福岡市公式インスタグラム連動企画「#fukuoka_people」の第四弾。福岡で魅力的な活動をしている様々な方にフォーカスを当て、プロジェクトの内容はもちろん、活動の裏側や熱い思いを伺います。第四回目は、地域活性プロジェクトを手がけるクリエイター集団「RAWTUS(ロータス)」が登場! 各方面で話題を集める彼らにチーム結成の経緯や、0から1を生み出す醍醐味を聞きました。
クリエイター集団「RAWTUS(ロータス)」の結成のきっかけとは?
5人の男性によるクリエイター集団「RAWTUS」。メンバーはリーダーでありイベントプロデューサーの木下拓也さん、「ラブエフエム国際放送」のラジオプロデューサー・下田浩之さん、イベント制作などを手がける「合同会社ハーベイ」のサウンドディレクター・岩崎剛さん、プロジェクトマネジメントやデザインを行う「株式会社ディー・サイン」のディレクター・山本和明さん、フードハンターの異名を持つ「たべるのしごと」の清水寛紀さん。それぞれ福岡市で活動されているみなさんはどのようにして出会い、チームを発足したのでしょうか。 木下:「メンバーとは仕事絡みで出会い、プライベートの飲みの席などで深く互いを知っていきました。みんなキャラクターが面白くて、何か一緒にやりたいなと思っていました」 下田:「それぞれ自営業だったり会社員だったり、職種も違えば個性も異なります。でも『こういうことやったら面白そう!』という感覚がぴったりと合うんですよ」 木下:「最初は、福岡市西区の『今宿野外活動センター』で音楽イベントをやりたいねっていう話からスタートしました。今年1月にキックオフして秋の開催を目指していましたが、コロナ禍が深刻化して…。オンライン会議を進める中で、『音楽イベントは難しいけど、別のことができるのでは!?』と。そこで生まれたのが、『おもちかえりなさい』のプロジェクトでした」
社会問題の解決策を新しい発想で企てる、まちのインフルエンサー。
RAWTUSが立ち上げたプロジェクト「おもちかえりなさい」とは、SNSで「#おもちかえりなさい」のハッシュタグとともにテイクアウトメニューの写真を投稿する飲食店応援企画。誰しもが楽しみながら参加できる仕組みをRAWTUSで構築し、運営を下田さんが在籍するラブエフエム国際放送で展開。「大好きなお店を支援したい!」という純粋な想いが多くの人の心を動かし、情報発信の輪が県外まで広がって一種のムーブメントとなりました。 木下:「自分たちが何かを起こすことで、『大変な状況下でもやれることがある!』と前向きなメッセージを発信したい。その気運がこのプロジェクトを通して高まりましたね」 清水:「あと、社会問題にもなっている『食品ロス』(可食部の廃棄)についてもずっと模索していたよね。僕たちのアイデアで楽しくおいしく解決できたらと、コロナ禍の前から夜な夜な集まってはB品の果物を使ったフレッシュジュースを作って飲んで、話し合ってきました」 木下:「コロナ禍や食品ロスを“社会問題”と捉えながらもガチガチに堅く考えず、楽しみながら手立てを打つのが僕らのスタイルです」
壁に直面してもプロジェクトに向けて挑戦し続ける、それぞれの理由。
4月の緊急事態宣言中、他にも何かできることはないかと考えたRAWTUSのメンバーは、三密を避けて開催できる映画上映イベント「Drive in Theater Fukuoka 2020」の企画を立ち上げました。福岡初のドライブインシアターを目指し、水面下で動き出していましたが、状況的に難しく一度計画が流れてしまったとか。それでも諦めず、再度開催場所をリサーチし、山本さんの繋がりで田川市にある「いいかねPalette」(旧猪位金小)が急浮上! 開催の兆しが見えたと言います。
プロジェクトが頓挫しそうになっても強い心で挑戦し続けるチーム・RAWTUS。どういう想いで取り組んでいたのでしょうか。 木下:「もともとは今宿の野外音楽イベントが目標でしたが、今年はコロナ禍の影響で実現が難しくなりました。けれどドライブインシアターを成功させることで、次に向けての弾みになればなと思いました。また、“僕らRAWTUSならやれる!”という確固たる自信と、成功事例も作りたいという想いでしたね」 清水:「本業の仕事がコロナ禍で一気にストップしたことで、“請負業務に頼らず自らが動いていかなければ”と改めて気づかされました。僕ひとりではできないこともRAWTUSでなら具現化できる。そういう想いで、このプロジェクトに打ち込みました」 岩崎:「ドライブインシアターの醍醐味は、映画を観ながら隣の人と討論するなど、映画館でも自宅でもない特殊なロケーションで鑑賞を楽しめること。奇しくも上映作品『放課後ミッドナイターズ』の監督と、会場の『いいかねPalette』に繋がりがあることが分かり、他にも偶然の引き合わせが色々あったのでますます面白くなると確信しました」 下田:「個人的なことを言うと、仕事以外にも一生懸命になれるものを持ちたかったという想いがあります。RAWTUSでそれを見つけた喜びもあって、めちゃくちゃ楽しんで取り組みましたね」 山本:「チームのみんなおもしろがって企画を練っているのを間近で見て、徐々に自分も気持ちが高まっていきました」
5人の得意分野が結実し、自主企画・ドライブインシアターが大成功!
