私が小さい頃、明治生まれの祖母がちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。少しずつアップしていきます。
祖母が生まれる前から、家にはシロという真っ白な犬が飼われていた。
とても大人しく、よく言うことを聞くので皆からたいそうかわいがられ、祖母も姉妹のように仲良く育った。
祖母が六歳頃の日暮れ時、風呂の焚き付けをしているとシロが火がついたように吠えだした。
あわてて表にまわると、これまで見たこともないような形相で、つないでいた紐を噛み切ろうとしている!
「シロ、どうした?」祖母が近づいたその時、シロは紐を引きちぎり矢のように走り出した。
「シロー!シロー!」
しばらくそのあたりを探してみたが見つからない。
どんどん日も落ちるし泣きそうになっていると、隣村に行っていた祖母の父親がシロと一緒にこちらに歩いてくるのが見えた。
「どこでシロを?」祖母が聞くと、父は答えた。
「帰り道の途中から、ずっと何かの群れがつけてきててなあ…南無三と思った時にシロがやって来たんだ。すると気配がなくなってな。こいつのおかげで助かった」
父の側でシロは得意そうに大きく尻尾を振った。
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