人種・国籍・宗教・性別・年齢・障害の有無にかかわらず、全ての人が生きやすい社会を目指した活動が全世界で活発化しています。一人一人が個性を発揮し、多様な視点や論点を持つことが未来の可能性につながるという考えは、「DEI」=ダイバーシティ(多様性)・エクイティ(公正性)・インクルージョン(包摂性)と表現されます。
この「DEI」への関心を高め、1人でも多くの人が考えるきっかけをつくりたい。そんな思いで西日本新聞と電通九州で始動したのが、西から日本に虹をかける「NIJINIPPON(にじにっぽん)プロジェクト」。今回は、3月8日の国際女性デー(※)に合わせ、「福岡で女性として生きていく」をテーマに、総合物流会社の福岡トランス(北九州市)の美紗貴さんを取材しました。
※国際女性デー:1904年3月8日にアメリカ・ニューヨークで婦人参政権を求めたデモが起源となり、1975年に国連が3月8日を国際女性デー(International Women’s Day)と定めました。
結婚を機に転職して福岡トランスへ

―美紗貴さんは転職されてきたそうですね。これまでの社会人歴を教えてください。
美紗貴 始めは派遣で福岡市の百貨店でアパレル、子ども服の販売に就いていました。将来を考えキャリアアップしたかったので、転職して2社目は段ボールのメーカーに。そこでは事務職として経理を担当しました。その後、結婚して自宅から福岡市に通うのが厳しくなり退職。北九州市で仕事を探したところ、当社と縁があり入社しました。1年と少したったところです。
―福岡トランスを選ばれた決め手になったのは、どんな点ですか。また実際に入社したらどうでしたか。
美紗貴 転職のエージェントから紹介されたのでホームページを見てみたところ、門司で始まり、どんどん規模を拡張し、現在は国際物流も視野に入れていると知って「チャレンジしている会社なのだな、ここで働くと面白いだろうな」と感じたのが決め手でした。実際に働いてみると、まず最初に現場を知ることが大事だというので、新門司にある新門司物流センターで研修がスタート。同倉庫で扱う品や入荷・出荷の流れをつかんでいきました。ただ、そこではちょっと古いやり方やシステムがアナログな点、手間がかかっている点、在庫管理などが気になったりもしました。
―それらを伝えられたことで会社がシステムの改善に取り組まれたとか。
美紗貴 もともと会社の変革期でもあり、事務業務を集約しようとか、システムを変えようという動きがあったところで、課題や問題点、「こうしたい」と上げていった点など、いろいろ聞いてもらえたのがよかったと思います。声を取り上げてもらえて、とてもやりがいを感じました。積極的に意見を言いやすい空気感で、現場も事務も、みんながいろんな意見を出して問題解決にあたっている。この雰囲気は自分の性格にも合っていると思います。
育休・産休にも理解あり、話しやすい雰囲気に安心

―きょう1日の業務の流れを教えてください。
美紗貴 まず出社し、隣の通関業務の部署のみんなと一緒に8時から一緒に朝礼をします。通関業務とは、国外から入ってきた物を税関に申請する仕事です。朝礼の後、客先から届いた出荷指示をチェックし、現場の人に指示を伝え、出荷へ。出荷に当たっての納品書や路線便の送り状の作成などを一日を通してやり、その合間を見て請求書を作成します。
―最近、社内が以前と違う雰囲気になっていると感じるとか。
美紗貴 新門司物流センターで研修しているときときなどは、来客があると受付をするのは基本女性で、なかなか男の人は動かないなみたいな感じでしたが(笑)、今は世代交代もあり、現場でも女性だけではなく男性も受付対応をしたり、空気が変わってきたなと感じます。
―育休や産休にも皆さんの理解があり、話もしやすいそうですね。
美紗貴 結婚を機に福岡トランスに入りましたが、いずれ産休や育休を取得したいとなったときに周囲の人はどう思うのかなと考えました。営業事務センターが立ち上がったばっかりというのもあり、そんな時期にどう思われるのだろうと。そこでエンドパーティー(忘年会)や飲み会のときなどに、部長をはじめいろんな人に聞いてみたところ、「そんな周りのことを気にせんでいいよ」「そんなん気にしてたら、いつまでたっても産休取れないよ」ってもらえて。「絶対に子どもができたからって辞めないでね。育休取っていいんだよ」とも。実際、新門司に勤務している人で子育てをしながら9時から4時までの時短勤務対応の例を出して、「働く環境は合わせられるから、産休・育休を取って」と言われて一気に安心できました。
駅近で海が見える、好奇心を応援してもらえてうれしい

―仕事も家庭も両立して頑張りたいということですね。
そういった働き方ができたらいいなとも思います。また、営業事務センターは女性3人で、みんな似たような境遇で働いています。「仕事と家庭の両立で今こんなことを悩んでいて」「うちはこうしているよ」など、相談や意見を取り入れながら過ごしています。産休・育休なども希望する人が上手に取得できて、働きやすい環境を自分たちでもつくっていけたらいいなと思っています。
―ほかに職場で気に入っている点があれば。
美紗貴 「駅から近い」それと「窓からの眺めがいい」。海が見えて、すごく眺めがいいんですよ。パソコン作業をずっとやっていて、ちょっと息抜きしたいときに景色に目をやっています(笑)。
―今後の展望はありますか。
美紗貴 ここでは、やりたいと思っていることに対して、応援してくれる環境があるように思うので、長く働きたいなと感じています。今回、初めて物流業界に入って、もっと貿易のことを知りたいと考えたところ、通関の人たちも協力してくれて、勉強会を週に1度設けてくれるなど、積極的に応援してくれています。私、分からないことがあるのがあまり好きじゃなくて。多分好奇心が旺盛なんだろうなって。分からないことを聞ける人がいる環境がすごくうれしいです。
【福岡トランス】
創業70年を超える「総合物流会社」として、陸・海・空でのさまざまな輸送モードを組み合わせ、日本と世界との貿易をワンストップで行っています。

福岡トランス
所在地:〒800-0115 福岡県北九州市門司区新門司3-70
電話:093-481-3464


