わが子の小学校では、バレンタインチョコレートを学校に持ってくるのは禁止です。先生に隠れて持ってきた女子に、注意した息子。相手は容姿端麗・成績優秀・スポーツ万能の女王様女子でした。ランドセルから飛び出すチョコ。泣き出す女王様…。後日、そのお母様の口から出たまさかの一言とは!?
今どき小学生のバレンタイン事情
長男が小学5年生のときの話です。近頃の小学生のバレンタインデーは、好きな男子にチョコレートを渡す日というよりも、仲の良い女子同士が「友チョコ」を交換し合うのが主流。
当然ながら、学校はチョコの持参禁止。
「バレンタインデーは放課後、家に帰ってから楽しんでね」と先生も事前に話をします。
とはいえ、放課後は塾や習い事で忙しい今どきの小学生。ここは効率よく、学校にこっそり持ってきて、先生の目を盗み交換し合う女子が少なくないそうです。
そんな女子を黙って見ていられないのが、いつも女子に注意され、肩身を狭くしている男子たち。お調子者で日頃から女子にやられっぱなしの長男も、ひそかに仕返しを企んでいました…。
2月14日 女子vs男子の大騒動
2月14日の朝、授業前の教室で男子たちは女子の取り締まりを始めました。
「チョコ隠してるんでしょ?」と言いながら、女子たちのランドセルを覗き込みます。これに対抗してきたのが、クラスで一番かわいくて、頭が良くて、足が速い、女王様的存在の万能女子Aちゃんでした。
「やめなよ」と抗議する女王様に
「じゃあ、ランドセルを見せなよ」と応戦する長男。勢いで女王様のランドセルが開くと、たくさんのチョコが飛び出しました。攻める男子vs抗議する女子。教室は大騒ぎとなり、女王様Aちゃんは泣き出してしまったそうです。
バツが悪くなった男子たちは、結局先生に言い付けず、女子たちも先生にトラブルを報告しませんでした。
それでも、女王様を懲らしめられただけで大満足の長男。家で披露された武勇伝を聞きながら、Aちゃんのママに今度会ったら謝らなくちゃ… と私は考えていました。
出来のいい子は何をやっても許されるの!?
5年生最後の参観日、Aちゃんママを見つけた私は廊下で呼び止め
「先日は手荒なことをしちゃったみたいで… 申し訳ありませんでした」と頭を下げました。
こういう場合、互いにわが子の落ち度を認め、「お互いさま」の精神で事を丸く収めるのが普通だと思います。予想では、このあと「いえいえ、こちらこそ…」という展開になるはずでした。ところが女王様ママは…
「学校はチョコ禁止と言うけれど、暗黙の了解で許されているんです! 見つかっても怒られないって、娘も言ってます! なのに、無理やりランドセルを開けて、けがでもしたらどうするんですか!」と、猛抗議を始めるではありませんか!?
暗黙の了解?
一方的に非難を浴びることになった私は、ひたすら謝るしかありません。女王様ママが鼻息も荒くその場を去ると、近くにいたママ友が集まってきて
「そもそも悪いのは向こう」
「ほかに言い方があるはず」と励ましてくれました。
気になって“暗黙の了解” について、先輩ママにも聞いてみると
「そんなことある訳ないじゃない。女王様だから特別扱いしてもらえると思ってるんでしょ」とのこと。
…そ、そうなの!? 出来のいい子なら何をやっても許されるとか、あり得ない!
憤慨するも、女王様と女王様ママはその後も堂々としたもの。出来が悪く損ばかりしている男子の母は、ふだん長男が感じている “やるせなさ” を少なからず思い知ったのでした。
(ファンファン福岡公式ライター / 繭子)