転入・転校はかわいそう? 都会から田舎の学校に転校したら好奇の目にさらされた話

近年、子どもを田舎でのびのびと育てたいと考える親御さんは少なくないと思います。都心では中学受験が激化していたり、子どもがのびのびと育つ雰囲気を感じにくかったりすることも、田舎での子育てが注目されている要因です。とはいえ、子どもにはそれぞれ個性があるので、田舎での暮らしがすべての子どもにマッチするわけではありません。本記事では、都会から田舎に引っ越して感じた田舎の暮らしにくさについてお話します。

目次

都会出身は特別な存在

写真AC

 田舎で生まれ育った子どもたちにとって、東京はテレビや雑誌の世界のようなキラキラとした場所ということは珍しくないように思います。なぜだか、わが子の転校先の学校で「東京から転校生が来る」とうわさになっていたようで、娘は芸能人を見るかのような好奇心あふれるまざなしで、転校初日からジロジロ見られました。

 東京に住んでいても芸能人をよく見かけるわけでも、おしゃれなレストランで頻繁に食事するわけでも、雑誌に載っているおしゃれな洋服を着ているわけでもない…。それでも、田舎で暮らしている子どもにとっては「東京から来た子ども」というだけで、自分たちとは異なる特別な存在のように見えるのです。

 わが子が少しおしゃれな洋服を着ていたり、かわいらしいヘアゴムで髪を結んだりしていたら
 「都会の子は違う」
 「○○ちゃんは東京の子だから」と、引っ越してから数年経っても言われ続けていたようです。また、子どもだけでなく、親御さんたちからも
 「○○ちゃんは東京の子だからおしゃれね」と言われたり、運動や勉強で少し目立った成績を残すと  
 「東京の子は優秀ね」と言われたりすることも。

 また、娘は
 「芸能人の〇〇さんに会ったことはある?」
 「ディズニーランドにいつも行っていたの?」といった質問をされることも少なくなかったようで、子どもながらに対応に困っていたようです。

繋がりが深い田舎のコミュニティ

写真AC

 田舎の学校に通う子どもたちは幼稚園からずっと一緒で、親同士も学生時代からの知り合いであることも多く、すでにコミュニティができています。児童クラブなどの集まりでも、親子だけでなく、祖父母世代においても深い結びつきができているため、そこに入っていくのは容易ではありません。

 また、田舎には方言があるため、子どもは周囲と同じ言葉を話せない自分に疎外感を抱いたり、言葉の違いにとまどったりすることもあります。特に、小学校低学年くらいまでの子どもであれば、お互いが話す言葉を
 「変な言葉」
 「あの子、喋り方がおかしいよ」と思ったことをストレートに言ってしまうこともありますので注意が必要です。

 都会であれば、レジャー施設は多く、同じ学校の人と商業ビルや映画館などで顔を合わせることはほとんどありません。しかし、田舎は遊べる場所や食事する場所が限られているため、外出先で顔を合わせることもよくあります。

 また、塾などの習い事の選択肢も少なく、車で10分以内の距離のところに通う人が多いため、見慣れた顔が集まります。苦手な人がそこにいれば、習い事の継続が難しくなるような気がします。実際、娘は学習塾にからかいのような軽いいじめをしてくるクラスメイトがおり、わが家は塾難民になったことがあります。塾には通わず、通信教育で勉強させることにしました。

子どもの適応力は高い!

写真AC

 引っ越しから数年経つと、学校にも友達が多くでき、楽しそうに生活しています。時々、友達や親御さんたちから
 「東京の人はおしゃれだね」などと言われることもあるようですが、特に気にしていない様子。

 また、友達とお店や習い事で顔を合わせるとうれしそうにしています。休日に思いもよらぬ場所でばったり会えるのも、田舎ならではの魅力なのかもしれません。子どもは大人よりも適応力が高く、記憶力もよいので、親よりもはやくその土地や慣習、方言にもなじんでいます。

 娘は現在の学校の友達だけでなく、転校前の学校で親しくしていたお友達と連絡を取り合うことでも心の安定を保っているような気もします。幼くして、いろいろな地域に親しい人がいるのはよいことだと思っています。

(ファンファン福岡公式ライター/ゆき)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

ファンファン福岡(fanfunfukuoka)は、街ネタやグルメ、コラム、イベント等、地元福岡・博多・天神の情報が満載の街メディア。「福岡の、人が動き、人を動かし、街を動かす」メディアを目指しています。

目次