【コスパ最強】卸直営店だからできる満足感。福岡の「ステーキ丼5選」

精肉店が出すステーキ丼が大人気で行列ができていると、連日テレビや雑誌に取材されている福岡市中央区・六本松の「田中精肉店」。行列の秘密をライターの山内 亜紀子さんがオーナーの田中健太郎さんに伺いました。その他に福岡でおすすめの卸直結人気店も紹介します。

目次

コロナ禍真っ只中での独立オープン。ピンチをチャンスに変えた決断

――田中精肉店オーナーの田中健太郎さんは福岡市出身。20代は居酒屋で調理・接客の経験を積み、30代で福岡市中央区・六本松の「松喜屋精肉店」に入社。その精肉店の移転に伴い、跡地で2020年の11月29日(いい肉の日)に「田中精肉店」をオープン。

チャンスとはいえコロナ禍真っ只中に店をオープンさせることになり、まず決めたことは“焼肉店“としてではなく、店内飲食&テイクアウト弁当がある“精肉店”としてスタートすること。ピンチをチャンスに変えた田中さんの対策とは?

田中精肉店オーナーの田中健太郎さん

田中さん:「コロナ禍真っ只中にどんな店をやるのか?飲食店の厳しさや、コロナで休業したり、人を削って営業している飲食店の現状も知っていたので、前代未聞のこの時期に最初から嵐の中に飛び込むようなものだなと思いました。

はじめに迷ったことが、“帰りに精肉が買える焼肉店”と“店内飲食&弁当がある精肉店”どちらのイメージがいいのか考えました。飲食店(焼肉店)にするのはコロナ禍で厳しい、だから“精肉店を軸に店内飲食とテイクアウトの弁当がある店”にする方がいい、選択肢としてそうせざるを得ないと思って“精肉店”をメインにした店をオープンすることにしました。

また、福岡市中央区・六本松には弁当・ランチ難民がいることはわかっていたので弁当販売はある程度売れると思っていました。精肉店×弁当×店内飲食の3つあればどうにかなるだろうと思って始めました。コロナ禍のオープンだったからこそ、最初から対策をとった経営方法を考えられたんだと思います。」

ステーキ丼780円、焼肉丼600円という破格設定の理由

――田中精肉店の弁当が人気の訳はボリュームとその価格。容器から溢れんばかりのステーキや焼肉、牛すじたっぷりの牛すじカレーなど、お値段以上のクオリティが話題になり行列をつくっています。これだけ安く提供できるのはやはり精肉店だからなのでしょうか?

分厚くて柔らかいステーキ肉と、玉ねぎをたっぷり使ったステーキソースが絶妙の「ステーキ丼」780円

田中さん:「価格設定が安いのは精肉店だからですが、商品を“小売”と考えていることも大きいです。飲食店価格ではなく、スーパーの肉、惣菜の値段をリサーチして算出した、小売価格なんです。

“ご飯より肉を多めに!”というコンセプト通り肉が溢れている。
甘辛に味付けされた焼肉がご飯に合うのでご飯大盛りがおすすめの「焼肉丼」600円

飲食店が仕入れるより安く仕入れられているから、その分提供価格も安くできますし、肉をさばいた時にでる牛すじをカレーにするとか、肉に無駄がないようにつくっています。

カレーに牛すじが入っているというより、牛すじがカレーで味付けされて
いるんじゃないかと思うぐらい牛すじたっぷりの「牛すじカレー」500円

コスパがなによりも一番で、“安く量を増やす”はコンセプトとしてありました。ご飯よりも肉の方が多いですし、バカなことしたと思います(笑)。はじめは、ご飯は同じ量だったんですけれど面白くなかったんです。広告宣伝費だと思って肉を多くしたので今のボリュームになりました。」

明確なターゲット設定と1日1,200個販売に繋がったSNS運用

――2020年11月29日のオープン直後にテレビ取材が入り、人気店としてテレビや雑誌の取材を受け続けている田中精肉店。行列ができる精肉店として話題になったのは、弁当がただ安かったからではないそうです。

