住宅ローン控除は2022年の改正でどうなる?  4つの変更点を解説

 2022年より住宅ローン減税が改正となり、エコな住宅がより優遇されることになります。マイホームの購入を検討されている方は住宅の区分に注意し、資金計画を立てる必要がありそうです。今回は主な改正ポイントをファイナンシャルプランナーの川畑がご紹介します。

目次

住宅ローン減税とは ローンの一部が所得控除になる制度

 住宅ローン減税とは、住宅ローンの一部を所得控除できる制度です。控除率や控除期間は対象となる住宅の区分によって異なります。以下は改正前の内容です。

ファンファン福岡編集部

 2021年末までの住宅ローン減税については、契約期限が2021年11月30日、入居期限が2022年12月31日でした。それ以降については、2022年の改正された内容での住宅ローン控除となります。

 2022年の住宅ローン控除の改正内容は2025年まで適用されますが、2025年内に入居しておく必要があります。2026年以降はまた制度の内容が変わる可能性がありますのでご注意ください。

(※国土交通省 住宅ローン減税|参照:https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html)

1. 住宅ローン減税の控除率は1.0%から0.7%へ

 現状、住宅ローンは1.0%を下回る金利で提供されることもあります。住宅ローン金利よりも控除率が高くなると、支払う利息よりも還ってくる税金が多くなります。これが「逆ザヤ」といわれる状態です。

 逆ザヤになると、この住宅ローン控除を受けることで支払うどころかお金を得てしまうことになり、一部の人だけがお得になってしまうという問題がありました。この現状を受け、住宅ローン減税の控除率が1.0%から0.7%へ引き下げられます。

 今後住宅ローン減税を利用する人にとっては残念な決定ですが、正しい方向へ修正されたとも考えられます。

2. 借入限度額は環境に配慮した住宅が有利に

 新築住宅・買取再販の場合は区分が4つに分けられ、限度額は環境性能によって分けられることになりました。一方、既存住宅の場合は原則従来と変更ありません。下記の表は改正後の借入限度額です。()内は2021年末までの数値と比較したときの増減です。

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すでに住宅ローン控除を受けている場合は影響なし

 改正前に住宅ローン控除を受けている場合は、今回の改正の影響はありません。よって、改正前の内容が引き続き適用されます。

3. 新築・再販住宅の控除期間が最大13年間に延長

写真AC

 新築、再販住宅の控除期間が10年から最大13年に延びました。しかし、従来から消費税10%で購入した住宅は13年に延長されており、実質的な変化は感じにくいです。中古住宅は従来と同じく10年です。

 注意点として、「新築・買取再販の住宅区分」の「その他」に分類される新築および再販住宅は、2024年以降の入居からは10年へ変更になります。

4. 所得要件が年間所得2,000万円以下からに引き下げ

 改正により、所得要件が年間所得3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられました。これにより、年間所得2,000万円超の高所得者は対象外となりました。

住宅購入時は環境性能に注意 よりエコな住宅が有利に

写真AC

 今回の改正により、環境性能の高い住宅が一層優遇されるようになりました。例えば省エネ性能があることや、定期的なメンテナンスの計画があること、地震による損傷を減らす工夫がしてあることなど、長期的に住みよい住宅になっていることがポイントです。

 これらの性能についてはそのレベルによって住宅区分が分けられているため、住宅の購入前にはどの区分に該当するか確認しておくと安心です。改正により控除率が引き下げとなるのは、やや残念な点でした。
 近年は、環境に対する意識が高まっており、この状況を上手く生かした住宅ローンの組み方を考える必要がありそうです。

(ファンファン福岡公式ライター/川畑彩花)

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※この記事内容は公開日時点での情報です。

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