ラーメン屋のせがれ【第3回】~開店効果薄れ、苦境に陥る~

 前回、両親が福岡でとんこつラーメンの店を開業し、当初は繁盛したことを書きました。「当初は」と書いたのは、しばらくして店の経営が苦しくなったからです。

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さびしくなっていく店内

 どんどん儲かりそうな勢いでラーメンが売れたのは、最初の数か月かせいぜい1年くらいだったでしょうか。じょじょに落ち着き、といえば聞こえはいいですけど、客が減り、何年かすると閑古鳥とは言わんまでも目にみえて店内が寂しくなってきました。

 身内のひいき目を差し引いても、味は良かったと思います。これまでその点について何も触れてきませんでしたが、オーソドックスなとんこつラーメンでした。

 画像が残ってないのでお見せできないのが、残念ですが、ざっと説明すると・・・。

味には自信あったのに・・・

 醤油の色がやや強めの茶色っぽいスープ、麺は長浜系より少し太いくらいの細麺です。チャーシューは焼いてはおらず、豚肉のかたまりを太いタコ糸でぐるぐる巻き、豚骨を煮るスープの中に一緒にぶち込み、頃合いを見て引き揚げます。味は付いていません。その分、スープが塩辛いですから。父も私も高血圧体質の家系なのに、なんであんな塩味強かったんだろうと思います。私が食べるときは味を薄くしてもらってました。早死にしたくないですから。ちなみに父は味見以外はほぼ自分の作るラーメンを食べることはありませんでした。面白いでしょ。

 肉体労働されているお客さんも多かったせいか、塩辛い味でもそんな文句出なかったです。

 この写真はあくまでイメージですが、ねぎは手間を省くために、業者さんから切り刻んだものを仕入れてました。うちの家族は「ねぎ屋さん」と呼んでましたが、ねぎだけで商売できてたんでしょうか。

  上の写真は最近私が家で食べたもので、本文とは関係ありませんが、ラーメンにはたっぷりの新鮮なネギが欠かせないですね。店のラーメンで替え玉をした方には、「替えネギ」もどっさり追加してました。「嫌だ」という方以外は。

 あと、特徴的なのは、ごまが入ってることです。私は慣れてるからなんとも思いませんが、後年食べログには、「デフォで(最初から)ゴマ入れるの勘弁して」という口コミがありました。

 これは正直に力説しなければなりませんが、味の素はしっかり小さじ2杯入れて仕上げてました。父曰く「これで初めてラーメンの味が完成する」とのこと。私は前述のように、塩辛さを避けていたので、「味の素も抜きで」と頼んでました。そんなに味が落ちる気はしませんでした。

 そんな「味の素大活躍ラーメン」でしたが、やはり食べログに、うちのことを紹介した「無化調。確認済み」という書き込みがありました。誰に確認したんでしょうか。明らかに間違いです。オープンキッチンなので、父母がラーメン作っているさまを見てれば、力強く味の素を投入してるのも見れたはずですが。何か別の物質と思われたのでしょうか。

 うちの店はとにかく「ラーメン専門店」をうたってました。ラーメン、チャーシューメン、ワンタンメン、それにごはんに絞ってました。飲み物は酒もコーラも色々ありましたが。

 ごはんも沢山まとめて炊くせいか、実においしかったです。私の経験上、白ごはんのおいしい飲食店に外れはありません。

原因は立地か、価格か 忍耐の日々

 ということで、味は悪くなかったと思うのですが、じょじょに売り上げは落ちていきました。今思うと、立地がイマイチだったこともあると思います。交通量の多い幹線道路沿いではありましたが、店は一番奥まった位置なので通りから見えないし、車が駐車場に入る部分が狭いというのも、知名度の無い新規開店の店には不利に働いたと思います。

 第二次石油ショックの発生など景気が悪くなっていったし、強気の価格設定も響いたのかもしれません。

 開店直後は、火曜日を定休にしてましたが、日銭が入って来なくなるとそうも言っておれません。午前11時から夜8時、9時まで毎日営業する状況に追い込まれていきました。スープの仕込みなどもあるので、労働時間はそれ以上です。父は身体にも不調をきたすようになっていきました。

(続く)

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「ラーメン屋のせがれ」(改題しました)  久留仁譲二です。「元ラーメン屋のせがれうんぬん・・」という長たらしいタイトルを付けた初回に続く2回目のラーメン屋ばなしです。めんどくさいので、「ラーメン屋のせがれ」と短く改題しました。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

米国の本家と同い年のシニアブロガー。毎晩長いときは30分に及ぶ歯磨きを欠かさない。最近覚えたメルカリへの出品にはまっている。
17年乗った作業用の軽トラックをカッコいいカーキ色の新車に買い替えた。

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