大分県別府市の立命館アジア太平洋大(APU)の学生が、別府湾を周遊運航している水陸両用の「ホーバークラフト」船内で流す映像を制作。同大で4月8日、関係者向けのお披露目会が実施されました。動画制作はAPUとオリックス不動産(東京都)、杉乃井ホテル&リゾート(別府市)で結ぶ交流協定に基づく取り組み。国内で唯一運航するホーバー内での上映を通じて地域観光をPRするのが狙いで、映像は船内のほか大分空港や同市内のホテルなどでも上映されます。
人材育成と観光振興へ、プロのクリエーターも参加

映像制作は、APUとオリックス不動産、杉乃井ホテル&リゾートが2021年から進める産学連携取り組みの一つである学習プログラム「New Tourism Hub」(ニューツーリズムハブ)の一環。観光分野の課題解決を図りながら、次世代の人材育成と観光振興につなげる試みです。
学生は4チームに分かれ、24年8月からホーバーのターミナルや大分空港、JR別府駅などで実地調査を試みてきました。さらに、同プログラムをサポートする企業担当者からアドバイスを受けて、映像化へのイメージを膨らませてきました。その後、同年11月には審査会が開かれ、このうち2チームのシナリオが選ばれました。
映像化に向けては、同大卒業生のプロの動画クリエーターも加わり、撮影と編集に取り組みました。動画は「3分程度に収める」「船内での上映を前提として音声なしでも成立する」「撮影などの許可は各チームで取る」「決められた予算内で制作する」のが条件。プロの技術を目の当たりにした学生らは、これから本格化する就職活動に向けても刺激を受けたようです。
空港やホテルでも上映

お披露目会には、学生や制作を支えた企業関係者らも顔をそろえました。

英語で「上昇する」という意味の単語を入れたチーム「Ascend Hover」(アセンドホーバー)は、ビジネスマンがホーバーを利用して出張する想定で、コメディータッチの作品に仕上げました。
旅行雑誌の編集者が別府市を訪れ、鉄輪(かんなわ)温泉の地獄蒸しや豚まん、砂湯などを楽しみながら〝おんせん県〟の魅力にどんどん引き込まれていく様子を描きました。メンバーの1人は「知られざる別府市の魅力を発掘しようと頑張りました」と話しました。

もう一つのチーム「あーとらくたーず」は、留学生など外国人が多く暮らす別府市の多様性に着目しました。登場人物は、一人暮らしの大学生、ホテルで働く外国人、車いすユーザーの3人。それぞれが抱える苦悩と向き合いながら、地域になじんでいくというストーリーです。映像にはあえて字幕を付けず、見る人に解釈を委ねたそうです。
両作品の上映は下記で上映を予定しています。
●ホーバークラフト船内モニター…4月12日の周遊便~26年3月31日(火)
●ORIX HOTELS&RESORTS公式YouTubeチャンネル…4月8日~未定
●杉乃井ホテル宙館客室タブレット…4月8日~26年3月31日(火)
●大分空港(国東市)到着口横モニターと足湯内モニター…4月~
●別府市役所ロビーと同市フェイスブック…4月~
●立命館アジア太平洋大学(APU)公式YouTubeチャンネル…4月〜
ホーバーは現在、週末と祝日に大分市の専用ターミナルを発着する別府湾周遊を運航中です。
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