関西地方の田舎で生まれ育った夫の母は、とても優しくておっとりした人です。嫁いだ当初は「優しいお姑さんで良かった」と思っていたのですが…。段々と「あれ?」と思うことが多くなっていき、そして出産後初めて帰省した夏休みに、その違和感は確信へと変わったのでした。
優しいけれど天然すぎる義母
ある日、帰宅すると1通の不在伝票がポストに入っていました。差出人には義母の名前が書いてあり、不思議に思って連絡すると
「食料品送ったよ~」との返答が。
再配達で届けられた巨大な段ボールの中には、冷凍食品がぎっしりと詰め込まれていました! わが家には冷凍倉庫があるとでも思っているのでしょうか…。到底冷凍庫に収納できない量でした。
その後頑張って食べたり、職場や実家へ配ったり、消費するのに四苦八苦しました。
その後も義母からの“突然のプレゼント”は繰り返され、あるときは傷んだイチゴ、あるときは生卵(半分ほど割れていた)、あるときは賞味期限が昨日のケーキ(!)が送られてきたこともありました。
子連れで初めての帰省
義母に対する違和感が芽生え始めたころ、出産後初めてのお盆帰省をすることになりました。
「ご飯もパジャマも歯ブラシも、全部用意してるからね。手ぶらでおいで!」と優しくお声がけいただき、安心して向かったのですが…。
用意された私のパジャマはなぜか猫の毛だらけで、子どものパジャマはブカブカでした。嫌な予感がして衣類をすべて持参したのは不幸中の幸いでした。
そして極めつけは、ごはん。満面の笑みで
「採れたてのお野菜でちゅよ~」と言いながら生後5カ月の息子にきゅうりを丸ごと食べさせていたのです。
第一子ということもあり、神経質に子育てしていた私にとってそれは衝撃でした。まだ10倍粥をひとなめしかしていないわが子になんてことを…! 「やめてください」と叫びそうになるのを必死にこらえました。
回転寿司で、まさかの出来事
そして翌日、またしてもハプニングが起きました。
「おいしい回転寿司に連れていってあげる」と地元の人気寿司店に連れていってもらったのですが…。
時期はお盆。人気のお店に行列ができているのは言うまでもありません。炎天下で子どもを抱っこしながら並ぶのは、本当につらかったです。
昼頃に並び始め、席に座って注文する頃には、時刻はなんと15時を過ぎていました。
子どもは寝たり起きたりを繰り返し、挙句不機嫌になって泣き暴れ始めました。もうお寿司どころではありません!
しかし、泣く子をあやす私には目もくれず、好きなお寿司を注文しておいしそうにほおばる夫、義母、義父…。
普段から気の利かない夫だとは思っていましたが、どうやらそれは遺伝だったようです。「私はなんでこの人たちと家族になったんだろう」と本気で疑問に思いました。
ほとんど何も食べられないまま帰宅しぐったりしていると、義母が満腹のお腹をさすりながらやってきました。そして、衝撃の一言が放たれました。
「お昼ごはん遅かったし、お腹もいっぱいだから晩ごはんはナシにするわね!」
そう言うと、お寿司の海苔がついたままの歯をニカッと見せて、呆然とする私を後目に立ち去る義母。こうして私はグーグー鳴るお腹を抱えたまま眠りについたのでした…。
義母は悪い人じゃない でも…
様々なハプニングを乗り越え、波乱の帰省はやっと終了しました。きっと義母は嫁いびりをする気持ちも、している自覚もないのでしょう。悪気の無さだけがひしひしと伝わってくるつらい3日間でした。
初めての子連れ帰省で緊張し、何も文句が言えなかった私も悪いのかもしれません。
義母は根の優しい人です。きっと義母と気が合う人もいるのでしょう。ですが残念ながら私とは合わないタイプの人だったようです。
自宅と義実家が遠く離れているのが唯一の救い。それからは義実家に泊まるのは年2回までと決め、距離を取るようにしています。この距離感を大切にしながら、ちょうどいい関係を保っていけたらいいなと今では思っています。
(ファンファン福岡公式ライター / はやしグラタン)