娘が小学校に入学して初めて迎えた授業参観。娘は1学年30人ほどの小規模な幼稚園から、一気に3クラスに増えた小学校へ進学したので、ちゃんと生活できているのか親として不安でいっぱいでした。だからこそ、娘の学校での様子が見られる授業参観を、心待ちにしていたのです。しかし、初めての授業参観で目の当たりにしたのは、想像を超える“とんでもない保護者”の姿でした。
初めて入る娘の教室、授業参観へ高まる期待

私は病気のため入学式に出席できず、夫だけが参列。そのため、娘の教室や担任の先生、同じクラスの子どもたちの雰囲気も、私はまだ知りませんでした。そんな背景もあり、私の授業参観に対する期待はかなり高まっていたのです。
「どんなクラスなんだろう」「ほかの幼稚園や保育園出身の子とうまくやっているのかな?」などとドキドキしながら授業参観へ向かいました。
教室に響くクチャクチャ音

緊張しながら教室に入ると、同じ幼稚園出身のママ友を発見。私はホッと安心して、ママ友と一緒に授業を見ることにしました。ところが、「クッチャ、クッチャ」と妙な音が聞こえてきたのです。
「なに、この音…?」と不快に思い、音のする方に目を向けると、なんとガムをかんでいる父親がいたのです。しかも、派手な柄シャツにハーフパンツ、そして腕にはタトゥー。見た目・態度のすべてから、オラついていた雰囲気を漂わせていたのです。
授業参観のような公式の場にガムをかんで参加するなんて、私の中では非常識以外の何物でもありません。思わず「え!? それってどうなの!?」と、心の中で叫びました。隣にいたママ友も同じ思いだったようで、そっと私に目配せをしてきました。
まさかの“指導”開始!先生の対応は…

しかし、この父親の行動はこれだけには留まりません。この日の授業は図工。ねんどで自分の好きなものを作るという内容だったたため、保護者も割と自由に見学してもいい雰囲気でした。ところがその父親、自分の子どもの近くへ行き、なんと指導を始めたのです。
「もっとねんどを使えよ」
「ねんどベラも使って、もっときれいに形を作れよ」と、割と大きめで、しかも少し高圧的な声が教室に響き渡ります。子どもたちが自由に楽しく作業していたのに、教室の雰囲気が明らかにざわつき始めていました。
「そもそも、なぜこの人はガムをかみながら授業を見てる?」「親は授業を“参観”しに来てくるものでしょ? なぜ先生でもないのに、それも大勢の子どもたちの前で、偉そうに子どもに指示するの?」と、心の中でツッコミが止まりませんでした。普段穏やかで滅多に怒らないママ友も、明らかにけげんそうな表情でした。
「せっかく楽しみにしていた授業参観が台無し…」胸の奥に怒りややるせなさこみあげてきたそのとき…。
「もっとお子さんの近くでご覧になって大丈夫ですが、お子さんは一生懸命やっているので、お声がけはご家庭に帰ってからお願いします」担任の先生が、保護者全体に声かけをする形で、やんわりと注意してくれたのです。
担任の先生は、あの父親を名指しで責めるのではなく、保護者全体に訴えかけるという形で、乱れかけていたその場の空気を整えるスマートな対応。
「なんて機転が利く、いい先生なんだ!」とうれしくなりました。その後は、例の父親は教室で急におとなしくなり、しばらくすると教室から姿を消していました。おかげで、ようやく落ち着いた気持ちでちゃんと授業を見ることができたのです。
「いろんな親がいるんだな」と実感した日
とはいえ、教室の雰囲気は一時的に少し白けてしまったように感じました。他の保護者も、あの父親の振る舞いに驚いていたんだと思います。
今まで通っていた幼稚園と違い、小学校には自分の常識では計り知れない行動をする保護者もいるんだと実感しました。
「いろんな家庭で育った子たちの中で、娘はうまくやっていけるのだろうか」と、不安な気持ちもよぎります。
しかし、娘はクラスのみんなと楽しく過ごしており、親の心配も杞憂に終わりそうです。まったく新しい環境に変わってもすんなりと馴染んでいく娘のたくましさに感動しつつ、自分も少しのことでは動揺しない親でありたいなと強く思った授業参観となりました。
(ファンファン公式ライター・みみみみ)


