繰り返す不妊治療の失敗で、疲弊してく心と体

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初めての体外受精での胚移植が流産になった後、繰り返し胚移植を行いました。

不妊治療が長引いて結果が出ないと、経済的、肉体的な負担に加えて精神的な負担もかなり大きくなります。今回は、そんな私の経験談です。

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4年の間に9回の胚移植を行いました。

初めての移植で流産をした後、続けて移植を行いましたが、どれも陰性反応、あるいは化学流産でした。化学流産と判断されると、妊娠反応は出ているもののホルモンの数値が低く、それ以上の妊娠継続が無理だとみなし、投薬を中止し、生理を待ってリセットすることになります。

私が通院していたクリニックでは、「妊娠おめでとうございます。」と書かれた紙に血液検査の数値が記入されたものを渡されるので、一瞬大きな喜びが訪れます。その後に数値の意味を説明され、化学流産だと告げられます。ならば最初から「妊娠おめでとう」なんて書かれていない別紙で渡して欲しいと何度も思いました。妊娠陽性反応が出ているなら、投薬を続ければ継続して赤ちゃんが育ってくれるのでは?と期待してしまうのですが、無理なのだそうです。

結局、治療を休んでは再開し、を繰り返し、約4年の間に9回の胚移植を行いました。1回の移植ですぐに妊娠できる人もいれば、何度繰り返しても上手くいかない人もいます。頑張れば必ず結果が出るわけではないのが、不妊治療の難しいところです。

精神面も体もボロボロに。

最初は涙を流しながらも、毎月気持ちもリセットして前向きに取り組んでいた不妊治療でしたが、期間が長くなるほど、また妊娠不成立の回数が増えていくほど、精神的に疲弊していきました。

街で妊婦さんやベビーカーを見るたびに目をそらしたくなり、友人の出産祝いを買いにデパートの子供服売り場に行ったときには動悸や吐き気さえ感じる事もありました。今思えば軽いパニック発作だったのかもしれません。

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友人の妊娠や出産の報告を素直に喜べなくなり、自己嫌悪を繰り返します。30代後半の女性がターゲットの雑誌は当たり前に「ママコーディネート」のページがあって不快になり、雑誌さえ買わなくなりました。SNSでの赤ちゃんの投稿も目にしたくなくて、人様の投稿は見ないようにスクロールしなくなりました。

 子供がいる友人に相談しても、不妊治療の経験がないと、この苦しみは本当の意味で理解できないだろうし、気を使わせてしまうだけです。どんどん気持ちが暗くなり、ずっと独りぼっちで暗闇にいるような状態でした。

一方、薬の副作用で、体も朝からだるく、頭痛や吐き気を感じる事もありました。健康診断を受けて、その結果に驚いたのですが、お酒は一滴も飲んでいないのに肝臓の数値が病気のレベルまで悪化していました。不妊治療では、ずっと女性ホルモンの投与が続きます。女性ホルモンは肝臓で分解されるのですが、長期に渡って治療を続けた結果、肝臓を働かせすぎて悲鳴をあげていたようです。

 どおりで体がきつかったはずです。心も体も休めたい。自分の心と体に謝りました。年齢との戦いなので、根詰めて治療を続けていましたが、もう身も心も限界だと感じて、しばらく治療を休むことにしました。

仕事と不妊治療の両立の難しさ

高度不妊治療に取り組むために離職する女性も多いです。通院の為のスケジュール管理は会社や同僚の理解がなければ難しいですし、私のように体調を崩す場合だってあります。キャリアを重ねてきた女性が離職を決断するのは、とても辛い事ですし、離職したからといって妊娠が保証されているわけではありません。

私はフリーランスで仕事をしているので、自分でスケジュール調整が可能です。ですが、妊活の為に仕事を断ることに、とてもストレスを感じていました。流産や妊娠陰性判定の診断を受けた後に、仕事に行って平然と仕事をしなくてはならないのも、精神的にしんどかったです。治療を休むのと同時に、仕事もグッと減らして趣味やゆっくりする時間を増やしてみる決断をしました。

治療を休んだら日常が戻ってきました。

治療を休むと、それまで毎日のように飲み忘れてはいけないと管理を続けていた薬の服用もありません。旅行にだっていけます。仕事が入ってもスケジュール調整にストレスを感じる事もありません。体の不調も解消されました。

毎月やってくる生理には、「また治療が上手くいかなかった。妊娠できなかった。」と落ち込む必要もありません。何の意味も持たない普通の生理に喜びさえ感じました。高額な治療費を捻出する必要もないので、いつもよりちょっと贅沢な買い物をする余裕もあります。

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不妊治療の事を忘れて過ごす日々は本当に毎日が気楽で、このまま治療を再開したくないという気持ちが生まれてきてしまいました。とはいえ、妊娠・出産にはタイムリミットがあるので、本当に子供を望むのならいつまでも休んでいるわけにもいきません。

治療を休んで1年近く経ったころ、夫から「不妊治療どうする?」と切り出されました。夫もずっと私が治療を再開するのを待っていたのに言えずにいたのかもしれません。夫の気持ちを考えると、いつまでも逃げてばかりもいられません。それをきっかけに、もう一度頑張ってみようか、と治療の再開を決めました。

重い腰を上げて久々に不妊治療の病院にいくと、以前はできなかった様々な検査ができるようになっていました。次回はその話をしたいと思います。

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著者情報

福岡を拠点にフリーアナウンサー・タレントとしてテレビリポーター、イベントMC、ラジオパーソナリティ、コラム執筆など多方面で活躍中。健康管理士、食生活アドバイザー。自身の不妊治療の経験を通して、より多くの方に不妊治療に対する理解を深めて欲しいと発信している。

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