも、競い合い。娘は、褒められるようなことをして親の気を引き、息子は、奇妙な行動で親を笑わせて、注目を集めます。 そんな息子が、巻き起こした騒動の話を聞いて下さい。
2才の息子は、白目の変顔がマイブーム
2才の息子は、どこで覚えてきたのか、頻繁に白目をむいてふざけます。 ごはんを食べて、美味しいと、戦隊モノのポーズをとりながら、白目をむいて、フリーズ。 家族が
「あ! また変な顔してる~!」と笑うと、「ウケた♪」と言わんばかりに、にっこり微笑んで、白目を止めます。
そしてもう一つ、訳の分からない芸が、寝たふりです。ソファーやベッド、床に横たわり、白目をむきながら、寝たふりをするのです。
「あれ? さっき起きていたのに、また寝てるの?」と声をかけると、
「寝てませんでした~! だまされた?」と言わんばかりに、にっこりと起き上がり、またふざけはじめます。
白目と寝たふり、そんな変なクセを、息子がやりはじめた当初は、無理に止めさせようとしていましたが、イヤイヤ期真っ盛りの息子は、
「やんやー!」と嫌がってかんしゃくを起こすばかり。きっと彼なりに注目を集めたいのだろうと、そのままやりたいようにさせて、温かく見守っていました。 あの騒動が起こるまでは。
保育園の一時保育へ預けると、事件が!
先日、レディース検診を受けるため、保育園の一時保育を利用して、息子を預けました。
慣れない保育園に、きっと大泣きしているだろうなと心配しつつ、束の間の一人の時間に、開放的な気分で病院に向かいました。病院で順番を待っていると、携帯電話が鳴りました。保育園からの着信に、ふと嫌な予感がします。
「息子さんが意識不明です。すぐにお戻りください」 切羽詰まった保育士の声に、膝から力が抜けて、座り込んでしまいそうになりました。
「今朝あんなに元気にはしゃいでいたのに…なんで。どうして…」息子の笑顔が走馬灯のように駆け巡ります。もう生きた心地がしないまま、携帯電話をかばんに放り込み、電車に飛び乗って、保育園に行きました。
保育園で分かった真相は?
真っ青な顔で保育園の教員室に駆け込むと、
「アッ!」と気まずそうな顔をする保育士さん。
「すみません… 息子さん、意識が戻りました。というよりも、ふざけていただけみたいで… 担当の保育士が、白目をむいて、ぐったりと横たわる息子さんを見つけて、焦ってお母さんにお電話したんです。息はあるようでしたが、様子がおかしいので、救急車で緊急搬送しよう手配していました。すると、息子さんがヒョイッと起き上がっておもちゃで遊び始めたんです。すぐにお母様にもお電話して、ご心配ないように伝えたかったのですが、何度おかけしてもつながらなくて… すみません!」
たしかに携帯電話を見ると、着信10数件。移動中、携帯電話の存在は、すっかり頭から消えて、着信があったことに気づかなかったのです。
そうです。息子は、いつもの白目と寝たふりを、保育園で披露しただけだったのです! 保育士さん達が慌てて、自分に注目する様を見て、おおかた「しめしめ・・・」と白目と寝たふりを続けていたのでしょう。私に電話をかけたり、救急車を呼ぶ手配をしたりと、注目されなくなって、白目モードを解除したのだと思います。
「早とちりですみません…」と謝る保育士さんに対して、本当に申し訳なく
「うちの子がすみません・・・」と平身低頭で謝りました。 その後、息子を迎えるために、保育室に行くと、息子は私の顔を見つけた途端、満面の笑顔で
「マァマ~!かぁりぃー(意味:おかえり)」と手をふりました。 「今日こそは皆さんに迷惑をかけて、怒らないと!あの変な白目と寝たふりも止めさせなきゃ」と腹を立てていたのに、結局「もう仕方ないなぁ…」と力が抜けてしまうのでした。
(ファンファン福岡一般ライター)