2歳児クラス・3歳児クラスを担任としてみてきた子どもたち。最終学年の年長の時、再び担任として関わることになりました。あんなに小さかった子どもたちが立派に成長していたので、私も小学校に送り出すため、一生懸命頑張ろうと思っていたのですが、子どもたちに言われた一言で保育士を辞めたくなってしまったのです。
給食中に園児が発した一言

10月の運動会に向けて、練習を頑張っていた子どもたち。お父さん、お母さんにカッコイイ・可愛い姿を見せようとかけっこやダンスなど一生懸命練習していました。練習後の給食時間に、普段はみんなの事を楽しませてくれる人気者のA君がちょっといらだった口調でこう言ったのです。
「運動会の練習はもうやりたくない!」
「どうして?」と聞くと
「だって、毎日運動会の練習ばかりで疲れた。全然遊べないもん。 もう、やりたくない!」
たしかに、普段は、登園後遊ぶ時間(自由時間)が45分間ありますが、運動会が近い事もあり、年長クラスは遊ぶ時間を使って運動会の練習をしていました。
今までの感情があふれる

運動会の練習ばかりになっていたのは、私が担当するクラスでは、体操教室の先生が指導する「組み立て体操」に時間がとられていたからです。裸足で技をたくさん披露し、笛が鳴って次の笛が鳴るまでの約10秒間、技を保っていなければいけません。
練習するたびに集中力がなくなり、技を披露した後立つ際にふらふらしてしまう子がたくさんいるのです。ふらふらする子や膝に付いた砂を払うと見栄えも悪くなります。
練習の様子をみた、過去年長クラスの担任を持ったことのあるベテラン先生から
「組み立て体操、今のままで大丈夫? 見栄えがよくないよね…」と言われ、体操教室の先生が
「あのクラスは集中力が続かないから、当日上手くできないかもね」と言っている話も聞きました。その焦りから何度もやり直しをさせてしまい、結果的に遊ぶ時間より運動会の練習をたくさん行うようになっていたのです。
子どもたちは遊ぶ時間がないこともあり、A君に続くように
「もう体操やりたくない!」
「いつになったらおもちゃで遊べる?」
「○○ちゃんとあそびたい…」など不満が爆発します。
練習中の集中力が続かない様子に、子どもたちのやる気が出るような声かけの足りなさに不甲斐なさや焦りを感じながらも指導していましたが、子どもたちから出た「もう、やりたくない」に私の心は完全に折れ、子どもたちの前で大泣きしてしまったのです。
子どもたちの前で泣くのはよくないと感じ、事務所にすぐ避難しました。事務所で
「もうやだ…。年長の担任やりたくない、保育士辞めたい」と泣いていると上司が
「しばらく休憩していていいよ」と言ってくれて、私が事務所にいる間、上司が私のクラスに入ってくれました。
不安はため込まず相談することが大切

その後、組み立て体操の練習では上司も一緒に見てくれることが増え、技を披露した後どうすればかっこよく見えるのか、休憩時間に子どもたちに教えてくれました。その結果、少しずつ技を披露した後立つ際もふらふらすることも減りました。
運動会当日は今まで以上に頑張って技の1つ1つを丁寧に行いながら、技の披露後にふらふらする子も、砂がついたズボンを払う子も1人もいませんでした。体操が終わった後は嬉しそうにしており「じょうずにできた!」と達成感に満ちている子もいれば、「は~体操めっちゃ疲れた」と言いながらも嬉しそうにしている姿が見られたので、良かったです。
上手くできない、いかない、どうすればいいのか分からないと私は、周りの目を気にしたり、先輩に迷惑をかけたらいけないと思い、相談できずそのままにしてしまう事が多かったです。相談するのが苦手な結果、今回のようなことに発展してしまいました。早めに相談して解決しないと、結果的にいろんな人に迷惑をかけてしまうということが分かったので、些細なことでも相談していこうと学べました。
今回の出来事で保育士を辞めたくなったのは事実ですが、2・3歳児クラスの時にはうまく意思表示ができなかったのが、数年でこんなにも意思表示ができるのかと、子どもたちの成長を感じることができました。私もめげずにこれからも成長していかないといけないなと思いました。
(ファンファン福岡公式ライター/音寝)


