「無失点にこだわる」アビスパ村上昌謙選手にインタビュー

 9月末まで5試合負けなしと絶好調のアビスパ福岡のゴールを守る、村上昌謙選手。無失点勝利もあり注目の的です。リモートでインタビューしました。 取材/川添道子

目次

ビッグセーブ連発で連勝に貢献!

―アビスパに移籍して2年目、福岡の生活には慣れた? 

 コロナ禍でなかなか外出できないのが残念ですが、福岡は海や山も近く自然が豊かなのに、アクセスも便利で暮らしやすいですね。食べ物もおいしいです。家族も福岡の生活を楽しんでくれていて安心しています。そういえば、娘が幼稚園に通うようになって、時々「◯◯とー?」など、博多弁を話すようになったんですよ! 僕も妻も関西出身なので家での会話は基本関西弁なのですが、最初に娘の博多弁を聞いた時は「うおお、博多弁や!」って驚きました(笑)。子どもはなじむのが早いですね。

ⓒavispa fukuoka

特にお気に入りの福岡グルメはあれば。

 アビスパのスポンサーもしてくださっている「博多もつ鍋おおやま」のもつ鍋です。うまいですよね~。みそ味が気に入っていて、お取り寄せもできるので家でも楽しんでいます。

―9月25日のサガン鳥栖との九州ダービーも3-0の無失点勝利でした。スタジアムやチームの雰囲気は?

 試合前の選手間にも見えない重圧というか、いつもと違う緊張感がありました。スタジアムの観客の雰囲気も最初からすごかったですし、アビスパに関わる人全ての思いが詰まった特別な試合というのを肌身で感じました。そういう雰囲気の中で複数得点と無失点で勝てたことはとてもうれしかったし、チームとしての一体感がさらに増したような気がします。正直なところ、試合後はうれしいというよりホッとした気持ちの方が大きかったですね。

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―ビッグセーブ連発の活躍で、守護神・村“神”の呼び名が定着しました。

 皆さんが「村神」と言ってくださるのはうれしく光栄ですが、自分ではまだまだそんなに素晴しい選手ではないと思っています。日々の練習をもっと頑張って、呼び名に負けないように成長していきたいです。

―専門誌のベストイレブン選出にもコンスタントに名前が挙がっています。自信につながっている?

 評価をしてもらえるのはとてもうれしいですが、ゴールは僕一人で守っているのではなく、フィールドの10人と一緒にみんなで守った結果です。だから僕が選ばれているというより、チームの守備が評価されていて、その代表として名前が挙がっている、そう思っています。

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塚本コーチ、リキさんとも一緒に試合を戦っている

―ライバルであり仲間でもあるキーパー陣の関係性は。

 ゴールキーパーは特殊なポジションだと思うんです。今、アビスパには4人いますが、みんながどんなに調子良くても試合に出られるのは一人だけ。ベンチに入った選手が途中交代することも滅多にありません。そんな過酷なポジション争いの中で、僕らは練習を通じてそれぞれが高め合いながらいい関係が築けている。これもチームが好調の要因の一つだと思います。

 今は僕が出場することが多いですが、試合に出る・出ない、ベンチにいる・いないに関係なく、キーパー陣みんなで試合に臨んでいるんだという信頼関係があります。それはフィールドプレーヤーにもいえることで、今のアビスパは常に一体感があり、全員がいつでも試合に出て良いパフォーマンスができる準備ができている感じがあります。

―けがでリハビリ中の杉山力裕選手(GK)のユニフォームがベンチに飾られていますね。

 塚本(秀樹)コーチとともに、キーパーチームをまとめているのがリキさん(杉山力裕選手)なんです。リキさんと一緒に試合を戦っているという気持ちで、前半と後半が始まる前にベンチにあるユニフォームを触らせてもらっています。ベンチから声を掛けてくれているような、何か不思議なパワーをもらえる気がするんです。

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―さらに村上選手といえば給水タイムでの「まだ勝ったわけじゃないぞ!」や「ここからだ、いくぞ!」など選手への声掛けも印象的です。

 試合の状況にもよりますが、特に後半の給水タイム時に、ふと集中力が切れてしまったり、相手チームが戦術を変えて急にゲームの流れが変わったりすることがあります。そこでキーパーとしてできることとして、しっかりと声を掛けてみんなの気を引き締める、急な作戦変更にも対応できるように気になったことをDFラインやコーチ陣と共有するなどを意識しています。

―自身のプレーで注目してほしい点は?

 守備陣と連動して、意識して自分がいるコースにシュートを打たせるようにしているので、そこを見てほしいです。それと声出しの応援ができないコロナ禍のスタジアムだから聞こえる、僕がフィールドプレーヤーに出している試合中のコーチング(指示)ですね。僕だけでなく、選手がピッチ上でどんな指示を出しているか聞くのも楽しいと思います。

これからどのチームも必死。相手の順位は関係ない

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―今季も残り7試合。終盤戦に向けた意気込みを。※10月6日時点

 チームは今季の目標に勝点50とリーグ戦10位以内を掲げていたので、まずはそれを達成すること。終盤は、どのチームもそれぞれの目標に向かって目の前の試合を必死に戦うので対戦相手が上位や下位というのは関係ありません。難しい試合が続くけれど、一つでも多くの勝ち点を重ねたいです。個人としては無失点勝利にこだわりたい。

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―ファンや読者へのメッセージを。

 スタジアムで声を出して応援ができない状況が続いていますが、皆さんの手拍子が大きな力になっています! 試合中、手拍子で僕のチャント(応援歌)を叩いてくれているものしっかり届いています。ホームゲームは残り4試合。最後まで応援よろしくお願いします。

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(プロフィル)
むらかみ まさあき。1992年8月7日生まれ。滋賀県出身。185cm・85kg。河西サッカースポーツ少年団(滋賀県)→守山北中(同)→草津東高(同)→大阪体育大→レノファ山口FC→水戸ホーリーホック

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