【展示会リポ】暑い日もホラーで深淵な世界観にヒンヤリ。「伊藤潤二展 誘惑」福岡市科学館で7/13まで

 “ホラー漫画の鬼才”として、独創性あふれる作品で国内はもとより海外でも人気の漫画家・伊藤潤二さん。伊藤さんのデビュー作からこれまでの作品や世界観を伝える大規模展「伊藤潤二展 誘惑」が福岡市科学館(福岡市中央区)3階企画展示室で7月13日(日)まで開催されています。600点超が並ぶ圧巻の作品展の様子をリポートします!

目次

「美醜」「日常に潜む恐怖」など4テーマで600点超

妖艶な富江の視線に誘われるように中へ

 「伊藤潤二展 誘惑」は、伊藤さんの初の大規模な個展として全国巡回中。東京、大阪、青森に続いて4カ所目として福岡で開催されています。1963年に岐阜県で生まれた伊藤さんは、86年に漫画「富江」でデビュー。映画化もされているので、ご存じの人も多いのではないでしょうか。伊藤さんが“この世で最高に美しい女性”として生み出した「富江」は、今展のメインビジュアルとしても描かれていて、入るとすぐにビッグサイズの「富江」が出迎えてくれます。

入り口で「辻占 恋みくじ」を引くのをお忘れなく

 入り口には「辻占 恋みくじ」が設置されています。引いたのは「大凶」…。不吉な予感のするおみくじを手に持って、いざ場内へ。

 今展は「美醜」「日常に潜む恐怖」「怪画」「伊藤潤二」という4つのテーマで構成され、600点を超える作品が並びます。第1章「美醜」では、「富江」を中心に、「なめくじ少女」「死びとの恋わずらい」などの原画などを紹介しています。
 造形作家の藤本圭紀さんとのコラボレーションで、漫画のワンシーンを再現した「富江」のフィギュアも印象的。長い髪を後ろに払う美しき「富江」の足元には…会場で確認してみてください。

幅広い世代のファンが訪れていました

 「伊藤潤二展」福岡事務局(スリーオクロック)の中村大樹さんは「SNSで“富江メイク”が話題になったこともあって、若い世代の来場者が目立ちます。海外の熱狂的なファンも来てくださっていますよ」と話します。

イラスト原画など「怪画」

タペストリーに描かれたのは一見、ロマンチックな男女に見えますが…

 第2章「日常に潜む恐怖」では、漫画「うずまき」「首吊(つ)り気球」などの原画をたっぷりと紹介しています。大きなタペストリーも目を引きます。

ホラーとユーモアが共存する美しいイラスト作品

 第3章「怪画」では、扉絵や挿絵、CDジャケットのイラスト原画など、色鮮やかで繊細なタッチの作品が並んでいます。「怖いだけではなく、一つのアート作品として素晴らしいというのも人気の理由だと思います」と中村さんは話します。

外国で出版された伊藤潤二作品も紹介されています

 第4章「伊藤潤二」では、少年時代のスケッチ、これまでに影響を受けた漫画、文学、映画など、伊藤作品のルーツといえそうな品々が展示されています。影響を受けた人物の中には、怪談でおなじみの稲川淳二さんもいました!

参加型メディアアート展示「うずまき」

 出入り口には、代表作「うずまき」の参加型メディアアート展示も。カメラの前に立つと顔がどんどん変形して、うずまき模様に。伊藤潤二作品の世界に仲間入りできる瞬間です。

怖くて美しくて醜いオリジナルグッズが大充実

オリジナルアイテムが充実しています

 出口の前には、ファンにはたまらないグッズコーナーが。描き下ろしイラストを含む「公式イラスト集」(4,180円)は必見といえそうです。漫画の1シーンを切り取ったマスキングテープ(550円)やせりふ入りアクリルスタンド(1,100円)など、伊藤潤二ワールドを自分の部屋やデスク周りで楽しめます。

マンガチやタオルの圧がスゴイ笑

 バッグから取り出したら驚かれそうなマンガチ(1,980円~)、体を拭くのがためらわれるようなバスタオル(3,850円~)も気になりました。誰かにプレゼントしようかな…強烈な印象を残してくれるのは間違いなさそうです。 

 日常と非日常、ホラーとユーモアを自在に行き来する伊藤さんの作品世界。伊藤さんが綴る作品への率直な思いや裏話もとても興味深かったです。もう一度足を運んで、じっくりゆっくり浸りたいと思います。

「伊藤潤二展  誘惑」

日時:開催中~7月13日(日)まで ※火曜休館、7月12日(土)、13日は日時指定予約制
   9:30~18:00(入場は17 :30まで)
場所:福岡市科学館3階企画展示室(福岡市中央区六本松4-2-1)
料金:一般1,800円、中高生1,400円、小学生1,200円、未就学児無料(※要保護者同伴)
問い合わせ:「伊藤潤二展」福岡事務局(スリーオクロック内)
電話:092-732-1688(平日10:00~18:30)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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