わが家の5歳娘は歌うことが大好きです。毎日行われる娘のリサイタルでは、保育園で覚えてきた色んな歌を披露してくれます。ある日、娘が笑顔で歌う内容は今まで聞いたことのない恐ろしい歌でした。しかし、歌をよくよく聞いてみると、どこか聞き覚えのあるメロディで…? 娘の言い間違いに驚かされたあと、クスッと笑顔になれた日常の一コマです。
歌うことが大好きな娘
歌うことが大好きでアイドルを目指している5歳の娘は、童謡や季節の歌など、いつも保育園で習った歌を歌ってくれます。娘は心底歌うことを楽しんでいて、私も歌っている娘を見るのが癒しの時間でした。
そんなある日、娘はいつもどおりの上機嫌で突然
「ミッキーさんにぶち込む!」と歌い出したのです。
ぶち込む!? 銃で撃つってこと!? 世界的キャラクターに対する、あまりにも恐ろしい発言に、私は驚きました。
「その歌、何の歌なの?」とおそるおそる尋ねたものの、娘は
「保育園で習った歌だよ!」としか答えません。
私の聞き間違えだったのだろうか、とだんだん自信がなくなり、もう一回歌ってみて? と娘に頼みました。すると、やはり娘は
「ミッキーさんにぶち込む!」と軽快なリズムで繰り返すのです。
声を抑えて歌ってね、とひとまず娘をたしなめたものの、謎は深まります。本当に保育園で「ミッキーさんにぶち込む!」なんて歌を…?
ぶち込むのは「ミッキーさん」じゃなかった!
娘の歌のことでモヤモヤを抱えた翌日。保育園の帰り道でも、やはり娘は
「ミッキーさんにぶち込む!」と歌います。
私がミッキーさんで間違いないのかと念押しすると、娘は自信満々に
「ミッキーさん!」と答えました。
いつまでこの不穏な歌を歌いつづけるのだろうか… と頭を抱えていた、ある日。
よくよく娘の歌を聞いてみると、どこか聞き覚えのあるメロディだと気付きました。そして落ち着いて何度目かの「ミッキーさんにぶち込む」を聞き終え、ようやく私はその歌の正体に気がついたのです。
「ミックスジュースの歌だ!」
娘は、サビに入る前の「それにゆうべのこわいゆめ みんなミキサーにぶちこんで」という部分をずっと「ミッキーさんにぶちこんで」と歌っていたのでした…。
私が言うのに娘も
「そう、ミックスジュースの歌!」と嬉しそうに返します。そして娘はまた軽快にミッキーさんの歌、ならぬ、ミックスジュースの歌を歌うのでした。
私は慌てて、ぶち込むのは「ミッキーさん」じゃなくて「ミキサー」だよ、と娘に伝えます。しかし娘はミキサーって? と首を傾げるばかり…。
それもそのはず。わが家のミキサーは、使用頻度が低く、娘が生まれてからも食器棚の奥にしまわれたままだったのです。
今度のお休みは、果物と牛乳を用意してミックスジュースを作ろうかと娘に提案すると、ミックスジュースってお家で作れるの? と不思議そうにしていました。
本物のミキサーを見せて、一緒にミックスジュース
リンゴを切るのは私が、バナナを小さくちぎるのは娘に任せ、いざ、棚の奥から引っ張り出したミキサーにぶち込み! 牛乳と一緒に細かくなっていく果物を、娘は真剣な表情で見つめていました。
できあがったミックスジュースをひと口飲み、
「おいしい!」と満面の笑顔の娘。私自身も、初めてミックスジュースを飲んだときは、その美味しさに感動したな、と懐かしい気持ちが蘇りました。
ミックスジュースを飲んでからは
「ミキサーにぶち込んで♪」と、以前よりももっと楽しそうに娘は歌を歌うように。
最初の言い間違えでは驚かされましたが、思わぬきっかけで娘とミックスジュース作りができ、穏やかな休日を過ごせて良かったです。
そして、ミックスジュースの歌を歌いながら作るミックスジュースが、わが家の定番おやつになりました。
(ファンファン福岡公式ライター/かにちゃす)