結婚してから初めて義母に贈り物をした母の日。一生懸命選んだプレゼントを喜んでもらえるかなと思っていましたが、想像とは違う結末に…。ちょっぴり苦い母の日の思い出をお伝えします。
母の日ギフトに選んだのは

結婚して初めて迎える「母の日」。夫の母に何か贈りたいけれど、何が喜ばれるのかまったくわからず、数日間ネットで調べたり、友人に相談したり…。
迷いに迷った末に選んだのは、季節の花「アジサイ」の鉢植えでした。色も形も華やかで、何より「育てやすい」「長持ちする」という情報が後押しになりました。
義母の家は遠方だったため、直接渡しに行くのは難しく、ラッピングやメッセージカード付きの宅急便で手配。「届いたらどんな顔をしてくれるかな」とワクワクしながら発送完了の通知を見届けました。
たった1週間でまさかの姿に…

母の日から1週間後、夫の実家へ行く機会がありました。「そういえば、お花ちゃんと届いたかな?」と思いながら義母のリビングをのぞいた瞬間、目に飛び込んできたのは、茶色くしおれたアジサイの姿。
鉢の縁の土が乾ききってひび割れ、花びらはカサカサに縮れていました。まるで1カ月以上放置されたかのような状態に、私は思わず言葉を失ってしまいました。「えっ! あのアジサイ、もう枯れちゃったの?」とショックを受けました。
さらに追い打ちをかけるように、私のアジサイのすぐ横には、別の誰かが贈ったと思われるカーネーションの花束が飾られていました。それは、まるでお店のショーウィンドウのように美しく、ピンと張った茎に鮮やかな赤が映えています。
その対比があまりにもはっきりしていて、思わず自分の選んだ花が恥ずかしく思えてしまいました。
「え… なんでうちのだけ、こんな姿に…?」と、自分の贈り物が悪かったのか、気持ちが伝わらなかったのか、どんどん不安になっていきました。
義母の一言と止まらない深読み

そんな私の動揺に気づいたのか、義母は笑いながら言いました。
「届いたときから、ちょっと元気なかったのよ〜」
明るく言ってくれたその言葉に、私は曖昧に
「そうでしたか…」と返すのが精一杯でした。でも、心の中ではその言葉が何度もリフレイン。「届いたときから元気なかった」って、本当にそうなのかな?
配送業者から届いた連絡はスムーズだったし、花屋さんも評判のいいところだったし「もしかして、最初からあまり好みじゃなかった?」「そもそもアジサイって、風水的に“縁が切れる”とか言われることもあるし…」そんなつもりはなかったけど、義母にとっては良くない意味があったのかも。
「花より食べ物のほうがよかったのかな?」「好みに合わなかったのかも…」そうやってどんどん考えが深くなっていき、気がつけば、贈ったはずの気持ちまで否定されたような気分になっていました。
笑顔で対応してくれた義母を責める気持ちは一切ないけれど、「もっと喜んでもらいたかったな」「もう少し違う選択肢があったのかも」と、しばらくは落ち込んでしまいました。
気持ちが伝わる贈り物を目指して

今回の出来事で実感したのは「贈り物って、自分が満足するものじゃなくて、相手の好みや価値観に寄り添うことが大事なんだ」ということでした。
ネットの口コミや見た目の華やかさも大事だけど、「義母はどんなものが好きだろう?」「どういう形で贈ると喜ぶかな?」ともっと想像することが必要だったのかもしれません。
ちょっぴり苦い思いもしたけれど、それもまた大切な経験。次はもっと義母の心に寄り添えるような贈り物を選びたいと思っています。さて、今年の母の日はなにを贈ろうかな。そんなことを考える時間すら、少し楽しみになってきました。
(ファンファン福岡公式ライター/奈緒)


