未就学児の弟妹が、親と一緒に兄姉の授業参観に来るのはよくあることですよね。私の7歳下の弟もそうでした。当時の弟は動き回るのが大好きで気付けば姿が見えない、ということもしばしば。そんな弟のある行動により、授業参観で私はとても恥ずかしい思いをすることになるのです。
じっとできない弟
じっとしているのが苦手で、一人でどこかへ行ってしまう弟。ヒヤっとしたのは弟が4歳の時です。当時、弟は補助輪付きの自転車に乗っていました。休日に友達と遊ぶ約束をしていた私は、玄関で母と弟に見送られ、自転車で待ち合わせのスーパーへ。
私が到着した10分後、全員集まったので公園へ出発しかけた時、後ろからガラガラ… と補助輪付き自転車の音が聞こえます。
「お~い」という声に振り返ると、自転車に跨った弟の姿が! 途中に急な下り坂があり、小学5年生の私でも自転車で5分以上かかるスーパーへ、なんと1人で来たのです! にこやかな表情の弟に対し、心臓が飛び跳ねるほど驚く私。
弟は、母との会話で私の行き先を知り、自分も行きたくなったようです。スーパーの公衆電話から自宅へ連絡すると、母も驚いています。慌てて迎えに来て
「本当にもう…。怖い思いをさせられっぱなし!」と嘆いていました。
振り返ると、5歳前後が弟の落ち着きのなさのピークでした。この出来事の少し後、弟のある行動によって私はとても恥ずかしい思いをすることになるのです。
授業参観に来た弟
私が小学6年生の時の授業参観。午後からだったので、母は弟を幼稚園へ迎えに行き、2人で小学校へ来ました。母は弟がいるので教室に入らず、廊下側の窓から授業を見ています。その時の私の席は、廊下側から2列目の後方で、廊下側の窓のあたりでした。
最初は持参したおもちゃで遊んでいた弟ですが、授業があと半分という頃には飽きたようで、廊下側の窓から教室を覗き始めました。すぐ近くに座っている私に気付き、じっと見てきます。恥ずかしがり屋の私は、見ないで! という気持ちを込めて、しかめ面で首を横に振りますが通じません。近くの席の子から
「弟?」と聞かれ、
「… うん」と小声で返事。弟の視線を浴び続けて授業を受けるのも恥ずかしかったですが、これで終わりではありませんでした。
ステージに現れたのは?!
通常の授業参観は、授業が終われば解散。けれどこの日は、授業の後に保護者も参加の学年集会がありました。体育館に6年生全員が集まり、前に生徒、後ろに保護者が座っています。
最初に校長先生がステージに上がって話を始めました。話し始めてすぐ、ステージの端に小さな男の子の姿が。そう、弟です!
なんであんなところに…! 私はとても焦りますが、恥ずかしさから顔は知らんふりをしていました。
すぐ舞台袖に引っ込んだのでひと安心。しかし弟は再び登場、ニコニコしながら20秒おきくらいにステージに出ては皆の顔を見渡すのを楽しんでいる様子です。
校長先生は気付いていないのか端にいるだけだから気にしていないのか話を継続中で、おそらく気付いている先生たちは無反応。
一方、生徒は弟が2回目に登場したあたりからざわつき始めました。そしてさっきの授業で「弟?」と聞いた子など、弟の顔を知っている子たちが
「あれって…」と私の方を見てきます。知らんふりもむなしく、あの男の子は私の弟だとすぐに知れ渡ってしまいました。
周りは面白がり、弟が姿を現す度に私の方を見ながらニヤニヤ。私は苦笑いで対応していましたが、顔は真っ赤だったと思います。お母さん早く連れ戻して…! そんな私の思いが通じたのは約3分後。弟はステージに姿を現さなくなりました。
後で聞いた話によると、弟は母が隣の人と話している隙をみて脱走したそうです。弟がいないと気付き焦った母は、体育館内に見当たらないので周辺を捜索。再び体育館に戻った時にステージ上の弟に気付き、急いで連れ戻したとのことでした。
あれから20年以上たち今では笑い話ですが、当時はとても恥ずかしかった授業参観の思い出。
現在の私は、数年後に娘の小学校入学を控えています。授業参観があるなら、2歳下の息子を連れて行くことになるでしょう。
かつての弟と同様、動き回るのが大好きな息子をよく見張っておかなければ… と思っています。
(ファンファン福岡公式ライター/坂 真琴)