新人教育をした時の驚きエピソードです。2年ぶりに新入社員が入社し、私は研修担当になりました。大卒の22歳、社会人経験がないとはいえ、そのマナーと知識のなさに驚かされることになるとは…。ビックリ新人の驚きの生態をぜひ聞いてください!
2年ぶりの新入社員に期待大
私が勤務していたのは約50名のオペレーターが在籍する、小規模なコールセンターでした。法人向けのアウトバウンド(こちらから架けるいわば営業電話)のせいか、社員もオペレーターも常に人手不足の状態で、新入社員の配属が決まった時は社員一同大喜び! 皆が期待を寄せました。
配属当日やってきた新入社員は、色白のやせ型で大人しそうな男の子でした。何となく覇気のない様子に、研修担当になった私は一抹の不安を覚えました。
研修中に驚いた1番のエピソード
A君は東京の大学を卒業した22歳。研修が始まると驚かされることが次々出てきました。挨拶ができない、敬語が使えない… ある程度は想定内でしたが、様子を見に来た社長に
「ご苦労様です」と言ったり、会釈は首を前に押し出すだけだったり… 体育会系の部活なら先輩にこっぴどく叱られるパターンです。そして、漢字が読めないことに1番驚きました。
研修3日目、営業トークのロールプレイングをしていた時のことです。葉書(はがき)を「はしょ」、何卒(なにとぞ)を「なにそつ」と読んだんです! それも自信たっぷりに…。それは違うと指摘をすると
「あ、そうなんですね」の一言。一応フリガナはふっていましたが、間違えたことに対する恥ずかしさや謙虚さは微塵も感じることができませんでした。
コールセンターではお客様の氏名を聞き取る際に、漢字に間違いがないよう、わかりやすく復唱します。五十嵐(いがらし)さんを例として復唱させると
「イガラシってどんな字ですか?」から始まり
「ごじゅう? あらし? それでイガラシですか?」 …最低限の常識もないのかお前は! と怒鳴りたくなるのを必死でこらえました。
彼の常識のなさは特別なものなのか、それとも今の若い子は大卒でもこんなに無知なのか… モヤモヤしたストレスで、こちらの神経がおかしくなりそうでした。
研修終了 その後A君は?
A君は、社会人レベルの低さを自覚しないまま、業務に就くことになりました。そこからはもう… お客様からのクレームの嵐!
「口のきき方も知らないやつが電話してくるな!」
「上司を出せ!」などなど、彼のクレーム対応で1日の業務が終わった日もあったほどです。
ただ、彼は鋼のようなメンタルを持っていました。電話口で怒鳴られても平然としているし、クレームのアラートを出すときも普通に挙手するような状態。
「自分の何が悪いのかわからない」
「相手は何を怒っているんだろう?」と、とんちんかんなことを言いながらでも、業務を遂行しようとするのです。クレーム数は断トツトップで、電話口で頭を下げる姿を毎日見ていましたが、なぜか彼は辞めることなく、配属先の変更希望も出しませんでした。
ハラハラしていたのは周囲の人間だけ… 本人はあっけらかんとしてオペレーターの仲間入りをしていったのでした。
自分の物差しでは測れない! 新人君から学んだこと
A君の新人研修は、私にとって正直地獄でした。
ただA君は今でもコールセンターで働いているそうです。辞めずに働いてくれていることは、会社にとって良い社員ということになるんでしょう。私はA君と仕事をして、自分の常識だけで他人を見てはいけないということを、教えてもらったような気がします。
(ファンファン福岡公式ライター/きなこ)