SUPER BEAVER 渋谷龍太さんインタビュー「過去最高の日を更新」

 楽曲「人として」がアサヒスーパードライのWeb CMソングに起用され、また今年リリースされた「名前を呼ぶよ」は人気漫画原作の実写映画「東京リベンジャーズ」の主題歌に抜擢。ライブのチケットは即SOLD OUTするという、ロックバンド「SUPER BEAVER(スーパービーバー)」。「今年最もライブで福岡県に足を運んだ」といい、2022年2月5日(土)には、福岡PayPayドームで開催される「FUKUOKA MUSIC FES.(フクオカミュージックフェス)」への出演も決まっている彼らのボーカルを務める渋谷龍太さんに、話を聞いてきました。

—歌う際に何を思って歌っていますか。

 そうですね、何も思っていない…ですね(笑)。人と話す時に、事前に「どんなふうに話そう」とシミュレーションして話さないのと同じことで、自分が今思っていることを伝えるべき“温度”で歌うことは、その時近くにいてくれる人と空気を共有してつくり上げていくこと。なので、自分がどういうふうに歌おうかなって考えるより、その時の出たところ勝負。ライブなどその場にいる人と一緒につくり上げた空気の中で最適な声や強弱を決めていますね。

—レコーディングだとまた変わってくる?

 (ライブに比べ)ロジカルになる部分はあるんですけど、それもほんの少しです。(レコーディングは)自分たちが(歌で)伝えたい本質をその都度考えて、その時思ったことをパッケージングするだけ。だから、ライブとレコーディングで(曲の仕上がりに)差異が出ることはほとんどないです。歌うたびに気持ちが強まっていくことはあっても、(レコーディングの時に伝えたかった気持ちから)検討外れだったなということは全然ないので、気持ち優先。技術的なことは何も分からないので(笑)。

photo by 日吉”JP”純平

—ライブMCなどで思慮深く言葉を選んで話している印象を受けますが、話す際に気を付けていることはありますか。

 相手が自分の気持ちをくみ取ってくれやすいように話す、です。自分が言葉を発した先にいるのは、絶対に自分以外の人間で、親族であろうとどんなに近しい間柄であろうと“僕ではない人”なので、いかに自分が思っていることを純度高めに伝えられるかなって。100%理解してもらえるということは絶対に不可能だと思っているので、どんなふうにしゃべったら自分が今思っている感情の機微みたいなものをうまく伝えられるかなって考えています。

—「現場至上主義」として活動されてきたSUPER BEAVERにとって、コロナ禍でライブができなかった期間は、どういった影響を受けましたか。

 正直新しい発見みたいなものはあまりなかったです。ただ、再認識できたことはあって、それは大きかった。自分が大事だと思っていたものがより大事に感じるようになったり、したいと思っていたことがよりやってみたくなったりだとか。
 オンステージした時に感じるのは、たとえマスクをしていたとしても、声を出せなかったとしても、フロアからの気持ちを察知するアンテナみたいなものは少し敏感になったかなと思います。

photo by 日吉”JP”純平

—それは有観客になって最初のライブでそう思いましたか。

 いや、それは無理でした。その時はまだ、「なんで声出せないんだろう」っていう気持ちだったので。それでもライブを何度も何度も重ねて、そんな状況の中でも見に来てくれる人たちの前に立って、そういう人たちの「声を出せなくても気持ちを伝えたい」という、そういう思いがちゃんと伝わってきたので、これはもう余すところなく全部くみ取りたいなと。今までもそう思っていたけれど、1年前よりはそのアンテナがさらに敏感になったのかなと思います。

—ライブのセットリスト(曲順)を組む際の基準などはありますか。

 ツアーではそんな変えないことが最近は多いですね。同じセットリストにすることで、自分たちがつくり上げたいものをより強固にしていきたいという思いもありますし、同じ流れにしていても、それぞれの地方で絶対同じものにはならないと分かっているので。
 ただ、呼んでいただいたイベントだったり、フェスだったりはなんだろう…やりたいもの優先(笑)。そういう時は緻密に考えずに、流れが一番気持ちよさそうだなっていう理由で組んでいます。例えばメンバーの誰かが「これを1曲目にどうしてもやりたい」って言ったなら、その曲から始まって、最後までいく流れが気持ちいいものっていう組み方です。

—初の自著小説「都会のラクダ」が11月26日に発売されました。過去の出来事についても詳細に書かれていましたが参考にされたものはありますか。

 特にないかな? この本を書くにあたって、0から始めたわけではなく、最初はブログでバンドのあゆみを書きたいなっていうのから始まっていて。2016年10月に発売した、Zepp DiverCityでやったライブを映像化したときの封入特典として、「都会のラクダ」という冊子を作りました。その後にも、結成15周年を記念したサイトで、誰にでも読めるような形として公開しました。今回の小説は、ほぼ1から書いたに近いんですけど、下準備のようにしてそれらを書いていたので、大本のようなものはありました。それを見返しながらということはしましたね。

「都会のラクダ」(KADOKAWA刊、本体1,500円+税)

