3人の息子たちと私で、お互いのほっぺを撫でながら「お餅みたい!」「スベスベだね」と楽しいひと時。ところが、私のほっぺを撫でた息子の口から出たのは「ママのほっぺは○○みたいだね!」という信じられない一言でした。
きっかけは赤ちゃんのほっぺ
わが家には3人の息子がいます。一番下の子はまだ2歳で、むちむちのほっぺがとてもかわいらしいお年頃。小学生になった長男・二男も、三男のほっぺを撫でたりさすったりつねったり、もみくちゃにしながら毎日かわいがっています。
そんなある日のこと。いつものように三男のほっぺをむちむちと撫でながら
「三男くんのほっぺはお餅みたいだね」という長男の言葉に、
「それならお兄ちゃんのほっぺはどんな感じかな?」と3人の息子と私の4人で、お互いのほっぺを撫で合う遊びが始まりました。
ヤバいを禁止してみたら…
「お互いのほっぺを触ってみてどうだった?」と聞くと
「うーん。ヤバい!」と声を合わせて言う息子たち。最近は何を聞いても一言目には
「ヤバい」か
「エグい」と言います。
「ヤバいじゃ分からないからもっと分かりやすく言ってみて」と言うと2人とも考えだしました。
小学4年生の長男のほっぺはやや乾燥していて、ふっくらした印象。
「お兄ちゃんのほっぺは… 風船みたいだね!」という二男。
そういう二男のほっぺはきめ細かくひんやりとしています。長男に感想を聞くと
「うーん。ツルツル? なんか…スベスベのコップ(陶器)みたいな感じ!」と自分にあるものの中から懸命に答えに近いものを探しているようでした。
普段はささいなことで喧嘩ばかりの息子たちも、お互いのほっぺを触り合って少し照れ臭そうにしながらも楽しい時間が流れていきます。
ママのほっぺは?
ほほえましいやりとりの中、
「ママのほっぺも触ってみよう!」と息子たち。3人の大中小の手のひらで、つねったりさすったりされるがままになりながらも、好きなだけほっぺを触ってもらいました。
「どうだった? ママのほっぺ!」と聞くと、顔を見合わせてシシシ…と笑う息子たち。
「エグい!」また出ました。エグい、です。
「エグいじゃなくて、もっと分かりやすく教えて」とお願いすると、二男がうーんと考えてから
「ママのほっぺはね、腐った毛ガニの甲羅みたいだね!」と満面の笑みで答えてくれました。
… 腐った毛ガニの甲羅…? これを一体どう捉えたらいいでしょう。毛ガニの甲羅なんて触ったこともないはずです。テレビで見たのでしょうか。私のほっぺを触って思い浮かんだのが毛ガニの甲羅ということは、つまりゴツゴツのぼつぼつだっていうこと…? それが腐っているなんて、一体どんな状況なんでしょうか、私のほっぺは。
生きている毛ガニを目指して
思いがけない一言に、笑顔を顔に張り付けたまま固まってしまった私。そんな私を横目に長男と二男は再び三男のほっぺを撫でます。
「やわらかいねぇ。むちむちで気持ちいいねぇ~」腐った毛ガニの甲羅を触った後は、モチモチな感触がよろしいようで、まるでお口直しです。
こんなことなら「エグい」のままの方がまだよかったかもしれません。もっと分かりやすく! なんて言わなきゃよかったと後悔です。そういえば最近スキンケアも適当だったし、年齢を重ねて気になるところも増えてきました。
その晩、お風呂あがりに久しぶりにパックを取り出し、丁寧にスキンケアの時間を取りました。せめて活きのいい毛ガニくらいになってほしいと願いながら。
(ファンファン福岡公式ライター/本田 すのう)