九州初の「ららぽーと福岡」2022年4月開業!最新情報とその展望とは。

首都圏などで話題の三井不動産のリージョナル型商業施設「ららぽーと」が、福岡にも進出します。JR博多駅や福岡空港からほど近い福岡市の青果市場跡地に、2022年4月の開業です。子どもの職業体験施設で知られる「キッザニア」が入居するほか、屋上には、合計1万㎡超のスポーツ施設が誕生する予定です。ライターの神崎 公一郎 さんが詳しくご紹介します。

【「ららぽーと」とは】
三井不動産が国内外で展開するリージョナル型商業施設。ファッションや食、エンターテインメントといった要素で構成する。ショッピング以外の楽しみも充実させ、地域コミュニティの核としてまちづくりの中心となるような施設づくりを進めている。1981年に開業した「三井ショッピングパーク ららぽーと TOKYO-BAY」(千葉県船橋市)を皮切りに、首都圏、関西、東海地方で展開してきた。

目次

「キャナルシティ博多」に次ぐ福岡都心部最大級の大型商業施設

JR博多駅から南東方向に約3.5kmの場所にある「福岡市青果市場跡地」で、「三井ショッピングパーク ららぽーと福岡」(以下、ららぽーと福岡)の建設が進んでいる。大部分がまだメッシュシートで覆われているが、一部では立体駐車場の骨組みや施設外装が見え始めている。

2022年4月開業に向け建設が進む「ららぽーと福岡」(撮影:編集部)

「福岡市青果市場」は、1968年に福岡市中央卸売市場青果市場として開設されたが、2016年に東部市場、西部市場とともに福岡市東区のアイランドシティに移転した。

その跡地活用事業として事業者公募が実施され、イオンモール㈱、㈱イズミ、九州旅客鉄道㈱、三井不動産㈱をそれぞれ代表企業とする4グループが提案。審査の結果、選定されたのが、三井不動産㈱、九州電力㈱、西日本鉄道㈱の3社によるコンソーシアムだった。

3社が共同設立した「博多那珂6開発特定目的会社」が土地を取得し、2020年11月に着工、2022年4月の開業を目指している。

「ららぽーと福岡」は、「三井ショッピングパーク ららぽーと」の国内17施設目で、九州に初めての進出となった。敷地面積約8万6,600㎡。建物は店舗棟が地下1階・地上5階建て、立体駐車場棟が7階建て2棟(収容台数約3,050台)、立体駐車場棟を含んだ全体の延床面積は約20万6,400㎡になる。

駐車場込みとはいえ、その延床面積は「キャナルシティ博多」に次ぎ、JR博多駅の駅ビル「JR博多シティ」を少し上回る規模となり、福岡都心部でも最大級だ。

三井不動産によると、「三井ショッピングパーク ららぽーと」に限らず、「三井アウトレットパーク」や「三井ショッピングパーク アーバン」といったほかの主要商業施設も、福岡、九州には進出していない。同社にとっては、自社ブランドの大型商業施設として待ち望んでいた福岡進出と言える。

「ららぽーと福岡」のイメージ図(画像提供:三井不動産)

三井不動産商業施設本部リージョナル事業部の堀野隼平さんは、こう話す。

堀野さん:「当社としても出店機会があれば出店したかったエリアでしたが、これまで機会がありませんでした。今回、当社、九州電力、西日本鉄道の3社で福岡市から事業機会を頂戴できたことで、福岡への進出が叶います。」

目玉の施設は、「キッザニア」と「おもちゃ美術館」

「ららぽーと福岡」の全体コンセプトは、「多様な人々が集い出会う多彩な“パーク(広場)”をはじめとして、コミュニティの拠点となる活気あふれる空間を創出する」。

目玉施設として、子どもの職業・社会体験施設「キッザニア」と木育・多世代交流施設「おもちゃ美術館」がそれぞれ九州初進出する。ショッピングやエンターテインメント等で幅広い世代の来場客が楽しめる施設を目指すとともに、質の高い教育の提供にも貢献したいという。

子どもの職業・社会体験施設「キッザニア」

「キッザニア」は、3歳から15歳までを対象にした職業・社会体験施設。館内に、各種商店や金融機関店舗、医療機関、警察署や消防署、工場などが本物の約3分の2のサイズで建ち並ぶ。これらは実在の企業が出展するパビリオン。子どもたちは希望に応じて選んだパビリオンで、仕事を体験し学ぶ。専用通貨も用意されていて、仕事が終わったあとは“給料”も支払われる仕組みだ。

全体では約100種類の仕事やサービスを体験できる。オープンする「キッザニア福岡」は、2006年開業の「キッザニア東京」、2009年開業の「キッザニア甲子園」に続く国内3カ所目で、2022年夏の開業を予定している。

木育・多世代交流施設「おもちゃ美術館」

多世代が交流する日本最大級のおもちゃ美術館としてオープンする「福岡おもちゃ美術館」は、アナログのおもちゃ約8,000点が展示される体験型ミュージアムで、福岡の伝統玩具でも遊ぶことができる。

また、館内には福岡県産の木がふんだんに使われ、全国のおもちゃ作家の作品が並ぶショップや、家具産地で知られる福岡県大川エリアの職人とコラボレーションしたギャラリーも併設する。

キッザニア福岡(上)と、福岡おもちゃ美術館(下)のイメージ図
(画像提供:(上)KCJ GROUP(下)認定NPO法人・芸術と遊び創造協会)

