”箱猫”の季節がやってきた ~サ日記~

 おれが住む福岡も梅雨入りした。テレビでは例年より数日遅いとか言ってるけど、よくわからん。きょうも大雨が降るとかの予報だったが、今のところ大したことないどころか、日が差したりしてる。

 うちの庭を根城にしている地域猫のとらは、祠(ほこら)で雨宿り。

 おれたち猫族はこういう狭いところが好きだからにゃ。

 いつも「機械のすき間に毛が入る」と怒られながらパソコンの上に乗っかるおれだが、きょうはチョビまで真似して乗ってきた。ますます狭い。

 うちには次々に飼い主が注文した荷物が届くんで、段ボール箱には不自由せん。ちょうどからだがスッポリ入る心地よい狭さだ。

 おれが気持ちよく眠っていると、チョビも「いい場所があるにゃあ」と興味を示す。最近飼い主もだいぶ賢くなってきて、チョビが外に脱走する機会はめっきり減ったし、雨が多いと、外に出ても走り回れない。家の中で箱みたいな狭い場所に収まっているのが無難だし、気持ちも落ち着くことだろう。

 外猫のくせにとらもわがもの顔で部屋に入ってきて、毛布の上でぬくぬくとしてやがる。蒸し暑い日も増えてきたが、急に肌寒くなったりもするんで、まだ毛布が出しっぱなしなんだわ。

 押しかけ弟子のように、おれにくっついて寝るとら。

 同じような構図だが、こっちはチョビだ。チョビが姉でとらが弟というきょうだい猫だが、折り合いが悪い。というか、とらは遊んで欲しくて近寄っていく感じだが、チョビは乱暴なやつが危害を加えに来たと思って、ものすごい勢いで「シャーっ」と火を噴き、逃げていく。激しい音を立てての追っかけっこが毎日繰り広げられる。

 おれはどちらの味方でもなく、のんびり寝ていたいだけだ。

 おれはテレビの画面はホンモノじゃないとわかってるんで、見もしないが、とらは野良育ちで家猫経験が浅いから、今だにテレビにいちいち反応して、猫の鳴き声がすると、近寄って行って、画面を引っ掻いたりしている。チョビもしばらくそうだったが。とらはなかなか学ばない。

 きょうもあしたもあさっても、うちに段ボールは届き続ける。おれの入る箱はもういらんのだが。

 チョビも「箱は一つあれば十分」と言っておる。

 そういえば、ちょいと前、映画「箱男」が公開されとった。難し手くてようわからんという感想を聞いたぞ。わかりやすくてカワイイ「箱猫」を映画にしたほうがはやるんじゃないか。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡市南区在住。サバトラ柄。熟年オス猫。雑種だが、アメショーの血が入っていると思っている。
ふてぶてしさが身上の甘え上手。
推定5歳か6歳の頃、今の飼い主宅に上がり込み飼い猫に。それ以前は不明だが、数百メートル離れた公園にいたとの不確かな情報。おととしの暮れ、孫娘のようなキジ白猫チョビが弟子入り。
世の中の動きに敏感なものの、とくに行動はしない。

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