”猫つぐら”、チョビのねぐらになる   「サ日記」

猫のサニです。今月2月は22日が「猫の日」ということは毎年書いてきているが、さらに2月は「猫の月」でもあるらしい。

飼い主に「いたわってくれよ」と言ったら、いつも十分そうしている、と言われた。そうなのか。

 新入りのチョビは相変わらず、おれのあとを金魚のふんのように追いかけてくる。睡眠不足だ。

 しかし、チョビのおかげで飼い主が喜んでいることがある。

 このわらで編んだ手づくりの「猫つぐら」をベッドとして愛用しておるのじゃ。

 おれがこの家に飼われる前、十年くらい前に先代猫のみぃさんのために、2万円以上かけて長野県から取り寄せたらしい。手作りというのは当地の農家のおばあちゃんあたりが夜なべして作った品ということだ。丈夫でしっかりしている。

 ところが、みぃさんはお気に召さなかったのか存命中まったく入ることなく飼い主をがっかりさせたという。

 おれもどうも使う気がせず、宝の持ち腐れになっていた。

その猫つぐらをチョビはすぐに気に入り、愛用している。よかったよかった。

 警戒心の強いチョビは、人間がつぐらに近づくとすぐに出てしまう。早く慣れてやらんと飼い主が悲しむぞ。

 段ボールも好きだ。だいたいこの箱はおれのものなんだが。

 狭い箱の中は寝心地だ良いからニャ。アンモナイトのポーズだ。

 温泉に浸かってるような顔になるほど気持ちいい。

 誰にも邪魔されぬよう、「ごめん寝」で外部をシャットアウトするおれ。

 そんなおれの邪魔をしに来るのがチョビだ。狭いところにわざわざもぐりこんできやがる。落ち着かんことこのうえない。

 見兼ねた飼い主がもう一箱用意してくれた。ありがたい限りだが、それでもおれの箱に入ってきたがるのがチョビだ。

 もう勘弁して欲しい。

 ぐっすり寝てるおれの横で、虎視眈々と邪魔しようと狙っている。

 寝不足が続く。

 とにかくおれの真似をしたいようだ。パソコンに乗るのもそうだ。飼い主に怒られるぞ。

 あったかい日も増えてきたので、外を見ていると、そこにもすぐやって来る。

 黒い子猫のきょうだいが水を飲んでるぞ。チョビはなぜかこいつらに対しては対抗意識を燃やして、よく「フゥーッ!」と火を噴いて威嚇している。了見の狭い猫だ。

 チョビのおかあさんも、一日何回ものぞきに来る。家猫になりかけているチョビのことが心配なのか、「私も家猫にして」と言ってるのか。

 おれとしては、チョビだけでもヘトヘトになっているのに、これ以上うちに猫はいらんぞ。

 この家の大黒柱猫としておれはまだまだがんばるからニャ。最近亡くなった石原慎太郎さんが生前、「死ぬまで生きる」と言ってたそうだ。当たり前のようでいて、なかなか味わいのある言葉だ。おれもこれからも全力で生きるぞ。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡市南区在住。サバトラ柄。熟年オス猫。雑種だが、アメショーの血が入っていると思っている。
ふてぶてしさが身上の甘え上手。
推定5歳か6歳の頃、今の飼い主宅に上がり込み飼い猫に。それ以前は不明だが、数百メートル離れた公園にいたとの不確かな情報。おととしの暮れ、孫娘のようなキジ白猫チョビが弟子入り。
世の中の動きに敏感なものの、とくに行動はしない。

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