城下町臼杵の春に感動!石仏と幻の器、食に癒された日帰り旅 

本格的な春はすぐそこ。ちょっと足を延ばして大分県臼杵市まででかけませんか?「ユネスコ食文化創造都市」に2021年に認定された臼杵市。昔から発酵文化が残り味噌や醤油の伝統的な食文化が息づいています。大分県臼杵市までは福岡から車で2時間半。幻の臼杵焼を知り、臼杵市が誇る有機野菜「ほんまもん農産物」の美味しさに感動、禅寺の副住職が作る禅味料理に癒されて、城下町散策と1日ゆっくり過ごすことができました。初体験の臼杵市へ日帰りの旅です。

目次

日本を代表する石仏は見逃せない ガイドさんと巡る国宝臼杵石仏がオススメ

代表する小園石仏大日如来坐像(摩崖仏) 平安後期

古園石仏大日如来像に代表される国宝臼杵石仏(磨崖仏)は、平安時代後期から鎌倉時代にかけて彫刻されたと言われています。誰がどのような目的で造営したのかわかっておらず今もなお多くの謎に包まれているそうです。

この日は、ガイドさんをお願いして説明を聞きながら巡ったので詳しい解説も聞きながら、石仏をよく知ることができる楽しい時間になりました。30分ほどの時間でしたが心穏やかにすっきりした気持ちに。季節ごとの御朱印(300円)も用意されていました。ガイドさんにお願いするのはお勧めです。規模と数、そして彫刻の質の高さでわが国を代表する石仏群で平成7年6月15日には磨崖仏としては全国初、59体が国宝に指定されています。石仏群は4群に分かれ、地名によって、ホキ石仏第1群(堂ヶ迫石仏)、ホキ石仏第2群、山王山石仏、古園石仏と名づけられています。平成29年9月に古園石仏群の入口にある2体の金剛力士立像が国宝に追加指定され、現在は61体すべての磨崖仏が国宝に指定されています。

石仏周辺は緑豊かで「深田の里」と呼ばれています。夏の蓮はあまりにも有名ですが、春夏秋冬と四季の花で彩られます。3月中旬頃までは河津桜が咲いています。時期がくると芝桜も広場を彩ります。開花情報も「国宝臼杵石仏」のHPに掲載されていますので確認してでかけましょう。

臼杵石仏周辺では四季の花が楽しめる。今は(3月11日現在)河津桜が見ごろに(石仏センター提供)

幻の臼杵焼に美しく盛り付けられた野菜はは感動の美味しさ「ほんまもん」

臼杵焼は200年ほど前に臼杵藩で作られた物で、その後、途絶えてしまった幻の焼き物。その焼き物を復活させて現代に使いやすく提案している宇佐美裕之さんと美味しい料理を盛り付けて臼杵焼で提供している宇佐美友香さんにも出合いました。伺ったのは「石仏観光センター・郷膳うさ味」。ご夫婦で臼杵焼や有機野菜を軸に活動されて臼杵に貢献されています。「郷膳 うさ味」(きょうぜんうさみ)でこの日、いただいた「季節のランチ」はすべての料理が臼杵焼に盛りつけられていました。野菜は臼杵市の有機野菜「ほんまもん野菜」を中心に提供されています。臼杵焼の素敵な盛り付けも参考になり器も欲しくなります。野菜たっぷりのランチは大満足。デザートまで手作りです。人気のランチなので予約しておでかけください。

郷膳 うさ味で提供されている季節のランチは1650円(税込)有機野菜「ほんまもん野菜」がたっぷりだ
臼杵焼を復活させた宇佐美裕之さん(左)と美味しい野菜料理を提供している宇佐美友香さん(右) 石仏観光センター・郷膳うさ味で

禅味料理(精進料理)を高台の「星月庵」で 出汁の味に感動します

禅味料理 星月庵の「星月膳」のお料理の一部   PHOTO Makie Nakamura

お昼にゆっくり時間をとって食事ができるならオススメは星月庵。「成道山 見星禅寺」の住職を務めた安藤恵薫(あんどうえくん)現副住職が時間をかけて作り上げる料理の数々を堪能できます。副住職が、修行時代に体得したという精進料理です。2012年に代替わりで息子さんに住職を引き継ぎ、現在は料理に没頭しているそう。「料理のことを考えている時間が幸せ。今度はあの料理を作ろうなど考えがどんどん浮かんでくる」と話してくれました。その言葉通り、手をかけ時間をかけ提供される禅味料理は、どれも美味しいのはもちろんですが、いただくと気持ちもほっとする時間になりました。メニューは季節ごとに変わるそうなので、四季の食材をを楽しみながらいただくことができます。

安藤恵薫(あんどうえくん)副住職 料理について説明をしていただきました。 PHOTO Makie Nakamura

龍原寺の本堂で写経も 江戸時代建立の木造三重塔は必見! 

