保育所見学は時間帯にも注意! 予想だにしない事態に慌てた話

 わが子を預ける保育施設の環境、気になりますよね。当時1歳の息子の一時保育で隣駅の保育所を利用した時にも、事前に見学して説明を受け、「ここなら大丈夫だろう」と思ったのですが…。当日、予想もしていなかった光景が待っていたのです。

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1歳の息子を一時保育に預けることに

出典:写真AC

 自宅から1駅離れた保育所に一時保育の申し込みをしたのは、息子が1歳になったばかりの頃。
 当時、わが家は保活激戦区といわれる自治体に引っ越してきたばかり。普段は自宅で子育てをしながら在宅ワークをしていたのですが、仕事関係の会合に出席する数時間、息子を預かってくれる施設を探していました。

 あちこちに電話をかけ、一時保育を受け付けてくれたのが、この保育所でした。そこで、正式に申し込む前に、見学に行きました。 見学に指定されたのは、午後1時頃。古いファミリータイプのマンションを改装したような保育所で、室内は広くないものの、きちんと片付いています。

 フローリングに並べて敷かれた布団で7、8人の子どもが昼寝中でした。別室では年長ぐらいの子どもが数人、テーブルで静かに絵を描いたり、ワークブックに取り組んだりしています。園長先生は優しそうで、説明資料や応対もしっかりしていました。 そこで、
 「〇月〇日、午後4時から8時までお願いします」と、私はその場で申込書に記入しました。

見学した時と違う! 乳幼児ひしめくカオスな保育室に、あぜん!

 そして当日。ドアを開けると…。「え!?」

 6畳2間程度の保育室に、ぎょっとするほどたくさんの乳幼児がいたのです。
 20人ほどはいたでしょうか。子どもたちはハイハイやよちよち歩きで動き回り、床には大きめのブロックが散らばっています。事故を防ぐためか、子どもが手に取れるおもちゃはブロックだけのようでした。

 狭い玄関には、他の利用者が次々にやってきます。園長先生の姿は見当たらず、2人の保育士さんが赤ちゃんをおんぶしながら、引き渡しをしていました。 奥の部屋に他の職員がいたのかもしれませんが、室内で泣いている子どもは放置されていて、とても手が回っていない様子でした。

預けた息子が気になってソワソワ。迎えに駆け付けると…

 「どうしよう…」。想定していなかった状況にあぜんとしましたが、会合の時間が迫っています。
 「ごめんね。なるべく早く迎えに来るから」と心の中で息子に謝りながら、私は息子を保育士さんに引き渡しました。一瞬泣きだしかけた息子は、保育士さんにあやされ、すぐにおとなしくなりました。

 こうして会合に出席したものの、預けた息子のことが気になって仕方がありません。保育所には息子の夕食も頼んでいたのですが、いったいあの状態でどうやって食べさせるのか…。会合が終わるやいなや電車に飛び乗り、急いで迎えに行きました。

 保育所に着くと、室内は数時間前の騒がしさがうそのように静かになっていました。残っている子どもは数人だけです。  息子は別室にポツンと敷かれた布団でぐっすり眠っていました。首までちゃんと毛布を掛けてもらって、気持ちよさそうに寝息を立てています。
 「さっきは子どもがたくさんいて驚いたんですが、だいぶ落ち着きましたね」と、私はほっとしながら保育士さんに言いました。
 「ドン引きされましたよね…」と疲れた様子で苦笑いしていた保育士さんの顔が忘れられません。

過酷な保育現場を目にして学んだことは―

出典:写真AC

 元気そうに見えた息子ですが、保育所に預けた翌日から高熱を出して寝込んでしまいました。
 のどの痛みで水も飲みづらそうな息子の看病をしながら、私は仕事を優先してしまったことへの後悔にさいなまれました。  過酷な保育現場で懸命に働いていた保育士さんには、とても文句を言う気にはなれません。大勢いた他の保護者も、環境が良くないことは承知で、あの保育所に預けざるを得なかったのだと思います。

 保育のニーズに設備や人手が追いついておらず、個人の努力だけでは、どうにもならなくなっている印象を受けました。  ただ、事前に見学した際に、自分が利用する時間帯ではどのような状態なのかを、きちんと確認しておけば、当日になって「こんなはずでは!」と慌てることはなかったと思います。あらかじめ仕事を調整したり、一時預かりをキャンセルしたりといった選択肢だってあったはずですから。

 「認可保育園なら、あんなに保育室の人口密度が高くなることもないのでは?」と思ったのですが、その後、息子が入園した自宅近くの保育園は、認可外でしたが施設にも人手にもゆとりがあり、卒園まで長い間お世話になりました。同じ認可外の保育園でも、居心地の良さは施設によって全く違いました。

 見学の際、利用時間などもよく考えるべきでした。そして少しでも気になる点があれば、しっかり質問や確認をし、違和感のある時は「利用しない」のも賢明だと学びました。

(ファンファン福岡公式ライター/桐谷きこり)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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