1年の汚れをきれいに落とす、年末の大掃除。主婦にとっては、大変な作業です。愛する家族のために、万全の準備をし、全力で立ち向かった、ある年の大掃除。私は色んな意味で痛い思いをすることになるのでした…。
いざ始めよう、大掃除!
年の瀬も迫る、12月30日。恒例の大掃除の日を迎えました。
小学生の息子は子ども部屋、幼稚園の娘はおもちゃ箱と絵本棚、そして不器用な旦那には、無難なガレージとベランダの掃除を任せました。
もちろん、メインの掃除作業を行うのは私。部屋のワックスがけ、風呂、トイレ、洗面所、キッチン全ての水回りの掃除を1人で行います。
普段は色黒の肌に、メイクテクニックを駆使して、綺麗さを装っている私ですが、大掃除のこの日は、1日家から出ないので、ノーメイク。髪も整えず、そのまま頭にほっかむりを被りました。
「へ~い、ラーメン一丁♪」と、ほっかむり姿でおどけて、子ども達を笑わせたりしていました。
山場はキッチンの換気扇
順調に大掃除は進み、あとはキッチンの換気扇を残すだけとなりました。
「換気扇の掃除って、服に油がついて汚れるよなぁ」と思った時、ふと、先日廃品回収に出す古着をまとめたことを思い出しました。
自分の思い付きに
「ナイス!」と声をあげ、古着の袋を取りにいきました。袋の上の方にあった、ボロボロの柄付きフリースと、膝に穴が開いてしまった部屋着のズボンを出し、着替えます。「これで、汚れを気にせず掃除できる」と張り切って換気扇のネジを外し、掃除を開始しました。
換気扇の取り出し作業をしていた時のことです。部品の尖った先で、右小指を切ってしまったのです!
「痛い!」私の声に、旦那と子供達が駆け寄ってきました。
腕を上げて、止血をしましたが、全く止まらず、どんどん血が溢れてきました。
救急外来へ! 医師から思わぬ一言
しばらく経っても一向に血が止まらないため、私も旦那も焦りました。年末で病院も開いていないため、総合病院の救急外来へ向かうことに。
受付を終え、診察室には私1人で入りました。担当は年配の男性の先生でした。
やはり傷が深く、縫うことに…。先生は私に優しく声をかけました。
「お1人暮らしですか? 大変でしたね~」
「え? お1人暮らしって…」結婚して以来、言われたことのない言葉。
「どうして1人暮らしって言われたんだろう?」その時、はっと、自分のとんでもないファッションを思い出しました。
頭はほっかむり、顔はノーメイク、服はボロボロフリースに穴あきズボン!
先生は、私の様子から、独身で1人暮らしだと思ったのでしょう。それもかなりの確信をもって。(先生が「お1人暮らしですか?」と言った後に、私の返答を求める間が全く無かったので…)
「恥ずかしい~!」指の痛さと同時に、自分の姿への痛さも感じながら、切れた指をきれいに縫って頂きました。
「また、お正月明けに見せに来て下さいね。よいお年を」という先生の言葉に、私はズボンの穴を気にしつつ、お礼を伝え、診察室を後にしました。
待っていた旦那に指を縫ったことを伝えると
「おぉ、救急外来に連れてきた、俺の判断は正しかったな。無事で良かった!」と、私のおかしな格好は一切気にせず、自分の判断と無事の治療を喜んでいました…。
その日以来、私は最低限、外に出て、人に会える服装でいるようにしています。でもよく考えると、その日以来、急に出掛けるような緊急事態は起こってないなぁ~。いけない、いけない、油断禁物! 今後も家での服装に気をつけていきます。
(ファンファン福岡公式ライター / やすさき きょうこ)