龍原寺の三重塔

臼杵の風景に溶け込むように立つ「龍原寺」の三重塔。23代住職の星康一さんに話を聞きました。立派な本堂で写経体験ができます。聖徳大使像が納められる三重塔。この日は本堂で像を拝観できました。木造のこちらの塔は50年前に改修されていますが補修や改修が必要な時期が訪れているそうです。九州ではめずらしい2基しかない三重塔です。

南蛮文化残る城下町をゆっくり歩いて楽しもう

臼杵の代表する景観「二王座歴史の道」  岩を切り道を通した「切通し」と呼ばれる

懐かしさがそのまま残る城下町臼杵。ゆっくし散策するのは気持ちがいいものです。二王座歴史の道は岩を切り道を通した「切通し」と呼ばれています。石畳も風情があります。星月庵からすぐの場所にあります。毎年11月の第1土日には「うすき竹宵」がこの周辺で開催されているそうです。

城下町では南蛮文化に触れることも。江戸後期にできた酒蔵の壁面をポルトガルのアズレーション(タイル絵)が彩ります。「久家の大蔵も取り壊し予定やったけど、ポルトガルから大きな壁画が送られてきてな。それを飾る場所として蔵が残ったんよ。」と教えてくれました。

久家の大蔵 江戸後期建造の酒蔵の壁面をポルトガルのタイル絵が彩る 大分弁で語るのはガイドの古谷美和さん PHOTO Makie Nakamura

九州で最も古い味噌・醤油蔵で「みそソフト」を食べよう

看板娘の可児明子さん カニ醤油の味噌ソフト(350円)は美味

慶長5年(1600年)創業というから驚きの歴史です。江戸時代から続く「カニ醤油」。到着するとすぐに「黒だし番長」という万能出汁を試飲させてくれました。ここでは笑顔が素敵な看板娘の明子さんが提供してくれる「味噌ソフト」をいただきました。袋詰めのお味噌やネーミングが面白い商品は現代風ですが、屋号の看板が掲げられた外観は歳月を感じます。

鑰屋(かぎや)はカニ醤油の屋号 昔ながらの外観にも注目です

ほんまもん農産物を買って帰ろう 有機野菜の美味しさに感動!

「ほんまもん農産物」が並ぶ関青果

金色の「ほ」の認証ロゴマークがついている「ほんまもん農産物」が並ぶのは「関青果」。臼杵城がのぞめる場所にある関青果は昔ながらの八百屋さんです。「ほんまもん農産物」は臼杵市長が認証する農産物。臼杵市が生産工程を記録・審査して化学肥料や化学農薬が使われていないことが確認できた農産物だそう。土づくりにも力をいれており「うすき夢堆肥」などの完熟たい肥で土づくりを行っているそうです。季節や時期によって量や種類にばらつきがあるそうですが、臼杵にでかけたらぜひ関青果でお好みのものを探してみてください。

関青果の店頭で。隣にはご夫婦で営む居酒屋「関乃屋」がある

初めての臼杵は、仏様に景色に人、そして食に癒される旅でした

初めての臼杵は初めてなのに懐かしい感覚を呼び覚ます旅になりました。国宝臼杵石仏になぜだかほっとしてレトロな町並みに癒され、美味しいものをたくさん食べて幸せな旅でした。「臼杵時間」とでもいいうのか、時間がゆったり流れ素敵な人にたくさん出会うことができました。それぞれの特色を生かして臼杵で輝く人がたくさんいました。日本人の食文化に息づく味噌や醤油、日本酒の文化が昔のままに残っています。心も和む旅になりました。ぜひおでかけください。

臼杵の観光情報は下記ホームページで。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

福岡在住。日本旅行作家協会会員・旅行ライター・ ㈱Amazing Public Relations代表取締役。複数の企業での広報や宣伝PRを経験し、現在は観光PRや企業や自治体の広報アドバイスやPR企画、広報コンサルティングを手掛けている。

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