7歳・9歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。
読書感想文をはじめ、文章を書く宿題が出る機会はたびたびあります。小学生の子どもを持つ保護者のなかには、「上手な作文の書き方が知りたい」と思う人もいるのではないでしょうか。
今回は、小学生の作文の書き方の基本や、上手に書くためのポイントなどを解説します。子どもが、よい文章を楽しく書くための参考になれば幸いです。
【作文の書き方】原稿用紙の使い方を覚えよう

作文は、原稿用紙に書いて提出するケースが多いです。まずは、原稿用紙の正しい使い方を確認しましょう。
題名・名前
作文の最初には、どのような文章を書いているかを示す「タイトル」と、誰が作文を書いたのかが一目でわかる「名前」を書きます。
タイトルを書くのは、原稿用紙のいちばん右の行です。上から2マスあけ、3マス目から書き始めます。名前は2行目の下1マスあくように書きます。このとき苗字と名前のあいだも1マスあけるのが一般的です。
段落
作文を書くときには、いくつかの文を書いたら次の行にうつる、「段落」をつけるのが基本です。1段落あたりの文や文字の数の決まりはさまざまですが、小学生の作文の場合は120~180文字ほどを1つの段落にまとめることが多いです。
新しい段落にする場合は改行し、行の上を1マスあけて次の文を書き始めましょう。
句読点
「、」や「。」などの句読点は、1マスに1つ、マス目の右上に書きます。ただし、行の最後に句読点がくる場合は、直前の文字と同じマスか、マスの下に書き、行のいちばん上に来ないように注意しましょう。
「ゃ」「ゅ」「ょ」のように、小さく書くひらがな、カタカナも同様のルールです。
会話文
文章中に会話が出てくるときには、かぎかっこ(「」)を使って、会話を表現します。会話文の書き方のルールはいくつかあるので、以下を参考にしてください。
・前の文章から続けず、改行して会話文をスタートする
・1マス目にはじめのかぎ(「)を書き、2マス目から会話文を書き始める
・会話文が2行以上にわたる場合は、2行目以降の1マス目をあける
・終わりのかぎ(」)は句点(。)と一緒に1マスに書く
・次の文章は改行して書くが、段落が続く場合は1マスあけなくてもよい
また、かぎかっこのなかでさらにかぎかっこを使いたい場合は、以下のように二重かぎ(『』)を使います。
「この前、○○ちゃんが『隣町に映画館ができるらしいよ』って、いっていたんだよね。」
わが家の息子たちは、1年生の中盤くらいから「あのねちょう」という日記が定期的に宿題として出されます。このとき、原稿用紙やノートの使い方を「作文の書き方の基本」としてプリントで教えてくれます。
身近な出来事を振り返る内容から作文の書き方を学んでいく小学校は、少なくないのではないでしょうか。
原稿用紙の使い方(https://service.zkai.co.jp/el/course/sakubun_club/sakubun-kakikata/genkouyoushi.html)
【作文の書き方】基本の流れ

原稿用紙の使い方がわかっても、何の準備もせずに思いのまま作文を書き始めると、よい文章は書けません。作文の書き方の流れを知ると、小学生もわかりやすく、人の心に響く文章がスムーズに書けるようになるでしょう。
テーマを決める
まずは、「どのような作文を書くか」というテーマを決めます。小学校の宿題では「読書感想文」「運動会の振り返り」のように、すでに詳しいテーマが決まっている場合も多いですが、「夏休みの思い出」「1年を振り返って」など、提示されたテーマがざっくりとしているときには、より詳細なテーマを自分で決める必要があります。
「家族旅行」「マラソン大会」「修学旅行」など、特に印象に残っていることや、これまでにない経験をしたこと、大きな成果を得られたことをテーマにすると、作文が書きやすくなるでしょう。
構成を作る
テーマが決まったら、文章の構成を作ります。構成とは、全体を組み立てる各部分のことです。「どこに行ったか」「どんな体験をしたか」「どんな気持ちになったか」など、同じような内容を書いていても、構成がめちゃくちゃだと読む人にわかりやすく伝わりません。
また、構成を作らずいきなり書き始めると、「内容が重複する」「自分でも何を書いているのかよくわからなくなる」といったことも起こりやすいので、大まかにでも構成を作るのがおすすめです。
「家族旅行」をテーマに、構成の例を紹介します。
1.いつ、どこに行ったか、誰と行ったか
2.旅行先で具体的にどのようなことをしたか
3.特に印象に残っている出来事と、そのときの気持ち
4.旅行全体の感想と、次に行きたいところ、したいこと
構成が決まると、「何をいちばん伝えたいか」がわかるので、作文のよりよいタイトルのアイデアも浮かびやすいです。
構成に沿ってメモする
構成を決めたらすぐに作文を書き始めてもよいですが、できればより具体的な内容をメモしてみてください。こちらも参考に、前述の構成を元にした具体例を挙げます。
1.いつ、どこに行ったか、誰と行ったか
・○月○日から○日まで、家族で沖縄に行った
2.旅行先で具体的にどのようなことをしたか
・飛行機に乗るのは初めてでワクワクした
・水族館、海、沖縄料理屋さんなどに行った
・海の見えるホテルに泊まって、夜は家族でトランプをした
3.特に印象に残っている出来事と、そのときの気持ち
・特に楽しかったのは、水族館
・いままで見たことのない大きな水槽のなかで、たくさんの海の生き物が泳いでいた
・自分も海のなかにいるような気持ちになれた
4.旅行全体の感想と、次に行きたいところ、したいこと
・沖縄では初めて見るもの、食べるものが多くてとても楽しかった
・今度は家族で北海道に行きたい
メモをしてみると、「この内容は絶対に入れたい」「これは不要かもしれない」ということも見えてきます。
実際に書く
構成・メモを元に、実際に作文を書きます。原稿用紙の使い方や誤字・脱字などに注意して、丁寧に書きましょう。
鉛筆なら間違えても消して書き直すことができますが、大幅な修正が必要になると、消した跡で用紙が汚れたり、消している途中に破れたりする恐れもあります。不安な場合は、別の紙に下書きをするのも1つの方法です。
見直しをする
書き終わったら、最後に見直しをします。誤字・脱字、原稿用紙の使い方以外にも、1つの文の長さや接続詞の使い方など、文章の内容もチェックし、必要に応じて修正してください。
小学生が作文を上手に書くには? 書き方の流れとそのコツを解説(https://www.889100.com/column/column071.html)
小学生の作文力を上げる4つのポイント

