認定第1号プロジェクト「天神ビジネスセンター」とは?

「天神ビッグバン」の認定第1号プロジェクトである「天神ビジネスセンター」が9月末に竣工し、テナントの入居も始まります。一方で、天神のランドマークとして親しまれた商業施設「イムズ」が閉館、32年の歴史に幕を下ろしました。天神交差点では「福ビル街区建替プロジェクト」が進行中で、その他のビルも次々に解体され、これから天神新時代建設の槌音がますます響いてくることになります。「天神ビッグバン」について、経済ジャーナリストの神崎 公一郎さんが読み解きます。

[天神ビッグバンとは】
福岡市がアジアの拠点都市としての役割・機能を高め、新たな空間と雇用を創出するためのプロジェクト。天神駅(天神交差点)を中心に、半径500m圏内を対象としたエリアで行われている再開発である。2015年に発足したプロジェクトで、2024年までに30棟の民間ビルの建て替えを目標に掲げている。

目次

「天神ビジネスセンター」が竣工する

天神ビッグバンの認定第1号プロジェクトである「天神ビジネスセンター」——。ビルの全面がガラスのカーテンウオールに覆われ、透明感のある外観が通りすぎる人の目を引きつける。9月末に竣工し、今や遅しと開業を待っている。

開業間近の天神ビジネスセンター

天神ビジネスセンターは、福岡市・天神のど真ん中、地下鉄天神駅に直結する。地下2階・地上19階建てで、高さは約89m。延べ床面積約6万1,000㎡を有する天神エリア最大級のオフィスビルとなる。

「明治通り」と「因幡町通り」の交差部は、上層階から低層階に向けピクセル状に削ることで、オープンスペースを創り出し、地上および地下に広さ約100㎡の広場が整備され、屋内にも吹き抜けの広場が設けられる。

「ワークライフバランスで、クリエイティブなグローバル企業を、世界で最も住みやすい都市“福岡”に呼び込むためのプロジェクト」がコンセプト。「ワーク」は福岡初の大規模免震構造、国内屈指のBCP(事業継続計画)対応のオフィスペック。「ライフ」は福岡にふさわしい遊び心のあるデザイン、高級ホテル並みのインテリア、カフェストリートを整備する。

【天神ビジネスセンター】
■所在地: 福岡市中央区天神1丁目
■敷地面積: 3,917.18㎡
■建築面積: 3,234.55㎡
■延床面積:61,100.34㎡
■用途:事務所、店舗、駐車場等
■高さ:約89m
■階数:地上19階、塔屋2階、地下2階

ジャパネットホールディングスが、福岡移転!

このコンセプトに、いち早く入居を決めたのが、株式会社ジャパネットホールディングス(本社・長崎県佐世保市)。2020年11月、「JAPANET@FUKUOKA」プロジェクトを立ち上げ、ホールディングスの主要機能を東京都から福岡市へ移転することを発表した。

人事・経理などを含む12部門などが入居する。入居スペースは12階~14階の約7,000㎡で、2021年内の入居を目指している。

福岡を主要な拠点とするのは、東京一極集中のリスクを避けるBCPの観点もあり拠点機能の分散を検討し、「都市と地方の魅力を備えたコンパクトシティであり、東京都心と比べて通勤時間の短縮などワークライフバランスの充実につながる点や、九州の中心地で多様な人材を確保できる点、天神ビッグバンプロジェクトなど街全体が発展し続けている点など」を挙げる。

NECグループ7社の主要拠点が、最新技術オフィスで進出

2021年7月、日本電気株式会社(NEC、本社・東京)は、九州のNECグループ7社の主要拠点を天神ビジネスセンターに移転・統合し、2022年1月から営業を開始すると発表した。新オフィスではグループ各社が垣根を越えてフロア全体を共用することで、シナジーの最大化を目指す。

17~19階の3フロアに入居し、1,100人以上の従業員が勤務する予定。世界NO.1の認証精度を有する自社の顔認証技術を活用したフロア入退場管理や、IoT(モノのインターネット)技術によるフロア内の混雑度可視化など、最新のICTを導入することも検討している。

西日本シティ銀行も地域中核拠点として展開

西日本シティ銀行も11月15日、天神支店、天神北支店およびNCBアルファ天神出張所を同ビル1~3階に移転オープン。地域の中核拠点として、法人・個人双方に質の高いコンサルティング営業を展開する。

土日祝日も営業する資産運用相談の専門拠点であるNCBアルファ天神出張所と、グループの西日本シティTT証券と一体で富裕層営業の戦略拠点として位置付けている。

「イムズ」は情報発信基地から、どんな基地に生まれ変わるのか?