ららぽーとでは珍しい屋上に広さ1万㎡超のスポーツ施設も登場

屋上には、「MIFA Football Park 福岡」もオープン

Mr.Childrenの桜井和寿とGAKU=MCのユニット「ウカスカジー」が所属し、音楽とフットボールを通じてさまざまなコミュニケーションを創造する団体「MIFA」(Music Interact Football for All/ミーファ)が運営するフットボール施設。

九州初進出で、国内4カ所目となる。フットサルコート3面とジュニアサイズのサッカーコート1面を完備する計画で、MIFA直営のサッカースクールも開校するという。

屋上には、上記のフットボール施設に加えて、1周200m×4レーンの陸上トラック(直線100m×6レーンも併設)やテニスコート、東京五輪の正式種目でもあった3×3バスケットボールコートなどで構成する「スポーツパーク」もあわせてオープンする。 

スポーツ関連のスペースは、施設全体で1万㎡超になるといい、屋上をスポーツ広場にする試みは、国内の他のららぽーとでもあまり見られない。

入居施設としてはこのほかにも、「機動戦士ガンダム」の世界を体験できる「ガンダムパーク福岡」が計画されており、これにあわせて、実物大で再現されたガンダム立像(高さ20m)もお目見えする。

「実物大νガンダム立像」イメージパース図(画像提供:創通・サンライズ)

2020年10月19日には、新たなテナント情報として、九州・福岡の多様な食の魅力を発信する“フードマルシェ”が設けられることも発表された。西鉄ストアが手掛ける「レガネット DAILY ENTERTAINMENT SQUARE」や、旧青果市場に携わってきた仲卸が運営する「MARKET 351」を核に、約20店舗がそろうという。

このほか、シネコンの「TOHOシネマズ」(9スクリーン、約1,300席)なども入居する。

これまで明らかになっていたものも含めて183の入居テナントが同日、先行発表された。各店の入居で、「ららぽーと福岡」では、3,000人を超える新規雇用も見込まれる。

基本商圏は半径10km、福岡市と周辺市街地の大半がエリア

「ららぽーと福岡」は、幹線道路の「筑紫通り」に接しており、JR博多駅から下り方面の隣り駅である竹下駅から約800m(徒歩9分)と近い。福岡空港からも1.5kmほど。施設内ではバスターミナルを新設予定で、各方面からの新設バス路線も計画されている。

基本商圏は半径10km圏とする。現地から西は「福岡PayPayドーム」を越え、東は「アイランドシティ」近くまでで、福岡市内と周辺の市街地がすっぽりと入る。客層はファミリー層をはじめとした幅広い世代をターゲットにし、新型コロナ感染症の収束を経てインバウンド需要が回復した際には、インバウンド顧客も取り込みたい考えだ。

堀野さん:「足元、中広域ともに人口集積が厚いエリアと考えています。福岡市内には「マークイズ福岡ももち」や「ゆめタウン博多」、糟屋郡には「イオンモール福岡」などもあり、天神と博多エリアにも多数の商業施設があることは認識しています。
我々の施設の特徴を生かし、同じエリアにある商業施設として、地域全体のさらなる活性化に寄与していきたい。」

そして、「ららぽーと福岡」の役割について、次のような展望を描く。

堀野さん:「福岡市におけるまちづくりの新たな拠点として、多様な人々が集い出会う広場空間をはじめコミュニティの拠点となる商業空間を創出し、魅力と活気あふれるまちづくりに貢献したいと考えています。
新しいにぎわいを生み出す、福岡市の新たな景色となることを期待しています。」

子育て世代には楽しみな「子どもを一日中遊ばせるテーマパーク」

「福岡は、都市圏人口の規模の割には小学生を中心とした年齢の子どもを一日中遊ばせるテーマパークが見当たらなかった」と話すのは、公益財団法人九州経済調査協会研究主査の小栁真二さんである。

小栁さんが指摘するのは、「海の中道海浜公園」といった自然公園以外のものである。福岡都市圏から足を延ばしたところにあった「スペースワールド」(北九州市八幡西区)は2018年元旦に閉園した。

福岡市内では「かしいかえん シルバニアガーデン」(東区)も2021年12月末で閉園する。博多区にある「福岡アンパンマンこどもミュージアムinモール」は、メインターゲットは小学校入学前の子どもたちである。

小栁さん:「福岡都市圏の子育て世代にとっては楽しみな施設だろう。「キッザニア」が入ることは、より広域から人を呼び込めるのではないか。オープン当初は間違いなくにぎわうと思う。」

課題は、そのにぎわいをどうやって継続していくかである。

小栁さん:「スポーツ関連施設があることで、近隣の人が日常的、習慣的に使う場所になるだろう。「キッザニア」による広域からの集客とあわせて、両軸を備えているとみている。」

「ららぽーと福岡」は、福岡の副都心とされる大橋エリア(南西に約1.5km)にも近い。近隣だけでなく広域からどのように人が流れてくるのか、また、そこで生み出されるにぎわいがどのようなものになるか、注目したい。

文=神崎 公一郎

【ららぽーと福岡】
■所在地: 福岡市博多区那珂6丁目351
■敷地面積: 約8万6,600㎡
■延床面積:約20万6,400㎡
■建物:店舗棟が地下1階・地上5階建て
    立体駐車場棟が7階建て2棟
■駐車場:約3,050台

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

成長する地方都市 #福岡 のリアルな姿を届けます。福岡のまちやひと、ビジネス、経済に焦点をあて、多彩なライター陣が独自の視点で深掘り。 「フクリパ」は「FUKUOKA leap up」の略。 福岡で起こっている、現象を知り、未来を想像し、思いをめぐらせる。 飛躍するまちの姿を感じることができると思います。 https://fukuoka-leapup.jp

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