小学6年生になって中学受験をすると決め、受験塾に通い始めた娘。すると4年生から別の塾に通っていたクラスメートのママ友が、先輩ヅラで私に急接近してきました。同じ難関校を受けることになった私たちを待ち受けていたのは、まさかの結果だったのです。
短期決戦で臨んだ中学受験
小学6年生になって中学受験をすると決めた娘は、4月から受験塾に通い始めました。中学受験をする家庭では、4年生くらいから受験塾に通わせるのが一般的。1年足らずで受験なんて無謀とばかりに、先輩お受験ママたちから興味本位で声をかけられることが増えました。
娘のクラスメート、通称 “お嬢” のママも、そのうちの一人。PTAの役員や子ども会の会長も務めた、教育熱心なママでした。それまではあいさつ程度の間柄だったのに、彼女は急接近してきたのです。
授業参観日、娘があくびをしていると
「眠そうね。昨日遅くまで頑張った?」と嫌味たっぷり。夕方、塾近くのスーパーで買い物をしていると
「塾に送った帰り? 大変でしょ?」とひやかし半分で話しかけてくるといった具合。うちは余裕綽綽(よゆうしゃくしゃく)よ、と言わんばかりの物言いで、町で会っても大げさに手を振って近づいてくるのでした…。
難関校入試でまさかの大逆転!
娘もお嬢にマウントを取られていたようです。お嬢は取り巻きを引き連れてきては
「この間の模試どうだった?」
「この問題解ける?」と上から目線で事あるごとに挑発してきたそう。そんな悔しさもバネになったのか、娘の成績はグングン上がり、夏休みが終わる頃には高めに目標設定していた難関校も良い判定がつくようになりました。
入試が近づくと、子どもたちの間でも志望校の探り合いが始まります。娘もお嬢にしつこく聞かれ、同じK中学を受験することが分かりました。K中学は、娘が出願するなかで最も偏差値が高い学校です。
そして2月1日、入試スタート。結果… 娘は見事、K中学に合格! 私は思わずガッツポーズ。娘を抱きしめて
「きっとみんなビックリするね」と喜び合いました。
週明け、娘が登校すると、待ち構えていたお嬢がK中学の合否を聞きに駆け寄ってきたそうです。娘が
「受かったよ。お嬢は?」と聞くと、首を振り肩を落として去っていったとか…。彼女の第一志望はK中学だったそうです。
合否判明でママ友の態度が一変
娘の合格は、その日のうちにお嬢ママの耳にも入ったことでしょう。翌日、町で彼女を見つけたときのことです。目が合った瞬間、お嬢ママはきびすを返し、気付かぬそぶりで行ってしまいました。
ん? 気のせいかな…。
いえ、確かに目は合ったはずです。しかしその後も、彼女はすれ違う前に方向転換。どうやら、私を避けているようでした。悔しい気持ちはわかりますが、こんなに大人げないことをする人だとは思いませんでした。
ある日、駅前で見かけたお嬢ママは、人が多かったせいか、私に気付かずに近づいてきました。すれ違いざまに
「こんにちは」と挨拶した時です。お嬢ママは私を見るなり、目を丸くして後ずさりし、街路樹の根っこにつまずいて転んでしまったではありませんか!
そ、そんなに驚く…?
慌てて差し出した私の手を振り払い
「大丈夫、大丈夫…」と呪文のように繰り返しながら片足をひきずって去っていくお嬢ママ。鼻を折られ、足までくじいてしまったその後ろ姿は、痛々しくも、ちょっぴり滑稽でした。
受験は子どもたち一人ひとりの力試し。入試前のマウント合戦は無意味だということを、親はわきまえておきたいものですね。
(ファンファン福岡公式ライター / 繭子)