9歳の息子が門限を過ぎても帰宅せず、必死で探した魔の時間

わが家の9歳の息子の門限は午後6時です。息子は友達との遊びがどんなに盛り上がっていても、時間になれば必ず切り上げるタイプ。いつもきちんと門限を守るため、安心していました。ところがある日、午後6時半を過ぎても家に帰って来ません。もしかして息子の身に何かあったのかと、不安でたまりませんでした。

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息子の行き先を確認すべきだったと、深く後悔

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 息子が初めて門限を破ったその日に限って、私は誰の家に遊びに行くのか聞いていませんでした。息子の自転車は玄関に置いたまま。遠出以外では自転車を使わないため、近所の友達の家に電話しました。しかし息子は見つからず、遠い家の友達にも片っ端から電話しました。

 それでも何の手掛かりもなく、「もしかして事故に遭ったのかな? 何か事件に巻き込まれたのかな?」と、最悪の事態が頭をよぎります。すでに午後7時を回ろうとしており、日は沈み、辺りは暗くなっていました。

 私は、心配で涙が止まりません。スマホを片手に外へ飛び出し、息子がよく遊んでいる空き地や公園など、思い当たる場所は全て捜しました。それでも息子の姿はなく、「もう警察へ行くしかない」と思いながらも、「もしかすると入れ違いに家に戻っているかも」と、いったん家に戻りました。

 玄関の扉を開けると、息子の靴を発見! 急いで部屋に入ると、何食わぬ顔で息子がソファに座っていました。ケガをしている様子はありません。
「こんな時間までどこに行っていたのよ!」と、私は鬼の形相で怒鳴りつけました。すると息子は
「どうしても帰れなかった」とボソッと言うのです。

 冷静でいられない私は、
「どういうこと!? 理由をきちんと教えてくれないと分からないでしょ!」と声を荒らげて問い詰めました。しかし、息子は
「言いたくない!」と言い放ち、泣きながら自分の部屋へ入ってしまいました。

 私は「きっと何か理由があったのだろう」と思い直し、少し時間を置いてから息子に話を聞くことにしました。

帰りたくても帰れなかった理由は? その黒幕とは?

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 数時間後、そっと息子の部屋に入ると、息子はベッドに横たわっていました。
「どうしたの? しんどいの?」と聞くと、首を横に振ります。私は涙をこらえながら
「どうして遅くなったのか教えてくれないとママは眠れないよ。事件に巻き込まれたのかと思って、心配したのよ」と言うと、息子は小さな声で
「○○君が、『50mを8秒で走れるまで家に帰さない』って言ったから」と話し始めました。

 ○○君は息子と同学年で、有名ないじめっ子です。息子が友達の家に歩いて行こうとしたところ、たまたま遭遇したようです。ただでさえ走るのが苦手な息子に、中学生並みの8秒なんて無理な話です。それを分かっていながら、○○君は息子をからかったのです。

 「家に帰りたいけれど、帰りたいって言える相手じゃなかった。逆らうと暴力を振るわれる」と涙を流す息子。私は、○○君への怒りが込み上げてきました。親からすれば「そんなやつ、相手にせず帰ってきたらいい!」と言いたいところですが、子どもには子どもの社会があるのでしょう。難しい問題だと思いますが、放っておけません。辺りが暗くなるまで家に帰そうとしない、帰ると言えば暴力を振るうなんて、考えられません。

 翌日、担任の先生に相談したところ、息子と同じ目に遭った友達が何人かいることが分かりました。幸い○○君は違うクラスです。なるべく接しないようにし、遊びに行く時の移動は自転車にして回避するほかないと思っています。
(ファンファン福岡公式ライター/伊藤優香)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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