上の息子が初めて迎えた節句。初節句から10年経った今でもあの時の賑やかな雰囲気をよく覚えています。当日は幸せな空気が満ちていましたが、その日の後半、義母の予想外の一言で場の空気を一変させるとは、この時は思いもしませんでした。
楽しい初節句

兜を飾る場所を妻とあれこれ相談し、息子が触らないように気をつけながら設置。親として初めて迎える節句に、私たち夫婦は少し舞い上がっていました。
当日は義両親をはじめ、親族も集まっての大宴会。みんなで息子の健やかな成長を願う、まさに家族がひとつになる場でした。義両親も孫が可愛くて仕方がない様子で、
「立派な兜だね」と喜んでくれたのを覚えています。
義母から衝撃の一言が…

宴もたけなわ、親族みんなで食事を楽しんでいるときでした。和やかな雰囲気の中、妻の母である義母がふと口にしたのです。
「次は女の子も頑張らないとね」その瞬間、一瞬場の空気が止まったように感じました。
義母は普段から
「あなた(私)最近太った?」
「男は外に出てしっかり稼いでこないとね」などデリカシーのない発言をしていましたが、まさかお祝いの場でもとは…。私は笑顔を保ちながら
「そ、そうですね」と返しましたが、内心では戸惑いが隠せませんでした。周囲も微妙な反応を見せ、妻が軽く笑って息子の話題に変えようとするのがわかりましたが、私には義母の言葉が頭から離れません。
節句は息子を祝う日。
そんな日に「次」という言葉が持つ重さが不意にのしかかり、「今この瞬間を祝ってほしい!」という思いと、「義母の悪気のない発言だ…」という理解の狭間で揺れる私。賑やかだったはずの席が、どこかぎこちなくなったことを感じながら、私は表情だけは崩さないように努めていました。
戸惑いの節句に

義母の一言に戸惑いながらも、私は息子の笑顔に目を向け、「この場の主役は息子だ」と気持ちを切り替えました。妻も隣で話題を変えようと努力しており、その姿に助けられました。義母の発言を否定せず、「家族みんなでこの場を楽しむことが一番大切」と自分に言い聞かせました。
私は父親として、息子の笑顔を守ることに集中。義母の言葉を流しつつ、場の空気を整え、親族と楽しい時間を過ごすことで、節句を家族の思い出にすることを優先しました。
その夜、宴が終わった後に妻と二人で話しました。義母の発言について触れると、妻は
「たしかにタイミングとしては驚いたけれど、悪気はないと思うよ」と落ち着いた様子で言いました。その言葉に私も気持ちが少し軽くなり、「大切なのは、今目の前にいる息子たちの成長を見守ることだよな」と改めて感じました。
私たち夫婦にとって、節句は息子たちの健やかな成長を願う行事。義母の言葉に振り回されるのではなく、これから先も息子たちが健康で幸せに育つことを第一に考えようと話し合いました。「家族として何を大事にするか」を確認できたこの時間は、むしろ今後の育児への指針になったように思います。
義両親との距離感を考えた一日
今回の節句を通じて、義両親の価値観との違いを改めて実感しました。しかし、そうした違いも家族関係の一部だと気づき、「家族にとって本当に大切なものは何か」を見直すきっかけになりました。
息子たちの成長を中心に考え、夫婦で価値観を共有できたことで、親としての自信も少し持てたように思います。この日を境に、義両親との距離感を適度に保ちつつ、自分たちらしい家族を築いていこうと心に決めました。
(ファンファン福岡公式ライター/ひふよ)


