息子がまだ字も書けなかった5歳の時、母の日に手紙をくれました。それだけで胸がいっぱいになり涙があふれたのですが…。感動に浸っていた私に、予想もしなかったまさかの一言が飛び出して…。思わず笑ってしまった“涙とツッコミ”の母の日エピソードです。
涙腺崩壊! 小さな封筒に詰まった想い

母の日の朝、いつも通り朝食の準備をしていると、息子がもじもじしながら私のもとへやって来ました。手には、折り紙で作った小さな封筒。
「まま、いつもありがとう」そういう息子の手には、折り紙で作った小さな封筒。
照れくさそうに差し出してくれた封筒を開けると、たどたどしい文字で書かれたメッセージがありました。「ごはんつくってくれてありがとう」「おしごとがんばってすごい」その言葉に涙があふれ、ティッシュが手放せない感動の時間となりました。
普段は「早く着替えて!」「おもちゃは片付けて!」と怒ってばかりの私。でも、そんな私の姿を息子はちゃんと見てくれてたんだな… と胸がじんわり。日々の家事と育児をこなす忙しさや、思い通りに動いてくれないことへのイライラも、この手紙ひとつですべて報われたような気がしました。
感動の余韻のさなか、まさかの一言

ティッシュ片手に「母親やっていてよかったなぁ」なんてしみじみ浸っていたその時、息子がぽつりひと言。
「でもさ、ママ、もっとおべんとう、おいしくしてほしい」感動のラスト直後に、まさかの味に関するご意見!?
「え、私が作るお弁当っておいしくなかったの?」と聞いてみると、息子は少し考えてからこう答えました。
「うーん… おべんとうにはいってるタコさんのウインナーなんだけど、ぼくの、タコになってなかったよ?」そこ!? そういえば最近、朝はバタバタで、ウインナーに足の切れ込みをいれただけの細長い“なんちゃってタコ”にしていたんです。
でも息子いわく、「全然足が開いてなくて、ただの赤い棒だった」とのこと。
「タコさんのかたちじゃないとおいしくないんだよ」とまっすぐに訴える5歳児。確かに、子どもにとっては“見た目も味のうち”。感動のお手紙からのまさかのダメ出し。サプライズはここで終わりません。
小さな息子が伝えたかったことは?

そういえば息子は、何かと“見た目”にこだわるタイプでした。おにぎりに海苔でつくった顔がズレていると、
「この子、悲しそうだよ?」と言い、お姉ちゃんのお弁当のピックの数が多いと拗ねてしまう。子どもって正直だけど、彼は特にそういうところが細やかで、その伝え方もまっすぐ。
最近は毎日慌ただしく、お弁当作りは「とりあえず作った」「とりあえず間に合った」という日々が続いていました。目の前にいる息子の小さなこだわりのことさえ忘れてしまっていたのです。「もっとおいしくしてほしい」という言葉の奥には、「ちゃんと僕のこと見ててね」というメッセージがあったんだと思います。
「わかった、明日からはもっと頑張ってお弁当作るよ」と伝えると、ニコニコうなずく息子。こうして、母の日は“お弁当改善宣言”とともに幕を閉じました。来年の手紙には「ママのおべんとう、せかいいち!」って書いてもらえるよう、少しずつでも工夫を楽しんでいこうと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/Sasaki)


