うちの義母は子離れができていません。今までも「息子の母ですから」と主張してくることが多々ありました。最も驚いたのは、夫がもらったバレンタインチョコのお返しについて「買う担当は私よ!」と言ってきたこと。しかし、この話には驚きの結末が待っていたのです。
夫と交際中 バレンタイン
夫と交際して初めてのバレンタイン、私は百貨店で購入したチョコと鞄を買ってプレゼントしました。
1カ月後のホワイトデーは、ドライブデートで遠方へ。ドライブ中、夫が
「買い物してきたよ」と得意げに後部座席を指さしました 。スーパーの袋を手にとり、中を見るとお菓子や飲み物の他にラッピングされた箱が入っています。夫は
「ホワイトデーだよ」と言いました。
お礼を告げて包装紙を開き
「いろんな種類があるんだね、どれ食べる?」と聞くと
「何がある? チョコ? クッキー?」と言う夫。
私ははっとしました。
「あなたが買ってくれたんじゃないの?」
夫は
「そうなんだけど、なんだったかな~ と思って」と焦り顔。袋の中には、義母がパート勤務しているスーパーのレシートが入っていました。
私はがっかりした気持ちで
「飲み物やホワイトデーのお菓子も、あなたのお母さんが買ったんだね」と言うと 夫は黙っていました。その時は、今後も続くとは夢にも思っていなかったので
「ありがとうって伝えてね」と、かわいい彼女を演じきれていました。
結婚後 義母の意地
結婚後、義母はバレンタインデーの夜には必ずうちへ来て、夫がもらったチョコの数を聞き、3月にはホワイトデーの品物を持ってきました。
いつも自分のパート勤務先の商品でした。
「これが母親の役目なのよね」と上機嫌。
私はぐっと我慢。ホワイトデーの品物を用意する権利を奪いたい気持ちはありません。しかし義母の異様な執着は不快に感じ、ある時これまでの厚意に感謝しつつ、今後は私が購入すると話をしてみました。
すると義母はすごい剣幕で怒りながら言ったのです。
「私が生きているうちはこの権利は譲れないわ! せっかく男の子を生んで育ててきたのよ」と。
立場逆転! 憂鬱になった義母
その後、夫が部署を異動するとバレンタインにもらうチョコのグレードも上がり、数も増えてきました。夫も私も義母に何も言いませんでしたが、毎年変化するチョコのグレードと数に、義母が戸惑っているのはわかりました。部下からのチョコは30個を超え、立場上お返しには2、3倍の物をという夫の意向もあり、私は「義母さんが担当してくれてて助かった!」と心から思いました。
あの時、妙な妻の意地でその権利をはく奪しなくてよかった。
間違いなく義母には大きな負担になっていましたが、権利を渡さないと言ったのは義母だったので、特に何も言いませんでした。
卒業という名の降参
義母の権利の終わりは突然訪れました。例年なら夫が多量のチョコを持って帰るバレンタイン、義母は家に来ませんでた。
そして夫が帰宅し一言。
「今年からバレンタインの制度が廃止になったんだ」
と同時に義母から私にメールが届きました。
「息子も出世し立派になったのですから、妻としてしっかり支えなさい。ホワイトデーのお返しを選ぶ権利をあなたに譲り、私は卒業します。相手に失礼のないようしっかりと選ぶのですよ」
苦し紛れの“卒業”という言葉に、切なくなりましたが、義母のお手上げ状態を静かに受け入れようと決めました。
心の中で
「卒業おめでとう。義母さん」そして、
「廃止になったよ、義母さん」とつぶやきました。
(ファンファン福岡公式ライター / takase)