オリジナルの箸袋とランチョンマットにもなる包装紙。包装紙にはインスタグラムのアカウントQRコードも。
インスタ映えもするのでSNS投稿もしやすい

田中さん:「行列のきっかけはただコスパがいい弁当だったからではないと思います。田中精肉店をオープンさせる時に決めたターゲット層が20代、30代だったんです。建物は、目立つ、アート的な建物にしてほしいとお願いしました。そしてインスタグラムとグーグルビジネスで発信をはじめました。

精肉店だけだったらターゲット層は50、60代でしたが、その層ではなく精肉店慣れしていない層をターゲットにしたかったので弁当も容器やランチョンマットにもなる包装紙やオリジナルの箸袋など、写真映えするようにつくりました。

明確なターゲット設定と発信をした結果、11月29日にオープンしてから12月頭ぐらいにはインスタグラムを見て、テレビ取材の話をいただいていました。

テレビ取材される前は1日70〜80個の売上でしたが、テレビ放映後はピーク時は1日1,200個売れるようになりました。SNS投稿してくださる方も多いので、みなさんの投稿で知ってくださった方も多いと思います。」

若者には敷居が高い“精肉店に入るため”のきっかけづくり

――田中精肉店は、入り口のドアを開ければ様々な部位の肉が並んだショーケースが飛び込んできます。ある一定の年齢層には馴染みがあっても、スーパーでパックの肉を買うことに慣れてしまっている若者にとっては見慣れない光景なのかもしれません。田中さんは、コスパ重視の弁当には、そんな“専門店で肉を買うこと”に慣れて欲しい思いもあるといいます。

様々な部位の肉が並ぶ田中精肉店のショーケース

田中さん:「若い人達からは、精肉店は敷居が高いと思われがちなので、弁当は20代、30代の方たちに来店してもらうためのきっかけづくりでもあるんです。

実際に弁当をきっかけに、その後カップルで肉を買いにきてくれたり、“肉を頼みたいけどどういう頼み方をしていいかわからない”、“どのぐらいの量を買えばよいのかわからない”と相談してくれたりと、徐々に精肉店を利用してくれる人たちが増えています。

普段みることのない部位なども

昔は当たり前だったシステムが、今の若者には新しいシステムなんですね。専門店慣れしていない若い人たちに、専門店のよさを知ってほしいと思います。今は弁当屋さんのイメージが強いので、今後は精肉店として話題になれるような店づくりをしていきたいです。もちろん弁当も続けるんですが(笑)。」

【焼肉専門 田中精肉店】
■TEL: 092-731-2177
■住: 福岡市中央区六本松1-10-3
■営: 11:00~20:00 (焼肉店休業中/テイクアウトのみ)
※コロナウイルス感染拡大等により営・休に変更有

●まだまだある!精肉店直営!コスパ最強のステーキ丼・焼肉弁当

他にも田中精肉店のように、“精肉店が営む”コスパ最強のステーキ丼・焼肉弁当があります。その中でも特に人気の4店をご紹介します!和牛がワンコインでいただける弁当やブランド牛のステーキ丼も1,000円台と驚くばかりです。

●博多和牛の弁当がなんと500円~ 「堀ちゃん牧場」(福岡市西区・今宿)

「ステーキ丼」1,400円(ごはん大盛り無料)
「和牛鉄板」900円(ごはん大盛り無料)
「博多和牛すじカレー」 500円

イートインスペースもある店内では、新鮮な精肉と博多和牛を使った弁当・惣菜が並びます。稲わらを主食としたこだわりの飼料と福岡の肥よくな大地で育てられた博多和牛は、“やわらかくてジューシーな美味しさ”が評判の黒毛和牛。

そんな博多和牛を使った弁当は、精肉店直営でしかできない値段設定。柔らかく噛めば噛むほどに肉の甘みが感じられる博多和牛が破格で味わえると人気の店。「ステーキ丼」「和牛鉄板」「博多和牛すじカレー」などの他に「すき焼き弁当(650円)」もコスパ最強でおすすめ。

【博多和牛 堀ちゃん牧場 今宿駅前店】
■住: 福岡市西区今宿駅前1-9-2
■営: 11:00~17:00
■TEL: 092-836-5729
■休: 火曜
※コロナウイルス感染拡大等により営・休に変更有

