福岡の書店員さん、君の推薦する本を読みたい【福岡キミスイ本 第23回】

 福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。23回目は、8月7日に移転リニューアルオープンしたばかりの「ジュンク堂書店 福岡店」(福岡市中央区)の店長、細井実人さんを訪ねました。今日はどんな本を教えてもらえるのでしょうか。新しくなった店舗についても聞いてきました。

目次

“九州人”の抵抗は面白い! 福岡在住だった哲学者が国道3号に沿って闘いの歴史を振り返る

「国道3号線 抵抗の民衆史」 森元斎 著

出典:https://fanfunfukuoka.aumo.jp/

―中央区大名の西通り沿いに移転リニューアルして初めて来ました。以前と雰囲気が少し違いますね。  場所柄でしょう、若いお客さまが増えたなと感じます。土・日曜の来店数も多くなりました。店内は、以前アパレル店だった時の壁の鏡、シャンデリア、高い天井などそのまま。高級感があって(笑)、スタッフもお気に入りです。

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―確かにシャンデリアが目に留まりました! 書棚間は以前より広く、ゆったり取られていますね。ただ、売り場面積は狭くなり、書籍数に変化もあったと聞いています。  そうですね、以前の店舗では約140万冊を扱っていましたが、現在は3分の1程度の55万冊です。ただ、種類はなるべく減らさないように尽力しました! 複数冊置いていた本を1冊ずつにしたり、これまでの販売状況と照らし合わせて蔵書を選びました。

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―そんな中、今回紹介してくれる本は?  販売前から気になっていた「国道3号線 抵抗の民衆史」(共和国、2,750円+税)。8月に発刊されたばかりです。著者の森元斎さんは、アナーキスト(無政府主義者)な哲学者で、以前は福岡在住でしたが現在は長崎大学で准教授をされています。福岡におられた頃は以前の店舗に足を運ばれていて、「この店はホワイトヘッド(英国の哲学者)の本が豊富でいいですね」と褒めてくださったんですよ。

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―では、これも哲学書なのでしょうか。  いえいえ、どちらかというと歴史書や郷土の本という感じです。タイトルの通り、国道3号(※)に沿った土地の歴史を、森さんの主観や研究を含めて書かれています。ジャンルが絞りにくいということもあり、「郷土史」と「哲学書」のコーナーに分けて並べています。どちらの書棚からも手に取ってもらっているようなので、よかったです。  ※北九州市門司区から福岡市を経て、福岡県南部と熊本県西部を縦貫し、熊本市を経て九州西岸部を南下、鹿児島市に至る一般国道。

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―「抵抗の歴史」というのはどういう意味でしょうか。  西南戦争、水俣病、米騒動などを取り上げ、国道3号線周辺の人々がどうやってその事態に立ち向かったのかが書かれています。日本の歴史において、九州という土地がどのように見られていたのかも分かり、読むと「九州って面白いな」という気持ちになれますよ。

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―どういった点で面白さを感じたのでしょう。  九州の人って、全国的に見てもやっぱりどこか血の気が多い(笑)。反骨精神も旺盛で、しかも理屈というより気持ちや腕力というか、警察に対峙するときも、武器がすごくて。棒の先に犬のうんちを付けて立ち向かったりするんですよ(笑)。酒を飲みながら宴会みたいにストライキしたりとか。確かに九州っぽいなあと思いながら読みました。

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―確かに九州っぽい気がします(笑)。歴史に詳しくないのですが、私でも読めるでしょうか。  それは大丈夫です! すごくアカデミックで専門的というわけでもなく、西南戦争、水俣病裁判など誰もが聞いたことがあるような事柄を扱っているので、読みつきやすいと思います。そしてサークル村や北九州の米騒動などの事例も大いに興味を引かれます。“九州人”の闘いは面白いというのを知ってください。

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