スーパーやショッピングモールでよく聞く迷子のお知らせ。実際に出会ったことはありますか? 私はスーパーの店員として迷子によく出会うのですが、先日遭遇した少し変わった迷子のお話をさせてください。
迷子の女の子

私は地域の中でも大きめのスーパーで働いています。休日になれば隣町からも買い物客が来るようなお店です。
「ちょっと店員さん」品出しをしていると後ろから女性のお客さんに声をかけられました。
振り向くとお客さんが
「あそこにいる子、迷子っぽいのよ。ずっと1人でそのへんうろちょろしていて。大丈夫かしら」と言うのです。私はお礼を言い迷子らしき女の子に話しかけに行きました。
ママがいない…

1人でアイスコーナーにいる女の子、2〜3歳くらいでしょうか。
「ねえねえおねえちゃん、ママいるかな?」としゃがんで話しかけてみます。女の子は俯き少し黙り込んだ後
「ママいない…」とぼそり。
ママが見つからないのか、ママと来ていないのかは定かではありませんが、迷子だということはわかりました。
「ママ一緒に探そっか」と言ってみると女の子は小さく頷き私の横に並びました。
保護者を探す旅に
迷子が見つかった時はたいていは近くに保護者がいることが多く、とりあえずあたりを見回り見つからなければサービスカウンターへというのが流れです。しばらく女の子と歩き回りましたが、どこにも「迷子を探す保護者」らしき人物が見当たりません。元々売り場が広いうえにその日は休日でお客さんが多く、歩くのにも苦労するほどでした。
女の子が不安にならないように会話を交わします。
「誰ときたの?」すると女の子は
「マミイ」と言うのです。
「ママ」と「マミイ」違う人なの? と疑問に思いながらも
「マミイ、何色のお洋服?」
「マミイと2人できた?」と質問を投げかけながら店内を一緒に歩きます。タイミングが悪いのか、マミイとなかなか出会えません。
仕方なくサービスカウンターまで一緒に行き放送をかけてみることにしました。名前を聞き出すことができ、年齢は3歳。放送するには十分の情報です。
「今、マミイがここに◯◯ちゃんがいるってわかるように放送してみるからね」と声をかけると女の子は再び小さく頷きました。
「迷子のお知らせを致します。◯◯ちゃん、3歳の女の子がお連れ様をお待ちです。サービスカウンターまでお越しくださいませ。」
ついにマミイが登場!

程なくして
「◯◯ちゃん!」と青い顔をした女性が現れました。年齢は50〜60代、蛍光オレンジでピッタリとしたラインのトップスにゼブラ柄のパンツ。コツコツとヒールを鳴らしながらカートを押してきました。
若々しいけれどお母さんではなさそう、若いおばあちゃんという感じです。
「マミイ!」と女性に向かって女の子が叫びました。あなたがマミイなのね! 多分おばあちゃんだけどマミイと呼ばせるタイプなのでしょう。おばあちゃんやばあばと呼ばせるのに抵抗があるとはよく聞く話です。
とにかく見つかってよかったと胸を撫で下ろし、迷子を無事に引き渡しました。マミイと女の子はほっとした様子で、何度もお礼を言い手を繋いでサービスカウンターを後にしました。このようにはぐれてしまう子どもは多く、私は日々迷子と売り場を練り歩くのでした。
(ファンファン福岡公式ライター/「もずく」)


