暮らし上手のヒント (2)潜伏期間の違いから知るいろいろな食中毒

 腹痛、吐き気、下痢、発熱などさまざまな症状が出る食中毒は、直前に食べた物だけが原因とは限りません。
 普段、当たり前にしていることが思わぬ食中毒を引き起こすこともあります。
 食中毒を予防するためには、その種類や特徴、原因になりやすい食品や注意のポイントを知っておくことが大切です。

1. 食中毒は何時間後に発症する? 原因は?

 食中毒を引き起こす原因には細菌やウイルスなどがあります。原因となる食品を食べてから症状が出るまでの時間【潜伏期間】は食中毒の種類によってさまざまです。


【30分~6時間】黄色ブドウ球菌
 ヒトの皮膚にいる細菌。主な原因食品はおにぎり、弁当、寿司、調理パン、サンドイッチ、麺類など。

【30分~6時間】セレウス菌(嘔吐型)
 自然界に広く存在する細菌で、土がつきやすい穀類や豆類が感染源に。主な原因食品はチャーハンやスパゲティなど。

【6~18時間】ウェルシュ菌
 動物の腸管、土壌などに広く生息する細菌。主な原因食品は、大量に調理し室温で放置してしまうことが多いカレーやシチューなど。

【12~48時間】サルモネラ
 自然界に広く存在する細菌。主な原因食品は生卵、オムレツ、食肉など。

【1~7日】カンピロバクター
 鶏や牛、ペットなどの腸管内にいる細菌。主な原因食品は鶏肉(特に加熱不十分なもの)、飲料水、生野菜など。

【3~8日】腸管出血性大腸菌(O157など)
 家畜の腸管にいる病原大腸菌の一つ。主な原因食品は、加熱不十分な牛肉、牛レバーなどの食肉、井戸水など。

【2~9週間】E型肝炎ウイルス
 主な原因食品は加熱不足のブタやイノシシ、シカなどの肉や内臓など。

2. 日頃からできる食中毒予防のポイントは?

●食中毒の予防の基本は「つけない! 増やさない! やっつける!」です。
 「つけない」:石けんで丁寧に手を洗う。調理前に調理器具をよく洗う。
 「増やさない」:調理後はすぐ食べる。食材・食品は低温で保存する。
 「やっつける」:調理時に十分加熱する。


●家庭でできる食中毒予防ポイント
①食品を購入するとき
・生鮮食品は新鮮な物を購入し、表示のある食品は消費期限などを確認しましょう。
②食品を保存するとき
・冷蔵庫や冷凍庫の詰めすぎに注意しましょう。
・肉や魚などはビニール袋や容器に入れ、他の食品に肉汁などがかからないようにしましょう。
③下準備・調理をするとき
・手をしっかり洗いましょう。
・包丁やまな板など、調理器具の使い分けをしましょう(生の肉や魚用と、生で食べる果物や野菜用など)。
④食品が残ったとき
・清潔な器具、皿を使って保存しましょう。
・時間がたち過ぎたら思い切って捨てましょう。
・温め直すときも十分に加熱しましょう。

【コラム】加熱しても死なない食中毒菌がある?

 多くの食中毒菌は加熱により死んでしまいますが、セレウス菌やウェルシュ菌など「熱に強い殻(芽胞)を作る」細菌もあります。食中毒の原因となる細菌は10~60℃の環境で急速に増殖し、食中毒を引き起こします。調理後はなるべく早く食べるか、大量に作ったものを保存するときは、小分けにして速やかに冷まし、冷凍、冷蔵保存しましょう。


●問い合わせ
福岡市 保健医療局 保健所 地域衛生部 食品安全推進課
Email: shokuhinanzen.PHB@city.fukuoka.lg.jp

提供:福岡市保健医療局

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