いまさら言うまでもないが、福岡の食文化は豊かで、多様である。大概のジャンルの料理がどこかしらで食べられるし、味もコスパも満足度が高い傾向にある。旅行に行っていろいろな土地の料理を食べると、もちろん都度感動するのだが、帰福すると「けど結局、食は福岡が総合的には一番だよね」とか思ったりしがちだ。
ただしもちろん、福岡ではなかなか味わえない食もありはする。私にとってその筆頭は、東京でよく見かける「立ち食いそば」であり、なかでも「コロッケそば」だ。
東京出張の際に最低1回は入れておきたい「そば」
東京への出張中、必ず1食は食べておきたいのは「そば」である。それは「ざる」とか「せいろ」とかいわゆる「江戸前蕎麦」な場合もあるが、それ以上に、安価な「立ち食いそば」を欲することが多い。福岡もそばの名店は複数あるのだが「立ち食いそば界隈」になると、選択肢が一気に狭まる。
今回の出張でも、結局2泊3日で、3食温かいそばを食べていた。(写真は、日本橋にある「そばよし」さんの、かき揚げそば)
中でも、定期的に食べたくなる「コロッケそば」
そんな温かいそばの中で、私が最も好んで食べるのが「コロッケそば」である。かつて東京で暮らしていたころ、しょっちゅう食べていたこともあるかもしれない。
私は「サクサク」したものが、汁とかソースで「しっとり」するのが好きだ。例えばメンチカツにデミグラスソースがたっぷりかかっているとテンションがあがる(参考記事参照)。「コロッケそば」はその最高峰で、さくさくのコロッケの衣をスープにひたしてしっとりさせて食すと、エンドルフィンが分泌される。
ただ「立ち食いそば」自体が少ない福岡の中でも、特に「コロッケそば」に巡り合うことは稀であり、調べた限りではもともとが「関東地方のローカルフード」という説も見られる。
食べたくてもなかなか巡り合えないので「牧のうどん」で、キムチうどんにコロッケをトッピングしたり(写真参照:これはこれで絶品)、「どん兵衛」のそばに、惣菜のコロッケをのっけたりして、抑えられない胸の高まりをなんとか鎮静させてきた。
いつでも探しているよ、福岡で「コロッケそばを」
ある平日のランチタイム、寒くて、温かいそばが食べたくなった。真っ先に思い起こすのは、やはりコロッケそばだ。
ただ私は長い年月をかけ、どっかに「コロッケそば」置いてないかなと、向かいのホーム、路地裏の窓、急行待ちの踏切あたり、そんなとこにあるはずもないのに、探し続けていたので、特に天神界隈で食べられないことは理解していた。
木枯らしが吹く街を、哀愁を漂わせながら、トレンチコートの襟をたてて彷徨い、今泉から大正通りを赤坂あたりまで歩いたところ、ある店の前で足が止まった。そして震えた。
「ゆで太郎」あるやん・・・・。
国内最大のそばチェーン「ゆで太郎」について
ゆで太郎とは、全国で210店舗(2023年6月時)を展開する、国内最大、業界最大手の「そば屋のチェーン店」である。自分の中では「ゆで太郎」と「富士そば」が、この業態の2大巨頭というイメージがある。
ただ、福岡・九州ではそこまで馴染みがないというか、認知度が低い。と言うのも、九州全域でゆで太郎が出店しているのは、調べる限り今回私が巡り合った「赤坂大正通り店」と「金の隈店」の2店。2/210なのである。九州は、うどん・ラーメンが強いというのもあるかもしれないが、もっと進出してほしい!
なおゆで太郎は、必ずしも「立ち食い」ではなく、ゆっくり座れる店舗も多い。ただ、そこに流れるDNAは「関東の王道の立ち食いそば」だと思うし「美味しい立ち食いそば屋のスピリット」を背負っている。なので理論的には破綻しているかもしれないが、ゆで太郎は「立ち食いそば」だと私は思う。
久々のゆで太郎、コロッケそばを軸に、オーダーはどうする?
感動のあまり足をがくがく震わせながら入店。店頭の券売機に向かう。
メニューは豊富だが当然「コロッケそば」を軸にオーダー。お腹が減っていたので「ご飯とおそばのセット」の中からセレクトしようと見ていると・・・
ミニのり弁とのセットを発見。私は某お弁当チェーンで必ず「得のりタル弁当」を食べる無類ののり弁好きでもあり、ゆで太郎の商品開発しているのはもしかして自分ではないのだろうか、という疑念さえ浮かびつつ「そばとミニのり弁のセット+コロッケ」をオーダーした。
なお、最近の「ゆで太郎」店舗では「もつ次郎」という「もつ煮」をメインとしたラインがあり、これがまた自分好みでもあって最高なのだが、こちらはまた別の機会にレポートしたい。
オーダーして間もなく、やってきました「そばとミニのり弁のセット+コロッケ」。
ああ、いい眺めだ。来年あたり、日本三景に入っても不思議ではない。
「コロッケそば」と私、福岡での邂逅
「コロッケそば」は、お店によって最初からオンしている場合と、別皿で提供してくれる場合があるのだが、ゆで太郎は後者。なお、私は別皿で出してほしい派である。なぜなら・・・・
自分で乗っけて・・・・
つゆに浸していく瞬間を楽しみたいのだ。そしてつゆの汁をしっかり吸って、やわらかく、ほろほろ気味になったコロッケにかぶりつく。
これこそ、最もフィジカルで、最もプリミティブで、最もフェティッシュなそばの食べ方です!(by ハリソン山中)
福岡で一般的なスープよりも、醤油が強めのつゆに、毎日店舗で製麺されている「江戸きりそば」が馴染む。コロッケが徐々につゆに溶けてゆき、風味が変化する。最高。コスモを感じる。
ほっかほっか亭のDNAを継ぐ「のり弁」
続いて、セットの「ミニのり弁」をいただく。
タルタルソースはかかっていないので、代替でマヨネーズを添える。一口食べてわかった。これは私が愛するのり弁です。公式サイトで調べたところ、ゆで太郎の社長さんは「ほっかほっか亭」の元FCオーナーだったとのこと。「ほっかほっか亭」魂を感じる、こだわりののり弁だった。
もう、「コロッケそば」を探して、途方にくれない
すっかり満足して店を出る。「コロッケそば」食べたいけど、この辺ないもんなぁ、と途方に暮れていた日々とは、本日をもって決別だ。グッバイ宣言。
ブルーハーツの名曲リンダリンダでヒロトは「決して負けない強い力を僕はひとつだけ持つ」と歌ったが、この場合「強い力」とは「ゆで太郎のコロッケそば」なのかもしれない。
ゆで太郎さん、福岡・九州もニーズありますよ!出店拡大してほしい!