ある日の職場での昼休みのこと。昼食を食べながらおしゃべりしていた4、5人の職員で、自分のことを「おばちゃん」と呼べるか、人に「おばちゃん」と呼ばれることに抵抗があるか、という話題で盛り上がりました。ちなみにメンバーは30代後半から40代前半。いわゆるアラフォーです。ことの発端は同僚の一言でした。
「おばちゃん」呼び問題
みんなで昼食を食べながら話をしていると、小学1年生の子どもがいる同僚が
「昨日来てた子どもの友達がなかなか帰りたがらなくて、『じゃあおばちゃんが送ってあげるよ』って言ったら、すんなり『帰る』って言ったんだよね〜」と言いました。
「わかる〜。まだ日が長いから、5時過ぎても帰りたがらないよね~!」と盛り上がっていたのですが、その中の1人が
「え、みんな自分のこと「おばちゃん」呼びしてるの? 私、できないんだよね。いや、自分でも十分にもうおばちゃんなことはわかってはいるんだよ…」とカミングアウトしたのです。
「できるよ〜」
「私も平気。逆にこの年で「お姉さん」って呼ばれたら、バカにしてんの? ってならない?」という肯定派と、
「私、嫌かも〜。言われるのは仕方ないけど、自分では言わないな」
「自分がこどもの頃は、友達のお母さんを「おばちゃん」って呼んでたけど、今自分がその年になると、いやちょっと待ってってなる!」という否定派。
きれいに意見が分かれ、気になった私は帰宅後、小学生の子ども達3人にそれぞれ友達のお母さんを呼ぶ時、なんと呼ぶかを聞いてみることにしたのです。
友達のお母さん、なんて呼ぶ?
まずは6年生、長男。
「おれは『〇〇(友達の名前)のお母さん』って呼ぶよ。でもあんまり使う機会ない。公園で遊ぶから、会わないもん」
次は4年生、娘。
「〇〇(友達の名前)ママ〜っていう。女子におばさんっていうの失礼じゃん」さすが女子。小さくても女心をわかっていらっしゃる。
最後は1年生、次男。
「オレはね〜「あ! 〇〇(友達の名前)おばちゃーん」かな。みんな学童のお迎えに来た時、オレたちが外遊びしてると手振ってくれるじゃん? その時に呼んでる~」
ある意味、想定内の無邪気な答え。すると同じ学童に通っている娘が、
「ああ。1年生の男子が全員でお迎えのママに『〇〇のおばちゃーーん!』って校庭から叫んでるわ、毎日。多分みんなママ達、ほんとうは嫌だと思う。だって女子じゃん」と冷静にコメントします。
知らなかった! 次男のお迎えはいつも最後の1人か2人になることが多く、私自身は「おばちゃーーん」と呼ばれる場面に遭遇したことがなかったのです。
女心に悩む次男
それを聞いた次男は
「え! なんで? 女子じゃないじゃん。みんな大人の女じゃん。おばさんで合ってる!」と反論します。
私は、突如出てきた「大人の女」というパワーワードに笑いを堪えながら
「合ってるよ。合ってるんだけど、ママだったらおばさんって呼ばれたらちょっと嫌かな〜。少し年を取った気がするじゃない?」と説明してみました。
すると彼は
「え〜。じゃあなんて呼べばいいんだよ。ママっていうの子どもっぽいから嫌なんだよ〜」と悩み始めました。ちなみに普段、次男は私のことを「ママ」と呼ぶのですが、なぜか友達の前では「ねえ!」と呼ぶことに、この時気づきます。
「〇〇のおかあさんって長いし」とぶつぶつ。おばさんとの違いは一文字で僅差ですが、なぜか不採用です。結局、しばらく悩んだ末、
「もうわかんないから明日、学童のみんなと相談する!」と諦めました。
「大人の女」の上をいく、パワーワード!
翌日は仕事が忙しく、バタバタと一日過ごした私は、子ども達と前日にあんなにも熱く議論したにも関わらず、そのことをすっかり忘れていました。
その日はたまたま仕事が早く終わり、普段よりだいぶ早い時間にお迎えに行けることになりました。学校の運動場の隣に併設されている学童にいくと、運動場では次男を含む低学年の男子達がサッカーをしています。
次男と友達が私を見つけ、手を振りながら大声で叫びます。
「奥さあああーーーーーーーーん!!!!!」
大人の女より上をいく、艶かしさ漂う呼び名で呼んでもらえました。子どもの発想って本当に面白いですよね。
(ファンファン福岡公式ライター/さくらえ)