メンバーの役割としては、木下さんが全体を仕切り、山本さんが会場の情報提供と上映作品の手配を担当、岩崎さんが音響・スクリーンの技術を担当、下田さんが情報発信を取りまとめ、清水さんが開催地・田川市のローカルフードの発信役に。 清水:「田川に住んでいる方が地元の特産品をあまり認知していないという状況を受け、イベントにフードブースで設けることでローカルフードを再認識してもらえる場にしたいと思いました」 下田:「僕はラジオ局に勤めているのですが、仕事で培ったことを全力で“遊び”に注ぎ込もうと思いました。田川をあまり知らない人でも1日を通して地域を楽しんでもらえるように、+αの情報発信などを積極的に行いましたね」 山本:「一番大変だったのが集客の部分。田川市の小学校に2500部ほどチラシを配布して、販売経路も増やして工夫したよね」 情報発信や集客の努力が功を奏し、開催当日は会場が満車状態に! 「Drive in Theater Fukuoka 2020」を通して、どんな思いが湧きましたか? 清水:「田川の特産品やイノシシのジビエ料理を販売していたのですが、2日分の数量が1日で完売! パプリカなどローカルフードを知るきっかけに繋がったかなと思うと同時に、地元の生産者さんが喜んでくれたことも嬉しかったですね」 岩崎:「来場者の方に車のハザードランプを灯してもらった時の幻想的な光景が、今も目に焼き付いています…!」 木下:「開場の際に無愛想だったお父さんが、帰る頃にはニコニコしながら『ありがとう』と声をかけてくれて、お客さんの心を満たすことができたんだなと実感しました」
0から1を生み出す楽しさを味わいながら、次なるステージへ…!
イベントに協力してくれた人たちと達成感と感動を分かち合えたことが一番嬉しかったと語るRAWTUSのみなさん。チーム内の信頼関係や結束力もさらに強固になったと言います。 木下:「RAWTUSのプロジェクトはクライアントワークではない分、準備や運営などをいろんな方に協力してもらっています。今回のドライブインシアターも田川、ひいては福岡を盛り上げたいという気持ちに賛同してくださる方がいたからこそ成功できたと思っています」 下田:「木下さんはこれまでストリート発信のイベントを多々企画してきた人。企業発信とは異なるライヴ感や手作り感が持ち味でしたが、今回の経験でさらに体制面がパワーアップしたのでは!?」 木下:「今後もドライブインシアターを別の場所でやっていきたいと思っています。そして、チーム結成の発端でもある“今宿野外活動センターで音楽イベントを開催する!”という目標をしっかり実現していきたいと思います!」
さまざまなプロジェクトで地域を盛り上げるクリエイター集団・RAWTUS。仕事とは異なるフィールドで自主企画を立ち上げ、まるで“大人の青春”のように楽しみながら邁進する姿が印象的でした。老若男女の多くの人をワクワクさせるRAWTUSのプロジェクト、今後も期待しながら注目しましょう!
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