新入社員と言えばフレッシュな印象ですが、私が働いていたのは小さな町工場のため、新しく入ってくるのは中途採用の方ばかり。他の会社で社会人として働いた経験があるからこそ、一癖も二癖もある人達が多かったのです。今回はその中でも特に癖の強かった2人のエピソードを紹介します。
離席するとなかなか戻ってこない40代女性のAさん
まずは、中途採用で物流課に配属された40代女性のAさん。私は設計課で働いており、海外からの試作部品の入出荷に携わっていました。物流課とやり取りをすることが多かったため、私はAさんと一緒に仕事をしながら指導をすることに。
しかしこのAさん、いつ見ても机にいないんです。その理由が分かったのはある日のこと。
Aさんに声をかけようとしたとき、ちょうど席を立ったAさん。30分後くらいにやっと戻ってきたのですが、化粧バッチリでキツい香水の匂い、結婚式かと見間違うほどのきれいなまとめ髪と、まるで別人のような姿!
私が
「どこ行ってたんですか…?」と声をかけると、
「お手洗いですよ? ちょっと化粧と髪も直してましたけど」と言うのです。まるで当たり前のような言い方に戸惑ってしまい
「仕事中にトイレで化粧を直すのはやめてくださいね」としか言えませんでした。
しかし数日後。Aさんに声をかけようと机に行くと… え!? 自席で化粧してる…!?
「何してるんですか!?」と聞くと、
「主任(私)にトイレで化粧直ししないでって言われたので」とAさん。仕事中に化粧直しをするという行動ではなく、化粧直しをする場所を指摘されたと思っていたことに驚いてしまいました。
仕事中に仕事以外のことをするなんて常識的にありえないと思っていた私ですが、彼女にとっては違ったようです。その後も誰が注意しても隠れてこそこそ化粧直し。周囲も呆れるしかありませんでした。
入社1日目に失踪?! 30代男性のBさん
次に、私と同じ部署に配属された30代男性のBさん。入社1日目は、午前中に総務が会社説明と各部署への紹介をし、午後から私が業務内容の説明を行うことになっていました。しかし、午後1時になってもBさんが来ないのです。
総務に
「Bさん来ないんですけど、なにかありましたか?」と聞くと、
「えっ…?」と知らない様子。各部門の責任者全員に連絡が行き、Bさんの捜索が始まりました。
捜索開始から約30分後、総務宛にBさんから電話が。なぜ電話…? と思っていると、衝撃的な一言が。
「Bさん、辞めるそうです…」なんとBさんは午前中会社案内を聞いただけで
「会社の雰囲気が合わないので辞めます」と電話してきたのです。
辞めるなら会社にいる意味がないので、昼休憩中に帰宅したのだとか。仕事が合うか合わないかの基準は人それぞれだと思いますが、入社わずか半日、しかも無断で帰宅し電話1本で辞めるという行動にはドン引きでした。 社内でも半日で辞めた社員の噂はすぐに広まり、今も「ドン引き社員」として語り継がれる存在となっています。
人としてのマナーは守るべき!
化粧直しが大好きなAさんの態度はその後も直ることなく、事務作業から現場作業に異動させられました。しかし自分勝手な言動は変わらず… 最近では製品を出荷するための社内運送便に私的な荷物を混ぜて送っていたのが発覚し、減給処分を受けたと聞きました。半日で姿を消したBさんは… 今頃なにをしているのでしょう…?
個性の違うもの同士が同じ空間にいると、ぶつかり合うことも多々あります。それでも各々が妥協点を探し、お互いを気遣いあいながら仕事をすることで会社が成り立っているのです。
その中で、この2人のあまりに「自己中心的」で、「他人を顧みない」行動は、本当に他の会社で社会人を経験してきたのかと疑うレベルでした。むしろ人としてどうなの? と問いたくなります。
しかしこの出来事から、やはり世の中にはいろいろな人がいるなぁと改めて痛感しました。そして私自身も、気づかないうちに「自己中心的」と取られる行動をしていないか、自分を見つめ直す良い機会になったのではないかと思っています。今後も初心を忘れず過ごそう、と心に決めた出来事でした。
(ファンファン福岡公式ライター/Misaki)