わが家の兄弟は、兄が4歳、弟が2歳の時に多目的トイレに閉じ込められたことがあります。閉じ込められたというか、「自ら閉じこもってしまった」という方が正しいのですが。通いなれた近所のスーパーですっかり油断していた私。子どもたち2人だけでトイレに行かせたことが、この騒動を引き起こしてしまったのです。
いつものスーパーで悲劇が起きた

幼稚園のお迎えの帰り道、私たち3人はいつものように近所のスーパーに買い物に向かいました。
トイレトレーニングがすんだばかりの弟が突然
「おしっこ!」と言い出し、兄が
「ぼくも行きたい!」と便乗。通いなれた小さなスーパーということもあり、私はついつい
「2人で行っておいでー」と言ってしまったのです。
トイレに向かってニコニコ笑顔で走り去る2人を見ながら、ゆっくりと後を追った私。トイレ近くの雑誌コーナーで立ち読みをしながら、2人が出てくるのを待っていました。
ふと気づくと、どこからか子どもの泣き叫ぶ声と、何かをドンドンと叩く音が聞こえてきました。
「ママー! はやくきてー! かぎがあかないの!」
2人はなぜか、男性用のトイレと女性用のトイレの間にある多機能トイレに入っていました。
私と子どもたちで多機能トイレを使ったことがあるので、おもしろがって2人だけで入ってしまったのです。
「鍵が開かない?」。思ってもみない展開に、私もパニックになりました。
救いの神、店長さん降臨

「どうしたの? どうしてこっちのトイレに入っちゃったの?」と私が声をかけると、兄弟は
「ママー、あけてー!」とますます大泣き。
「どうやって鍵をかけたか覚えてる? 鍵をかけたのと逆のことをすれば開くから!」と兄に言い聞かせますが、彼は
「おぼえてないー、わかんないー」と泣くばかり。
「落ちついて! 今ママが開けてあげるから!」と叫ぶと、兄は
「〇〇(弟)くん、いま、ままがあけてくれるって」と、泣くのを必死でこらえながら弟をなぐさめます。
しかし、どうやって開けたらよいものか… 不安がる弟は、全然泣き止みません。それにつられた兄もまた泣き出し、2人でドアを叩き続けます。
その時、騒動を聞きつけた若い男性店員さんがやってきました。
事情を説明すると、
「ちょっと待っててください!」とバックヤードへ向かい、店長さんを連れてきてくれたのです。
店長さんはパニックになっている兄弟に
「大丈夫だよ! すぐに開けてあげるからね」と優しく声をかけ、私に
「10円玉か100円玉、持ってます?」と尋ねます。
「?」と思った私が100円玉を手渡すと、店長さんは鍵のくぼみに100円玉をあて、鍵をくるりと回転!
見事に鍵を開けてくれたのです。
そ、そんな簡単なことだったのか… と拍子抜けする私。
次男の姿に大爆笑

ほんの5分ほどだったとは思いますが、私にとっては果てしなく長い時間でした。
きっと子ども達にとってもそうだったと思います。
いつの間にか集まっていた店員さんたちの拍手が響く中、子どもたちと感動のご対面… のはずが、皆の安堵の声はすぐに大爆笑に変わりました。
なんと弟は、ズボンとパンツを足首までずり下げた状態で号泣。下半身丸出しで店員さんたちの前に登場してしまったのです。
泣きながら飛びついてくる兄弟に
「良かったね!」と声を掛けつつ、必死でパンツとズボンを引っ張り上げる私。
平謝りする私に、店員さんたちは
「良かったですね」とニコニコと声をかけてくれました。
まさか多機能トイレに入ってしまうとは思いもよりませんでした。
外側から開けられるタイプの鍵で良かったと、胸をなでおろした瞬間でした。
(ファンファン福岡公式ライター/minto)

