肝臓を知ると分かる!正しいお酒の飲み方【吉兼内科クリニック】

「アルコールの摂取量=危険度」ではない!?気になるアルコールと肝臓疾患について肝臓専門医の吉兼先生と福岡で活躍するタレントの小雪さんのおふたりが対談しました。

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【肝臓専門医】 吉兼内科クリニック 吉兼誠先生

 福岡県出身。福岡大学医学部卒業。福岡大学病院救急救命センター助教、福岡赤十字病院肝臓内科副部長などを経て、2014年「吉兼内科クリニック」開業。肝臓、消化器治療を基にした豊富な知識と経験で地域医療を担う。

【タレント】 小雪さん

 福岡県柳川市出身、柳川観光大使。「ももち浜ストア」や「薩摩酒造presents 食べたい!飲みたい!小雪ったい!」など、テレビやラジオで活躍中。美味しい料理とお酒を楽しむのが好きで、ほぼ毎日飲むという愛飲家。

肝臓の状態は数値でしか判断しにくい

小雪さん:私はお酒が好きで、みんなで飲むのも1人で家飲みするのも好きなんです。

吉兼先生:どのくらいの量を、そのくらいの時間で飲みますか?

小雪さん:家では350mlのビールを2缶、外では8缶分ほど。
 焼酎ならお湯割りやソーダ割で5~6杯、日本酒やワインなら2人で1本。
 みんなと4~6時間飲めると「良かった~」と満足します。
 割らずに飲む時は、水を飲むようにしています。

吉兼先生:そんなに飲んでいて健康診断で引っかからないのは凄いですね。
 でも、飲酒時にお水を飲むのは非常にいいことです。
 肝臓はアルコールを分解するのに大量の水を使うので、脱水になりやすいんですよ。

小雪さん:お水飲んでいます(笑)!
 ちなみにわが家は祖父も父もお酒に強いタイプなんですよね。

吉兼先生:実を言うと、お酒に強いか弱いかは遺伝子で決まっていて、鍛えて強くなるわけじゃないんです。
 生まれて初めてお酒を飲んだ時に「おいしい」と思った人は飲める人、気分が悪くなったり頭が痛くなったりした人は飲めない人です。

小雪さん:あら、私は「おいしい!」って思っちゃいました(笑)。

吉兼先生:やっぱり!お水もちゃんと飲んでいて、天性の体質もあって、お酒を飲む天才かもしれませんね。
 ご両親に感謝してください(笑)。

小雪さん:天才なんて嬉しいです!

吉兼先生:ただ、日本人の多くはその飲み方だと肝臓を悪くしてしまいます。
 肝臓はアルコールの分解以外にもたくさんの役割を担う臓器ですが、
 沈黙の臓器といわれるほど症状が表に見えにくいんです。
 血液検査や健康診断での数値でしか判断しにくいので、数値の高さは注意深く見てほしいですね。

小雪さん:もし気になる数値が出ていたらどうしたら良いでしょうか。

吉兼先生:アルコールと肝臓の関係は特に個人差が大きいので、肝臓専門医に相談して詳しく検査し、
 オーダーメイドの治療計画やアドバイスを受けていただきたいですね。

肝臓の治療は「何を加えるか」よりも「何を引くか」

小雪さん:悪くなってしまった肝臓は良くなりますか?

吉兼先生:肝硬変にさえならなければ、ほぼ元に戻ります。
 肝臓は重要な臓器である分、一時的なダメージにとても強くできているんですよ。
 仮に半分切除しても十分に生命維持できるくらいには余力があって、半年から1年もすればほぼ元の大きさまで回復してしまうほど再生力があるんです。ですが、その旺盛な再生力が仇となって、毎日の飲酒で肝細胞の破壊と再生が繰り返されるうちに、硬く小さく萎縮してゴツゴツとした肝硬変へと進行してしまいます。

小雪さん:なるほど!先生、肝臓に良い食べ物ってあるんですか?

吉兼先生:肝臓の治療の基本的な考え方は、「何を加えるか」よりも「何を引くか」ですからね。
 肝臓を攻撃しているものを取り除けば自力で再生できる臓器なので、アルコールが原因なら飲酒を控える、脂肪肝ならダイエットなど、「引き算」すれば治るんです。
 よく言う「休肝日」もその一つですが、厚生労働省の目安だと週2日以上必要、飲酒量としては日本酒なら1日1合、女性はその半分とされています。
 とはいえ、個人差があるのですべての人に当てはまるとは言えません。
 数値が正常になりさえすれば、自分に合うペースで飲酒していいわけです。
 例えば飲んだ次の日は飲まないようにするとか、実際にそのペースを見つけてうまくいった方をたくさん診てきました。
 自分にとってのアルコールの適量を知って、ツルツルの元気な肝臓を維持して欲しいですね。

小雪さん:毎日頑張っている肝臓のためにも、休肝日は大切ですね。
 肝臓の数値には注意しておくこと、気になることがあればそのままにせず、先生に相談したいと思います。
 今日はありがとうございました。

吉兼先生:ありがとうございました。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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「こんなとき、だれに相談すればいい?」
気になる病気や症例を専門医がアドバイスします。

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