●サラリーマンの胃袋を満たすデカ盛り!「肉のヒサダヤ」(福岡市中央区・大名)

「ステーキ弁当」1,059円
「佐賀牛めし」627円

創業49年(2021年現在)を迎えた精肉店。九州各地のブランド牛や旨さ、柔らかさが抜群の鹿児島黒豚などを取り揃えた赤坂本店では、佐賀牛のステーキ弁当」や博多一番どりを使った「親子丼」なども人気。

ステーキ弁当はサラリーマンにはたまらない、とにかくこれでもかというぐらい肉もご飯もデカ盛り!しっかりした味付けで肉の旨味を引き出しています。弁当はもちろん、バーベキュー用の肉を買いにくる人やオードブルを頼む人もいる人気店。肉好きならチェックしておくべき店のひとつです。

【肉のヒサダヤ 赤坂本店】
■TEL: 092-761-3329
■住: 福岡市中央区大名1-9-33 ソロン赤坂ビル 1F
■営: 10:00~19:00
■休: なし
※コロナウイルス感染拡大等により営・休に変更有

●甘辛タレがクセになる人続出の焼肉丼!「焼肉かわむら」(福岡市中央区・六本松)

「和牛焼肉丼」1,000円

オーナー自ら厳選し、仕入れているからこそのリーズナブルな価格で国産牛を提供。店舗の1階が精肉店になっているので、肉の鮮度も抜群!鹿児島黒牛や長崎和牛、博多和牛などのブランド牛を取り扱い、ミスジやカイノミなどの希少部位をリーズナブルに提供してくれる人気の焼肉店。

そんな焼肉かわむらが提供している「和牛焼肉丼」は、和牛肉に特製タレをしっかり染み込ませ、和牛本来の甘みと特製タレの香りがたまらない人気メニューで、見た目よりボリューム満点!その他「うま塩薄切り牛タン(770円)」、「ビビンバ丼(650円)」なども。

【和牛焼肉かわむら】
■TEL: 092-716-7229
■住: 福岡市中央区梅光園1-3-13-2F
■営: 11:00~20:00
■休: 月曜
※コロナウイルス感染拡大等により営・休に変更有

●端までステーキが埋め尽くす!「Beef泰元」(福岡市博多区・キャナルシティ博多)

「和牛赤身ステーキ」1,500円

福岡市で5店舗展開している畜産農家直営の人気焼肉店『泰元』。その中でも、キャナルシティ内にある「鹿児島黒毛和牛のステーキ&ハンバーグ」のBeef泰元は、泰元こだわりの“泰元牛”を使用したハンバーグやステーキなどを提供しており、泰元のステーキをテイクアウトできます。(2021年9月現在)

テイクアウトメニューの「和牛赤身ステーキ」は、お重の端から端まで和牛ステーキで埋め尽くされていて見た目もボリュームも抜群。肉のプロによる絶妙な焼き加減で上質な肉を証明してくれます。その他「和牛焼肉弁当(1,300円)」、「サイコロステーキ(1,300円)」など。

【Beef泰元(たいげん)】
■TEL: 092-283-4389
■住: 福岡市博多区住吉1-2 キャナルシティ博多ノールビルB1F
■営: 11:00~21:00(L.O.20:30)
■休: なし
※コロナウイルス感染拡大等により営・休に変更有

卸直営店の強みは、フードロスへの貢献にもつながること

私たちにコスパよく美味しいものを提供してくれる卸直営店、福岡にはまだまだ安くて美味しい直営店があります。今回の田中精肉店のように、ターゲットを明確にし、SNS運用をうまく組み合わせたやり方と、コスパとクオリティをうまく使って飲食展開していくこと、そしてフードロスをなくして弁当に生かすやり方は、ますます卸直営店の強みとなるかもしれません。

文=山内 亜紀子

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

成長する地方都市 #福岡 のリアルな姿を届けます。福岡のまちやひと、ビジネス、経済に焦点をあて、多彩なライター陣が独自の視点で深掘り。 「フクリパ」は「FUKUOKA leap up」の略。 福岡で起こっている、現象を知り、未来を想像し、思いをめぐらせる。 飛躍するまちの姿を感じることができると思います。 https://fukuoka-leapup.jp

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