ある日、「夜ご飯の材料は俺が買ってくる」と言い出した夫。それならハンバーグを作るから、ひき肉と卵を買ってきて欲しいと伝えると鼻歌を歌い楽しそうに出掛けて行きました。浮かれているけど大丈夫かな? と不安を感じつつ見送ったのですが…。
出掛ける夫に感じた不安
突然、自ら買い出しへ行くと言い出した夫。忘れっぽい性格の夫には、買い忘れ防止でメモを渡すことになっているのですが、この日は挽肉と卵だけ。さすがに忘れないでしょと口頭で伝えました。出掛ける前からなぜか楽しそうな夫に、何度も
「大丈夫?」と声をかけ、不安なまま見送りました。あんなに浮かれているけれど怪我しないかな、子どもをおつかいに送り出したような落ち着かないまま時間が過ぎました。
数分後、夫は、挽肉と卵からは想像もできない大荷物で帰宅! そして、驚いて声も出ない私に向かって嬉しそうに
「サプラーイズ!」と叫びながら中身を取り出し並べていきます。
エコバッグから私の好きなお菓子を次々と出してはテーブルに並べる夫と唖然とする私。正直、驚きよりも「なにこれ?」って気持ちしかなく2人のテンションに温度差を感じました。2人掛けのテーブルから溢れるほどのお菓子の量に呆れ無表情になっている私に、夫はエコバッグを畳みながら
「ビックリした? 嬉しい?」と満面の笑みで聞いてきます。
「え? 挽肉と卵は?」お菓子の量に驚きはしたものの、私の頼んだ食材が取り出されることなくバッグが畳まれていることにもっと驚きました。
夫は、ハッと目を真ん丸にし
「忘れた!」と言うではありませんか。
「なんで? 何を買いに行ったの?」と心底呆れる私に
「記念日がない月だから、何でもない日にサプライズで喜ばせようと思いつき、私の反応を想像したら楽しくなってしまい頼まれた食材を忘れた」と言い訳をする夫。
「もう一度行ってくる!」と畳みかけのエコバック片手に再び買い出しへ向かう背中に、不安で
「大丈夫? 私が行こうか?」と尋ねましたが、立ち止まり
「いや、これは俺が言い出したことだから」と何の責任感なのか、なぜかそこは譲らず駆け足で夫は出掛けていきました。
まさかの2度目のサプライズ
残された私は、大量のお菓子を目の前に、私を喜ばせようとお菓子を選ぶ夫の姿を想像して、優しくて可愛いことするなと幸せな気持ちになっていました。
しばらくして
「ごめんごめん」と小走りで家に入ってきた夫。エコバッグから卵を取り出し、その次に出てきたのは…
なんと、鳥モモ肉!!
「なに? これもサプライズ?」とビックリして声が大きくなる私に
「え! 卵と鳥モモ肉でしょ?」と私より驚いた顔と大声を出す夫。
「ハンバーグ作るって言ったじゃん! 挽肉にするところからやるの?」さっきまで感じていた愛おしさは吹き飛び、怒る私に
「ごめん、ハンバーグかぁ、ごめん」と夫はひたすら謝っていました。
買い直してくると言われたけど
「3度目のサプライズが怖くて頼めない!」と即断り、
「ハンバーグ食べる時は、今日のサプライズを思い出すだろうね」そう笑いながらハンバーグではなく親子丼を食べました。
2度も予定外のサプライズをやってのけた夫は、懲りずにこの出来事以降も誕生日は手作りケーキのサプライズ、記念日は花束のサプライズをしてくれましたが、どうしても気持ちを抑えられず浮かれるため結婚して十数年、私が(気づかず)驚いて嬉しかった記憶は片手で足りるくらいしかなく… これからに期待? もうやめてもらう? 悩ましいところです。
(ファンファン福岡公式ライター/渡山笑名)