8月末で閉館した「イムズ」。32年前、金色の磁器タイルで輝く8面体の斬新な外観で「時代波震源地」を名乗って登場した。イムズの名称は「Inter Media Station」(インター・メディア・ステーション=情報発信基地)の頭文字からとった。4つのイベントスペース、全館のスタジオ化、3~8階のショールーム、3層吹き抜けで外・内部を眺望できるレストランゾーンなどがセールスポイントだった。

同時期に開業したソラリアプラザともに“天神の顔”として、九州各地からJR九州の特急「かもめ号」や長距離高速バスで天神にやってくる人が急増した。この若い女性たちは「かもめ族」や「フェニックス族」(高速バス福岡―宮崎線「フェニックス号」による)と呼ばれた。それだけ、イムズとソラリアには話題性があり、吸引力が強かった証左でもあった。

イムズ(情報発信基地)の次は、どのようなコンセプトの建物が建つのだろうか?

イムズの建て替えプロジェクトを推進する三菱地所株式会社(本社・東京)は、ポスト・コロナ時代におけるワークスタイル・ライフスタイルの変化を転機ととらえ、感染症対策を踏まえた安全・安心なまちづくりと高付加価値なビルへの機能更新とを両輪で進めていく考えだ。

同社は、東京・丸の内エリアのまちづくりにあたり、都内に勤務する一都3県在住の約1万5,000人のオフィスワーカーにアンケート(注1)を実施、予測されるポスト・コロナのワークスタイル・オフィスニーズを探った。

(注1)2020年6月に実施したインターネット調査。工場・店舗勤務者やパートアルバイトは除外、有効回答数は1万4,522サンプル(男性64.8%、女性35.2%)。

それによると、
① 業務内容に応じ、オフィスとテレワーク(オンライン)を柔軟に使い分ける
② センターオフィス(1st プレイス)、自宅(2nd プレイス)、3rdプレイスを柔軟に選択
③ フェイス・ツゥ・フェイスでしか得られない価値(創造性・偶発性・チームビルディング)をオフィスに求める

福岡都市圏でも、こうした変化が進んでいくものと考え、イノベーションや価値創造につながる高度なオフィスの供給、来街者がフレキシブルに利用できる空間づくりなど通して、福岡市が推進する「天神ビッグバン」に貢献していくとしている。

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天神1丁目地区の地区整備計画が、都市計画決定される

2021年3月、イムズから西日本渡辺ビルまでを含めた天神1丁目地区の地区計画が都市計画決定され、その中で、イムズと南隣の天神ツインビルの範囲において、広場や通路の設置など具体的なまちづくりのルール(地区整備計画)が決定された。これにより、建て替えられるイムズ周辺は隙間なく地区計画決定地区となった。

◎天神1丁目地区の概要

(出典:福岡市)

https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/73561/1/20201217-zyuto-kyogikai-Part12.pdf?20210104103812

◎地区整備計画の概要

(出典:福岡市)

https://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/73561/1/20201217-zyuto-kyogikai-Part12.pdf?20210104103812

建築物の容積率の最高限度は、まちづくりの取り組みに応じて、最大1,400%となっている。

天神1丁目地区は、国家戦略特区として福岡市において認められている「航空法高さ制限のエリア単位での特例承認」に追加された。これまでの約65m~約67mから約80m~約96mとなり、イムズのあるエリアの目安は約92m~約96m、天神ツインビルは約87mと見込まれる。

◎天神1丁目地区も航空法の高さ制限の緩和

(出典:福岡市)

http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/59832/1/takasaseigengakanwa.pdf

福岡市は、このような規制緩和によって、耐震性が高く、ウイズコロナ、ポストコロナにも対応した先進的なビルへの建て替えをスピード感もって誘導し、より国際競争力が高く安全安心で魅力的なまちづくりを民間活力を引き出しながら進めようとしているのだ。

文=神崎 公一郎

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