—文体などで影響を受けた物はありますか。

 絶対に好きな本や好きな作家さんからは影響を受けていると思うのですが、具体的に誰っていうのは特にないかもしれません。僕は本がすごく好きで、今までにもコラムを書かせていただくお仕事などもいくつかもらっていて、今も「ダ・ヴィンチ」や「ROCKIN’ON JAPAN(ロッキング・オン・ジャパン)」で連載をいただいているんですけど、そういう文章を書くお仕事をやらせていただく機会というのが結構あったので、そういうお仕事をしていくうちに、「自分が伝えるならこうなのかな」ってなんとなくやり方を覚えていったのかなと。大好きな本や、作家さんから何かしらの“イズム”を勝手に受け継いでいるんです(笑)。

—2022年2月23日(水)にはフルアルバム「東京」のリリースが決定しています。アルバムについて何か教えてください。

 いつもコンセプチュアルに作るということがあまりないので、できた曲をパッケージングしてから「こんな雰囲気になったんだ」と自分たちも全貌を知ることが多いんです。だから、現段階で「こういう感じ」というのが難しいのですが、前回のアルバム(「アイラヴユー」2021年2月3日発売)を聞いた時、僕初めていちリスナーとして聞けたんです。自分たちの作ったものを。そして今回のアルバムに関してもリスナーとして早くこの曲の完成形を聞きたいなァって思う曲ばかりなので、多分、いいアルバムなんだと思います(笑)。

—アルバムタイトル含め、曲にもよく「東京」という文言が出てきます。東京に対しての深い愛を感じますが、そんな渋谷さんから見た「福岡」の印象は?

 福岡の印象、僕これ言ったら他の県に嫉妬されちゃうなって思うんですけど(笑)、東京に住めないんだったら福岡に住みたいと思うくらい好きです。これ僕、どこでも言っているので本当ですよ。
 福岡は一番東京に近い、東京っぽい街だと思っていて、人も街も雰囲気も、東京にとても似ています。基準を東京にしてしまって申し訳ないんですけど、僕は東京生まれ東京育ちで、そこしか知らないから東京が大好きなのですが、福岡は空気感がすごく肌に合う。他の県だとストレスを感じるとかではないのですが(笑)、福岡にいるときの自分はとても自然体だなと思っています。なので思い入れも深いし、数多く来たいと思う土地です。

photo by 日吉”JP”純平

—2021年ももう年末ですが、今年1年を振り返って印象的だった出来事は。

 よくこんだけライブやったなって(笑)。シングルも2枚リリースして、フルアルバムも1枚リリースして、2021年の間にさらにフルアルバムをリリースする発表までできた。映画の主題歌に抜擢していただいたことも含め、やりたいことをたくさんできたなって思います。まだ状況を選んでではありますが、人と会えるようになったこともすごくうれしいことの一つで、いい年だったと言ってもいいのではないでしょうか。相対的にしか判断できないけど、そうですね、すごくいい年だったなって思います。

—思い返して一番初めに思うのはやはりライブについて。

 そうですね(笑)! 本当にライブしかやっていないと言っていいくらい。2020年はほぼ1年沈黙していたし、配信ライブを5本やったぐらい。やっといろんなことが少しづつできるようになってきて、だから2021年は1月からばんばんライブやってやろうって決めていて、1月には5本かな、ライブをやって。僕たちからしたら多い方ではないんですけども(笑)。でもそこから絶え間なく、年の瀬までライブをやりきれたので、やっぱりライブの印象が強いのかもしれないですね。

—2022年2月5日に福岡PayPayドームで予定されている「FUKUOKA MUSIC FES.」への意気込み、福岡のファンへメッセージを。

 どんなイベントであれ、それが自分たちのワンマンでもフェスでも、記念すべきフルキャパシティのワンマンであっても、心持ちが変わるということは正直ないのですが、過去最高の日をライブごとに更新するように、この日も過去最高の日にします。見に来てくださる方は何も考えずに、心配せずに、丸腰で楽しみに来てくれたらうれしいなと思うので、楽しみにして来てください!

渋谷龍太(しぶや・りゅうた)

ロックバンド「SUPER BEAVER」のボーカル担当。2005年、高校の先輩・後輩で結成された東京出身の4人組ロックバンド。2009年にメジャー・デビューを果たしたのち、2014年にはインディーズへとフィールドを変え、[NOiD]からフルアルバムをリリース。2020年Sony Music Recordsよりメジャー再契約。2022年2月23日にフルアルバム「東京」をリリース予定。

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FUKUOKA MUSIC FES.

2022年2月5日(土)開催!

 福岡に本拠地を構えるプロ野球球団「福岡ソフトバンクホークス」、音楽専門チャンネル「スペースシャワーTV」、カルチャーショップ「BEAMS」の3社がプロデュースする音楽フェス。国内最大級の屋内音楽フェスに、日本を代表するすばらしいアーティストが出演予定。SUPER BEAVERはじめ、[Alexandros](アレキサンドロス)、Creepy Nuts(クリーピーナッツ)、BiSH(ビッシュ)、My Hair is Bad(マイヘアーイズバッド)、マカロニえんぴつ、マキシマム ザ ホルモン 、MAN WITH A MISSION(マンウィズアミッション)、UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)、 緑黄色社会、WANIMA(ワニマ)の全11組。チケット情報や出演者の詳細は公式サイトで確認を。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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