「SPANKY(スパンキー)K」の愛称でファンを魅了した元WBA(世界ボクシング協会)世界スーパーフライ級王者の鬼塚勝也さんが手がけたアート作品約500点を紹介する「鬼塚勝也 ファイティングアート展」が4月19日(土)~5月25日(日)、福岡県立美術館(福岡市中央区)で開催されます。美術館での個展は初めてという鬼塚さんの作風や作品に込めた思いを聞きました!
手がけた2万点超の中から500作品を展示

鬼塚さんは、1994年の引退後に戦いの場を子どもの頃から好きだったアートの世界へ。99年に福岡市博多区にボクシングジムを開設してからは、ジムの上階のアトリエを拠点に画材を手にする毎日を送っています。これまで手がけた作品は、なんと2万点超え! 「鬼塚勝也 ファイティングアート展」では、その中から約500点が展示されます。

1970年北九州市生まれの55歳。ボクサーとして活躍した20代前半は「試合用のシューズやガウンのデザインもしていた。表現することが好きだった」と鬼塚さん。引退後も趣味の一つとして、好きなボクサーの絵を描いたりもしていたとか。本格的に絵画を通して自分を表現したいと思ったのは、2011年に東京のギャラリーで初の個展を開いたのがきっかけ。「それからアートの世界に懸けていこうと思いました」
無意識の状態にして湧き上がってくる素描に自分を投影

フェルトペンやクレヨン、インクで描く作品は全て自画像。「ここ13年続けているのは、まず就寝前の無意識の状態でのドローイング(素描)。勝手に動く手に任せて、ふわっと湧き上がってくるものを描いています。その中から良いものをピックアップして自分を投影していくのが僕のスタイル」。
その後は意識的に神経を細やかに使いながら、ダイナミックな構図や鮮やかな色使いの作品に仕上げていくそうで、「複数の作品を同時に2、3年かけて進め、ニスを塗るときがゴールです」

その作風に影響を与えたのが、ある3歳児の絵。「あまり意識もせずに、丸を描いてようやく人の形になってきたぐらいの3歳児の絵にしびれたことがあって、そういう絵を描きたいと思った。とはいえ、単純に感性の赴くままに描くのではなくて、時間もエネルギーも費やして作品として成立させています」
自分との戦いから生まれるエネルギーを感じてほしい

「ファイティングアート」というネーミングは「自分自身と戦いながら生きてきた。そんな戦いの中で感じるエネルギーを表現したいし、自分の手から発するエネルギーを何よりも大事にしたい」との思いから。
美術館では初の個展。10年ほど前の作品から最新作までが展示されます。「自分にしかない独特の熱量を感じてもらえるのでは。作品数も見る人にとっては疲れるぐらいかも」と言いつつ、「特に学生や若い人に見てほしいですね。“何かやってみたい”“何かできるんじゃないか”と思ってもらえたらうれしい。未来ある子どもたちが何かに気づくきっかけになれば」と期待を込めます。

「弱いことはダメじゃない」というキャッチコピーの意味は? 「それは今回の展示を見てもらえばよく分かると思います。強さに自信があってボクシングをやっていたわけでもなく、弱いからこそ強くなりたいと思ってチャンピオンを目指した。アートも最初から才能なんか感じたことない。でもやり続けることによって、これだけの作品ができたというのを感じてほしい」
トークイベントやワークショップに参加しよう

■トークイベント「片岡鶴太郎×鬼塚勝也」
日時:4月19日(土)14:00~15:00
場所:福岡市民ホール 小ホール(福岡市中央区天神5-2-2)
※4月11日(金)までに応募を。応募者多数の場合は抽選。イベント時に展覧会チケット持参が必要
■子供たちとのワークショップ「鬼塚勝也ファイティングアート落書き大会」
日時:4月26日(土)、5月10日(土)
(1)10:30~12:00 (2)13:30~15:00
場所:福岡県立美術館1階展示室
対象:主に幼稚園児、小学生 ※中学生以上の参加も可
※事前応募が必要

鬼塚勝也 ファイティングアート展
日時:4月19日(土)~5月25日(日) 10:00~18:00(入場は17:30まで)
※月曜休館。ただし5月5日(月・祝)開館、5月7日(水)休館
場所:福岡県立美術館 1階、3階展示室(福岡市中央区天神5-2-1)
料金:一般1,200円 (1,000円)、高大生800円 (600円)、小中生以下無料
※( )内は前売り料金、20人以上の団体料金
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の提示者とその介護者1人および特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)受給者証の提示者は無料
問い合わせ:福岡県立美術館
電話:092-715-3551