里帰り出産をし、慣れない双子育児に奮闘していた私。母乳とミルクの混合授乳をしていたのですが、ある日母がとんでもないことを言い出したのです…。
双子が退院
早産児として産まれたわが家の双子。家に帰ることができたのは、産まれてから約3カ月経ってからでした。
里帰り出産をしていた私は、まず実家に双子を連れて帰ることに。そこから壮絶な双子育児が始まりました。
2、3時間おきの授乳に寝かしつけ、おむつ交換と、慣れない育児を2人分こなすのは至難の業でした。特に授乳は、母乳とミルクを両方飲ませる混合授乳だったため、本当に大変でした。
突然の禁止令
そんな双子が家に帰ってきて1週間ほど経ったある日 、母が私に衝撃的な言葉を放ったのです。
「母乳に悪いから、今日からチョコとかお菓子は禁止ね!」
突然のチョコ禁止令に私はショックを受けました。というのも、私は無類の甘味好き。体力気力共に限界だった私の唯一の楽しみは、チョコレートや焼き菓子などの甘いものだったのです。
「それはあんまりだ!」と私は猛抗議しました。
が、普段は穏やかで優しい母ですが、この時ばかりは頑として聞き入れてくれません。実家にお世話になっているため、私はそれ以上強く訴えることができませんでした…。
隠れて食べる日々
しかし、毎日食べていたものをいきなり断つことはできませんでした。
最初こそ大人しく我慢していた私ですが、いよいよ甘いものが恋しくなると、双子を外に連れ出す度にこっそりとコンビニに寄るようになりました。そこでチョコレートなどの甘いものを買い込み、1人になった隙を狙ってこっそりと食べます。
私はふと、中学生の時に行った林間学校でのことを思い出しました。
禁止されていたお菓子を持ち込んでクラスメイトと食べ、巡回している先生が来る度に慌てて隠したという懐かしい思い出です。
まさか双子育児をしながらあの頃の気持ちを思い出すことになるとは…。罪悪感を抱えながらも、私はこっそりお菓子を食べ続けました。
和解と母の苦悩
結局、母にお菓子を食べていることがバレることはありませんでした。その後、私の母乳は段々と出なくなり、ミルクのみの授乳に切り替わっていきました。
それと同時に約2カ月続いたチョコ禁止令も解除され、私は堂々とチョコや甘いものを食べることができるようになったのでした。「やはり甘いものは私の人生に必要不可欠なのだ!」と改めて実感したのを覚えています。
チョコ禁止令が解除されてしばらく経ったあと、私は母に
「なぜお菓子を禁止したのか?」と聞きました。すると、母は
「あなた(私)を産んだとき、ひどい乳腺炎に苦しめられてね…」と打ち明けてくれたのです。
甘いものを好きなだけ食べていたことが原因かもしれないと思い、そのことをずっと後悔していたそうです。
「きついこと言ってごめんね」と母は申し訳なさそうに謝ってくれました。
突然のチョコ禁止令は、私に同じ思いをしてほしくないという母の愛情だったのです。
正直、母に対して「昔の育児観を押し付けられた!」と思ってしまっていた私は、母の気遣いに感謝し、あたたかい気持ちになりました。
そして、こっそりチョコを食べまくっていたことは、お墓まで持っていこうと心に誓ったのでした。
(ファンファン福岡公式ライター / はやしグラタン)