作文の書き方の基本がわかると、作文の宿題・課題にスムーズに取り組みやすくなります。まずは流れに沿って書けるようになることが大切ですが、慣れてきたら「よりよい文章を書く力」も磨いていけるとよいでしょう。
ここからは、小学生を作文力アップさせる4つのポイントを解説します。
「起承転結」を意識する
構成を作る際には、「起承転結」を意識します。小説などの場合、「起」は始まり、「承」はさまざまな出来事、「転」は結末に行き着くための最も盛り上がる部分、「結」は結末となります。
前述の構成例も、「起承転結」に沿った内容になっています。
1.起:いつ、どこに行ったか、誰と行ったか
2.承:旅行先で具体的にどのようなことをしたか
3.転:特に印象に残っている出来事と、そのときの気持ち
4.結:旅行全体の感想と、次に行きたいところ、したいこと
小学生の場合は「はじめ」「なか」「おわり」の3つの構成にする場合もあります。
主語・述語をはっきりさせる
文章は、主語「誰が」「何が」と、述語「どうした」「どうなった」が基本となり、そこに形容詞などの修飾語を足して、よりわかりやすい文章にします。主語と述語がはっきりしていないと、「誰の発言・行動か」が伝わりません。
たとえば、「僕は、夏休みに家族と旅行に行きました。飛行機のなかで『景色がきれいだね』といいました。みんなで窓の外を見ると、富士山が下に見えました」という文章では、「景色がきれいだね」といったのは「僕」なのか、僕以外の家族なのかは、はっきりとはわかりませんよね。
「僕は、夏休みに旅行に行きました。飛行機のなかでお母さんが『景色がきれいだね』といいました。僕とお父さんも窓の外を見ると、富士山が下に見えました」というように、「誰が」をはっきりさせると、読む人もより情景を思い浮かべやすくなります。
接続語・指示語を使いすぎない
接続語や指示語はできるだけ少ないほうが、読みやすく上手な作文になります。接続語とは、「そして・だから・しかし・なぜなら・でも」などの文と文をつなぐ言葉で、指示語は「それ・あれ・これ」などです。
たとえば、「沖縄に行って、水族館に行きました。そこで大きな水槽のなかの魚を見ました。あれはいままで見たなかでいちばん大きかったです」よりも「沖縄の水族館で、大きな水槽のなかで泳ぐ魚を見ました。僕は『いままで見たなかでいちばん大きい水槽だな』と思いました」のほうが、行動や心情が伝わりやすいのではないでしょうか。
また、「沖縄でおいしかったのはソーキそばです。だから僕はお母さんのぶんも少しもらいました。でも、海ぶどうは食べませんでした。なぜなら見た目があまり好きではないからです」と、接続詞が多い文章よりも「沖縄で食べたソーキそばは、お母さんのぶんもわけてもらうほどおいしかったです。だけど、みんなが「おいしい」といって食べていた海ぶどうは、見た目があまり好きではなかったので食べませんでした」としたほうが、スッキリとした印象の文になります。
文末の言葉を変える
作文では、文末を「です」「でした」などの「敬体」にするのが基本です。
しかし、「夏休みに沖縄に行きました。そのとき初めて飛行機に乗りました。沖縄では豪華なレストランでご飯を食べました。それからホテルに泊まりました」のように、文末に同じ表現ばかりを用いるよりも、「夏休みに沖縄に行きました。飛行機に乗るのは初めてでした。豪華なレストランで食べたご飯は、とてもおいしかったです。泊まったホテルもきれいでした」と、文末に同じ表現が続かないようにしたほうが、読みやすくなります。
書く順番を入れ替えたり、会話を挟んだりして、できるだけ同じ言葉が何度も続くのを避けましょう。
これだけで小学生の作文力は上がる!書き方を例文つきでわかりやすく解説(https://juku.brest.co.jp/9524/)
小学生の作文、保護者はどこをチェックする?

