幼い子の言い間違いって、かわいいですよね。私は、娘の言い間違いが大好きで「成長すると聞けなくなるのは寂しいな~」なんて思っていました。ある時、自分の言い間違いに気付いた娘の反応に、私は思わず吹き出しました。その時のエピソードを紹介します。
子どもならではのかわいい間違いを訂正するのはもったいない?!
娘が2、3歳の頃、私は手帳に娘の言い間違えた言葉をたくさんメモしていました。例えば、お月さまを「おきつさま」、お魚を「おかさな」、髪の毛は「かいもけ」で、手を汚した時は「おててよぼれちゃった」などです。
当時の私は、言い間違いを指摘することはほとんどなく、オリジナルの「娘語」として一緒に使っていました。そのせいで娘はそれが正しい言葉だと思い込んでしまい、保育園の先生から
「おうちで訂正しないのですか?」と、やんわり注意されたこともありました。
でも、「言い間違いがかわいい時期なんて、きっとすぐに終わってしまう」と思っていた私は、あえてそのままにして、楽しく見守っていたのです。
予想通り、娘の言い間違いは成長と共に少しずつ減っていきました。友達や先生とのおしゃべりでいつの間にか修正されたこともありましたが、一番の転機は、3歳の半ば頃から文字を読めるようになったことでした。
本が好きな娘は、図鑑や絵本を音読しては、それまで言い間違えていた言葉を次々と正しくアップデートしていったのです。 それでも、私にはまだとっておきの娘語が残っていました。その言葉だけは、もうしばらく修正されないまま過ごせるだろうと、私はすっかり油断していました。でも、その日は意外と早く訪れたのです。
“真実”を知った娘の反応に、成長を寂しがる気持ちはどこかへ
それは、4歳になったばかりの娘と病院に行った日でした。待ち時間が長く、娘は待合室にあった絵本を手に取りました。 広く知られる、森に住むハチミツ好きの黄色いクマの話です。初めて読む絵本でしたが、娘はスラスラ音読していました。 私は
「上手だね」なんて言いながら、のんきに聞いていましたが、途中でハッと気が付きました。この絵本には、あの言葉が出てきてしまう!
実はとっておきの娘語は、この絵本の登場人物の名前でした。クマの友達の少年「クリストファー・ロビン」を、娘はずっと「くりっとぱーおりん」と呼んでいたのです。
彼が登場すれば、もう二度と娘の
「くりっとぱーおりん」が聞けなくなってしまいます。その前にどうか診察の時間が来てくれないかと思った私は、何度も受付の方を見ました。でも、娘の名前は呼ばれません。
そして、流ちょうに音読していた娘に異変が起きました! ついに彼が登場したのです。
「こんにちは、くりっとぱーおり… くりっとぱ…」
しばらく眉間にしわを寄せて、絵本をじっと眺めていた娘。そして待合室に響くほどの大きな声で言いました。
「くりっとぱーおりんじゃなくって、クリストファー・ロビンやないかい!」
4歳児の的確なセルフツッコミに、私は思わず大笑い。おかげで娘の成長を寂しがる気持ちは、どこかへ吹き飛んでしまいました。
それ以来、私の大好きだった「くりっとぱーおりん」は聞けなくなりましたが、今でもたびたび思い出す、楽しい場面です。
(ファンファン福岡公式ライター/あいちー)