作文の書き方がわかっても、学年が低いあいだは子どもだけで完成させるのが難しい場合もあります。また、中学年・高学年になっても、できれば完成した文章は保護者もチェックしたいところです。
小学生の作文を見てあげるとき、保護者はどのような点に注目するとよいのでしょうか。
まずは「書けた」ことを褒めよう!
内容の善し悪しを判断する前に、まずは「作文が書けた」という事実を褒めてあげましょう。ゼロから自力で書き上げたときはもちろん、保護者の手を借りながらでも完成させられたことを認めてもらえば、子どもは自信を持てます。
また、褒められたことにより、その後のアドバイスを受け入れやすくもなるでしょう。
一文の文字数
内容についてまず確認したいのが、1つの文章の文字数です。一文が長すぎると、作文の中心となる話やメッセージが、読む人にうまく伝わりません。
一文の文字数は60文字以内を目安にし、長い場合は2文にわけるようにします。具体例は、以下の通りです。
沖縄ではまず水族館に行って、それからお昼ご飯を食べてお土産屋さんで買い物をしてから、海を見に行って、ホテルに荷物を置いてから夕飯を食べに行きました。
↓
沖縄では、まず水族館に行きました。水族館を出てからは、お昼ご飯を食べたりお土産屋さんで買い物をしたりしました。それから海を見て、ホテルに荷物を置いてから夕飯を食べに行きました。
文体
前述の通り、作文では多くの場合、「です」「でした」などの「敬体」を使います。文体には敬体のほかに「常体」があり、こちらは「~だ」「~である」といった文末表現になります。
常体で作文を書くこともありますが、どちらの文体を選んでも、全体を通して文体を統一するのがルールです。「沖縄に行きました。水族館で大きな水槽を見た。楽しかった。その日の夕飯はレストランで食べました」のように、常体と敬体が混ざっていないかチェックしましょう。
誤字・脱字
文字の使い方が間違っている、文字が抜けてしまっているというところがないかも、保護者が確認したいポイントです。漢字や送り仮名だけでなく、ひらがなで書かれている言葉にも誤字・脱字がないかじっくり見てください。
特に、年齢が低い子どもは、「水族館」が「すいぞっかん」、「体育」が「たいく」などのように、「耳から得た情報」を書き起こして、誤字・脱字をする可能性があるため注意しましょう。
何を伝えたいか
全体を通して読んでみて、作文で伝えたいことや、最も伝えたいことがわかる内容かどうかも確認します。たとえば、例に挙げた「沖縄旅行」の場合、大テーマである「夏休みの思い出」にふさわしい内容であることが大切です。
また、「特に楽しかったこと、印象に残っていること」が、旅行でのほかの出来事よりも厚い内容で書かれているかにも注目しましょう。
「次に家族でしたいこと、行きたいところ」「夏休みのほかの出来事」など、沖縄旅行と関係のない内容は、入れないか、冒頭で「夏休みに○○や○○をしたけど、最も印象に残っているのは…」としたり、「今度旅行に行くなら…」と、最後に書くのがおすすめです。
【小学校低学年】作文の書き方と親のサポート方法は?元国語教員が例文つきで解説(https://conobas.net/blog/school/17001/)
小学生の作文の書き方は複雑ではない!「得意だ」と思えるような練習を

原稿用紙の使い方や、テーマ決めから見直しまでの手順といった作文の書き方がわかると、小学生もスムーズに、そしてよりよい文章が書けるようになります。「難しい」「面倒くさい」と思われがちな作文ですが、「得意」「楽しい」と思えるよう、いろいろなテーマで書いてみる習慣をつけるとよいかもしれませんね。
息子たちの小学校では、夏休みに読書感想文が必ず宿題に含まれます。長男のときは1年生から書かなければならなかったため、大人のほうが一苦労でしたが、翌年から「1年生は免除」となり、次男は書きませんでした。
とはいえ、原稿用紙とともに「作文の書き方」なるプリントが配布され、今回紹介したような構成とメモを書いてから清書するシステムなので、課題図書を読んでメモまで完成させれば、その後は子どももそこまで大変ではないようです。
次に小学生が作文を書く機会があった際には、ぜひ「構成とメモ」でよい文章が書けるよう、挑戦してみてください。


